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「ただいま」
憔悴しきった顔をして、雅弥が私の部屋に帰ってきてくれた。
「ごめん。嫌なことをさせてしまったね」
私は雅弥を抱き締めた。
雅弥は、我慢できないかのように玄関先で私の身体を抱き寄せた。
そして、唇で私の顔の輪郭を辿った後に
私の足を大きく持ち上げると、そのまま深く突き刺してきた。
「翔音、翔音、翔音っ!!」
私の名前を呼ぶ。
まるで、迷子になった子供のように。
そして、彼は身体に籠らせた毒を吐き出すように白い液体を放出させ、泣いた。
「……ごめ……ん、雅弥ごめんね」
私も泣いた。
彼は、簡単に女を抱ける男ではなかった。
心と身体が繋がった、そんな誠実な人だった。
私がここまで伝えた和香那の正体。
彼は、和香那という女をとても嫌悪していた。
そんな彼女を愛するフリ
――言葉
――視線
――撫でる手
――抱き寄せる腕
――抱き締める胸
それだけでもきっと、とても辛い。
なのに、彼に和香那を抱くように頼んだ。
好きな女から、そんなお願いをされた雅弥の
苦しさって一体どれほどのものなのか
想像すらできなかった。
簡単に、身体を開く仕事をしてた私には。
―――
泣き顔を初めて見せてしまったことに照れながら
「……俺、情けないな」
なんて口にする雅弥。
「ううん。情けなくないよ!あなたの誠実さの表れだもん。だから、ごめんなさい」
「翔音、謝るな。俺が決めたんだ。この計画に協力するって、俺が選んで決めたんだ。」
その夜、私たちは何度も何度も愛し合った。
私は、和香那が触れた場所を全て清めるように。
彼は、腕に残る和香那の記憶を上書きするように。