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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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もっくんこもりました。


それから数日、元貴は自分の家にこもって出てこなくなってしまった。俺や若井にもいっさいの連絡を絶っている。

周りはまた作曲活動にのめり込んでいるのだろうと軽く考えていたようだが、様子がおかしかったのを知っている俺は心配でたまらなかった。

そんな時、若井から連絡があった。

よく考えると若井の部屋は久しぶりだ。最近は自分の家か元貴の家のどちらかばっかりだったもんなぁ。

お互いソファーに向き合って座り、若井が真剣な顔で話し出す。

「涼ちゃん、わかってるんだろ?」

今回元貴が引きこもってしまったのは俺のせい。それはわかる。でも…。

「どうして…」

ふぅ、と若井は大きなため息をついた。

「本当にわかってないの?涼ちゃんさぁ、元貴の事ホントに好き?」

「そりゃ好きだよ。決まってるでしょ」

「それ、恋人として?」

「えっ?」

意表を突かれてちょっと言葉に詰まってしまう。

「ちゃんと恋人として好きなのかって聞いてるんだよ」

厳しい表情でそう聞いてくる若井に、俺は少し黙ってしまう。

「…俺と元貴って本当に恋人なのかな?」

また若井が大きなため息をつく。

「男同士なんだしこればっかは仕方ないと思うけどさ。やっぱり元貴の事そういう目で見れない?」

「いや、そういう意味じゃなくて…」

恋人になって欲しいと言った元貴。それまで意識した事なんてなかったけど嬉しかった。俺だって元貴と恋人になれたらなぁって…。

でも…。

「だって元貴だよ?元貴なんて他にいっぱいかわいい女の子選べるじゃない。それなのになんで男の俺?」

今まで誰にも言わず封じ込めていた思いが吹き出してくる。

「元貴が落ち込んでた時にたまたま俺が 一緒にいたから?それともなんでも元貴の事受け入れるから?それって恋人なの?こんなんじゃ俺に何か言える権利なんてないじゃない…」

「涼ちゃん…」

思わず目から涙があふれてくる。

「…涼ちゃんも悩んでたんだ」

唇を噛み締めて下を向くと、ポロポロと床にまで涙がこぼれ落ちた。

「ねぇ涼ちゃん。この前のMV撮影の日、元貴が女の子と変にいちゃついてただろ?覚えてる?」

そんなの忘れるわけなんかない。

「あれ、元貴は仕返しするつもりだったって言ってたんだよ」

「えっ?仕返しって?」

「その前にあったレコーディングの日に涼ちゃんが学生時代の友達と盛り上がってるの見てムカついたんだって」

若井のその言葉にあまりにもびっくりして涙が引っ込んだ。

「でも、あいつは本当にただの友達で、会ったのだってそれこそ10年振りくらいで…」

「そんなの元貴だってわかってるんだよ。それでもムカついたんだってさ」

若井が苦笑いする。

「自分でもバカな事してるってわかってるのに、さらにそれに返ってきた涼ちゃんの反応があまりに無さ過ぎて自信なくしちゃったんだよ」

「……」

あまりの驚きに言葉を失う。

「2人とも相手が自分の事ちゃんと好きなのか自信がなかったってオチね」

…ちゃんと元貴と本音で話し合わないと、と思った。

「なぁ、涼ちゃんはさ、元貴に『欲しい』って言われて嬉しかった?」

俺は無言のままうなずく。

本当に本当に嬉しかった。その後の俺の世界を変えてしまうほど。

「じゃあさ。元貴にも『欲しい』って言ってやってよ。あいつはさ、何より涼ちゃんに欲しがってもらいたいんだよ」

若井の言葉がストンと心に落ちてきた。

「もう、さっさと仲直りしてきてよ」

呆れたような若井の声に、俺はしっかりとうなずいつみせた。


今回ひろぱは2人の仲を取り持つキューピッド役✨


やっぱり好きな人に必要とされるのって幸せを感じるものだもんね。必要とされたいよね。

涼ちゃんはやっともっくんの気持ちを理解してちゃんと向き合う勇気をもらったようです。

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