テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#バレンタイン
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
セレーネ「アラスターがおいでって」
チームVのタワーから離れたラジオ塔の屋上。
歓声とノイズが混じった電波が、肌にまとわりつく。
「地獄最強」「ヴォックス」「勝者」――
そんな言葉が、洪水のように流れ込んでくる。
「……はぁ」
嫌な予感は、大体いつも当たる。
しかも今回は、胸の奥が妙にざわつく。
理由は、はっきりしている。
アラスターがいる。
それだけで十分だ。
シャット「……また、面倒なことになってる」
彼が“大人しく捕まっている”なんて、
そんな都合のいい話があるわけがない。
シャット「それで?」
セレーネ「ヴォックスが、主のことに気づかなかった」
シャット「あとは? 他に何か言ってた?」
セレーネ「アラスターが、主を愛してる」
シャット「……」
胸が、ちくりと痛む。
理由は分からない。
――名前じゃない。
――魂でもない。
――契約でもない。
シャットは、指先で自分の喉元を押さえる。
昔からそうだ。
アラスターは、直接は言わない。
大事なことほど、
本人がいないところで、
相手を選んで、
刃物のように使う。
シャット「……ほんっと、性格悪い」
嫌じゃない。
むしろ――分かっていた。
あの男は、
自分を“守るため”じゃなく、
自分を“武器にするため”に愛を使う。
それが、アラスターだ。
シャット「……バカ」
小さく呟く。
指輪を握りしめ、薬指にはめる。
そういうところが、私も好きなのかもしれない。
シャットは、黒い翼をゆっくりと広げる。
その頃――
アラスターとヴォックスの戦いは、今やアラスターが優勢だった。
だが、ヴォックスのサメ型兵器“ショックウェーブ”が襲いかかる。
アラスター「こんにちは?」
ヴォックス「ショックウェーブ!」
アラスター「あーあ。やっぱりペットの助けがないとダメですね!」
ヴォックス「お前に言われたくねぇよ!」
ショックウェーブのしっぽが、アラスターに当たる――
ヴォックス「やめろ、私だ…!ゴブッ!」
吹き飛ばされたアラスターの視界に、カミラの作った兵器が迫る。
ヴォックス「カメラ目線で笑えよ!ビッチ!」
兵器がアラスターを捉え、放たれたビームが直撃しそうになるその瞬間――
黒い羽が、風を切って落ちる。
アラスター「…!シャル…?」
アラスターは兵器のビームに当たる覚悟だった。
避けても、地面に叩きつけられるのは確実だった。
だが――落ちなかった。
触れたのは、痛みや冷たい地面ではない。
自分が100年以上、そばにいて温めてきた――
その“温もり”だった。