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舞の実家は、舞が住むマンションの隣市。
父は、理系だったので、研究を重ねながら洗剤等の商品開発をしてきた。現在は、取りまとめる役職。
舞は、それを見ていたから、自分も研究をしたかったのだ。
母は、銀行員だったので、一旦育児で離れたが、今は系列のクレジットカード会社で働いている。
2つ下の妹は、すでに既婚、1男児の母。
初めて訪れる亮は、やはり緊張している。
舞と一緒に実家へ
小さいながら、戸建てである。
「ただいま〜」
「は〜い」とお母さん
「あ、はじめまして〜」
「はじめまして、藤堂と申します。」
「母でございます。ようこそいらっしゃいました。
「どうぞどうぞ、狭いところですが、お入りくださいませ。」
亮は「失礼します。」と一礼し、舞と2人で中へ。
和室へと案内され、父を待つ。
すぐに中から出て来てくれた父。
「あ、どうも、はじめまして、舞の父です。」
「はじめまして、藤堂 亮と申します。」
会社の名刺を差し出した。
父も会社の名刺を出し交換している。
「まぁまぁ、どうぞ」と、座るよう促し
「素敵なお名前ですね。俳優さんみたいですね。」
「よく言われます。恐縮です。」
父の話術で、いきなり和んだ。
「舞とは、いつからの知り合いですか?」
「高校が同じで…」
「あ、そうですか…」
「はい、舞さんがテニス部に入部されて、僕が部長をしておりまして、その頃に交際させていただいておりました。」
「え?そうでしたか…あなたでしたか?」
「あ、はい」
「イヤ、誰か良い人でも出来たのかなぁ?とは、
当時、妻と言ってたんですが、そのあとは、全く何もなかったようで…年頃になって、結婚はしない!と言っておりましたから、この度は、大変驚いていまして…」
「あ、申し訳ありません。当時、舞さんとすれ違ってしまい、一度お別れしました。舞さんが就職された時に、たまたま同じ会社の違う支社におりまして…」
「え、そうでしたか?偶然?」
「あ、はい。私の方は舞さんが入社された時に気づいたのですが、お会いすることはなく、2年経って私が昇進するタイミングで、こちらの方に異動願いを出し、転勤して参りまして、再会致しました。」
「そうでしたか…じゃあ、もう3年ですか?」
「はい、そうです。再会して又、お付き合いさせていただきました。」
チラッと舞の方を見ると、ちょっと複雑な顔をしているので、ニコッと笑う亮。
舞も思わずニコッ。
アイコンタクトを取って、笑っている舞を見て、
両親は、それだけで嬉しかった。
「もう、結婚はしないのだと思っていたので、こうして藤堂さんのような素敵な方と一緒に居るなんて、ホントに嬉しいです。ありがとうございます。」
「いえいえ、こちらこそ。ありがとうございます。
つきましては、大事なお話をしないといけません。」
「あ、はい。」と、父は座り直した。
『来るぞ来るぞ〜』と嬉しそうな父。
しかし!
