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『あぁまたやってんの』
「うん」
『それでいいの』
「…なんというべきかね」
でも俺は。彼の全てを受け止めたい。
同居している彼、アズサ。
25の癖にどこか幼い。
アズサはスーパーやコンビニでシフトをとって働くことにしていた。
俺、ナギサ。
同じく25。
会社員として働いている。
アズサとあったのは7年前くらい…?
3年前の休みの日だった。
アズサと一緒に、まぁやることもなかったから、せっかくだし離れた田舎道を歩いた。
『昼飯のおにぎり、一緒に食おう。』
「あー、、ごめんお腹空いてなくて」
『でも5時間何も食べてなくない?』
「なんかお腹空かないんだよねぇ。」
『そう…』
「耳鳴りもするし…ときどき気持ち悪い。」
『だ、大丈夫?ほんとにここ来て良かった?』
「平気〜。気分転換!都会は苦手だ!」
『そっか!それは俺も同じだ!』
手を繋いで歩いた。
心做しかアズサの手の力は弱かった。
『そろそろ戻る?夕暮れだし』
「うん、一緒に帰ろう」
『お前ん家どこだ!?』
「あ、そこまで来なくていい。交番まで来て」
『お、了解』
公園の前を通ろうする。
小さな子供たちが眩しく遊んでいた。
ん……。
アズサが繋いでいた手を話して喉を抑えていた。
『どうかした?』
「あ、いや、うぇ、、」
『気分悪い?休もうか。』
「あ、ありがと」
…………………
『そろそろ不良な部位があるかい?』
「まぁ、きっとそうなんだろうね」
『あの医者は一体どこへ行ったのか』
「まぁ、今生きれてるしいいよ。」
3年前、病気を患ってたアズサ。
特別、心臓を機械のものにしたそうだ。
その他ところどころが機械化されている。
でもその機械化は世間に未公表で。
施した医者は失踪したそうだ。
お腹が空かないだけじゃない。
精神的にも変わってきている。
耳鳴りもする、気持ち悪い、上手く寝れない、
人と会うのが億劫だ。そう言ってくれた。
なのに俺といられるのは、安心感だそうだ。
「もう、一人暮らし無理かも…」
『実家は?』
「近い方。でもなぁ…。」
『やっぱ嫌だよね…』
「不良品だし、失敗作だからなぁ」
『しっぱいさく、ねぇ』
『あ、俺と住む?』
「え、いいの?」
『うん、一緒に引っ越そう。』
「……うん!」
病気が発覚する少し前、親に言われたそうだ。
“失敗作”と。
上手く手に力が入らなくて、モチベが下がった。
テストではギリ赤点。
手に力を込めるのに精一杯で内容が入ってこないのだそう。
進学は全て両親の地位とエリートな姉の推薦。
コネで入ったのだ。
始めのうちからかなり頑張ったそうだ。
家族に恥をかかせないために、って。
握力も鍛えた。でも上手く持てなかった。
じきに焦り募り、徹夜で勉強をした。
眠過ぎてご飯が食べれない、なのに吐きそう。
走ったら倒れるかも。それでも頑張っていた。
それも長くは続かず、ダウンした。
倒れたそうだ。入院沙汰になった。
それでも勉強に励んだ。
病院は同じ時間に完全消灯した。
だから唯一の連絡網の姉に頼んだ。
“ライトを持ってきて”と。
よくよく考えれば、1日目しか見舞いに来ず、なのに参考書を渡してきた両親は……。
本当は僕のことなんて見ちゃいないんだよ。
エリートな姉のキャリアにウトウトしている。
だけど、寂しさはなかった。
俺なら絶対に言えないことを、サラサラと話してくれたアズサの過去だ。
自己中なんじゃないの、思い込みだよ、言われるのが本当に嫌で怖かった。
でも言ってくれたのは多分…。
彼にとって日常茶飯事のようなことだったのか、俺を信用してくれたのか。
どちらにしろ、アズサを守っていこう。
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