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____ガシャン____
冷たい空気が漂う家にガラスが割れる音が響いた。
「ここにあるの…全部“毒”だ..!」
棚の中にはまだ沢山の小瓶があった。
割れた小瓶から毒が流れ出す。母の愛の様に脆く、小さなガラスだった。ふと母のご飯の事を思い出した。母は料理が苦手だと思っていたがご飯を与えてくれた時体調が悪くなったのはこの毒のせいだと分かった。
私は母が好きなのか分からなくなっていた。
もう毒なので好きか嫌いかにもならない。もうどっちでもいいと本当は思っていた。私はその気持ちを隠し、
『 母が私にこの様な事を隠していて悲しかった』
そう思う様にした。
割れた瓶を片付け、キィニチに告げた。
「今日はお互い疲れてるだろうし、聖火競技場はまた今度で大丈夫だよ。」
“また今度”
私はそんなまた今度が来ない事を祈った。初めは行ってみたいと思ったがよくよく考えれば 聖火競技場には多くの人がいる。そんな所へは行きたく無い。なるべく人に会わない様に隠れて生きたかった。