「舞さんと、結婚させていただきたく、本日ご挨拶に伺いました。」
「はい」両親ニコニコ。
「その前に、今後の私のお話を…」
「はい…」ちょっと不安気な両親。
「私の父は、藤堂健一と申しまして、現在○○市の市長をさせていただいております。」
「あー藤堂さんって聞いたことあると思ったんですよ。」
「はい。私も父同様、市議会議員になるようお話を頂戴しておりまして…」
「えー?会社は辞められるのですか?」
「はい、今年いっぱいで退職するよう今から申し出るところでございます。」
「そ、そうなんですね…」
「はい。そして、次期の市議会議員選挙に出るよう、父や父の後援会の後押しもあり、準備させていただいております。」
「市議会議員さんになられるのですか?」
「もちろん私1人の力では、なんともなりませんし、選挙に勝たなければなれませんが、その方向で動き出しております。」
「はあ〜それは驚きましたね〜」
「突然の話で、驚かせて申し訳ありません。」
「あ、いえいえ。」
「舞さんにも、お話させていただき、今後、舞さんのご協力なしでは成り立ちませんので、結婚させていただき、夫婦として二人三脚で共に過ごせたら…と思っております。」
「そうですか…舞はそれでいいんだな。」
「はい。」
「お前も会社は、辞めるのか?」
「うん、一緒に辞めようと思ってる。」
「そうか…まあ、舞の人生だし、自分でそう決めたなら、藤堂さんについて行きなさい。」
「ありがとう。」
「ありがとうございます。
改めまして、舞さんを全力で幸せにします。
舞さんと結婚させてください。」
「あ、はい、舞をよろしくお願いします。」
「ありがとうございます。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。」
「あ、はい、こちらこそよろしくお願いします。
頑張ってくださいね。」
「ありがとうございます。」
「いや〜驚いたね〜結婚の挨拶だけだと思っていたから…あははは、どうぞ足、崩してください。」
「ありがとうございます。では、失礼して…」
「舞、すごい人と出会ったなぁ〜」
「うん、高校に入った時からだけどね」
「うんうん、まさか!で驚いたよ。ハハ」
「良かったわね、舞、おめでとう!」
「うん、ありがとう」
「これからが大変だから、しっかり藤堂くんを支えないとな」
「うん。頑張る!」
「じゃあ、食事にしましょう。舞手伝って」と、お寿司や母の手料理が運ばれてきた。
「藤堂くんのご両親には、もうお会いしたのか?」
「うん、先週お会いした。」
「そうか…住むところは、どうするのかね?」
「今の僕のマンションに住むことに…」
「亮のマンション、あの駅前のタワーマンションだよ」
「えー?すご〜い、素敵ですね。何階?」と母
「25階です。」
「うわ〜眺望がすごく良いんでしょうね。」
「ぜひ、いらしてください。」
「うわー嬉しいわ、ありがとう。」
「お母さん、マンションに食いついちゃって」
「だって、あのタワーマンション、一度は行ってみたいわよ。」
「どうぞ何度でも…舞さんも仕事を辞めたら、しばらくはずっと家に居ますし…」
「そうね…楽しみだわ。」
「あ、お父さん、これお願いしてもいい?」
と、婚姻届を出す。
「お、そうだな。もちろん!」とサインする。
「ありがとう」
「ありがとうございます。」
「いつ出すんだ?」
「お父様のサインをいただいたら、すぐにでも…」
「そうか…じゃあすぐに一緒に住むのか?」
「うん、もう明日にも引っ越そうかと…」
「そうか、結婚式はどうするんだ?」
「選挙前に空きが有れば挙げたいけど、なければ終わってからになるかなぁ?ホントは良いアピールになるから、披露宴もしたいんだけどね。」
「はい、空きがないか探してみます。その際には、ご出席よろしくお願いします。」
「はいはい。」
「その前に、両家の顔合わせも考えておりますが、父があのようにホントに忙しい人でして、前から秘書にアポを取らないといけませんので、不快な思いをさせてしまうと申し訳ありませんので、きちんと日取りが決まりましたら、よろしくお願い致します。」
「私たちは、お休みの日なら大丈夫ですから、お気になさらずに…」
「ありがとうございます。」
「舞で、務まりますかね〜」
「舞さんほど優秀な方は、いらっしゃいません。」
「えーもう恥ずかしいよ」
「ふふ、私は全てにおいて、舞さんを信頼しておりますので」
「おーこれはすごい重責だなぁ〜ハハハ」
「すごいプレッシャー、何も分からないことばかりだから…」
「まあ、少しずつ、お|義母《かあ》様に教えてもらいながら、頑張りなさい!」
「うん、そうだね。」
「まあ、良かった。めでたいめでたい!さあ、どうぞ」
「あ、車ですので…」
「あ、イイわよ、私が運転するよ」
「そうですよ、どうぞ」
「じゃあ、いただきます。」
そう言って、父と亮は呑んで盛り上がった。
「良かった。」
「うん、お父さん、ホントに喜んでたから…
結婚しない!なんて言ってたから、心配してたのよ。しかし、政治家さんになるなんて、ビックリね。」
「うん、私もビックリ!」
「でも、良い人だし、良かったわね。」
「うん」
「幸せにね〜」
「うん、ありがとう」
そう言って、夕方、亮のマンションへ帰った。
亮は、アルコールのせいで、そのまま寝てしまった。