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#7
side wki
文化祭当日。
俺たちのクラスの出し物はコスプレカフェで、教室の中は朝から笑い声とざわめきで溢れていた。
俺は黒いベストに白シャツ、蝶ネクタイにケープを合わせた執事のコスプレ。
鏡を見て、思ったより本気の衣装に少し照れたけど、それより気になるのは_アイツ。
大森は白いシャツに黒のショートパンツ、サスペンダー。
それにふわふわした猫耳をつけて、いつもより余計に困った顔をしていた。
その顔が、なんていうか、可愛すぎてずるい。
開店してすぐ、客がどっと押し寄せた。
女子たちは「大森くん可愛い〜!」って盛り上がって、大森の周りを囲む。
mob1「猫耳触っていい?」
mob2「写真撮りたい!」
大森は戸惑いながらも、小さく笑って対応していたけど、目はちょっと泳いでて、相変わらず困り顔だった。
それを見ているうちに胸の奥がちりちりと熱くなった。
(…別に、嫌じゃねーけどさ)
でも、あんなに大森を囲むなよって心の中で思う自分がいる。
何度か「あ、ちょっといいすか」って言って割り込もうかと本気で考えていた。
俺も俺で女子に囲まれて、「執事似合う!」「メニュー説明して!」とか言われた。
一応笑顔で「ありがとうございます」「こっちのケーキオススメっすよ」なんて応えたけど_
正直、頭の中はずっと大森のことばっかりだった。
あいつははちゃんと返事してるかな。
無理して笑ってないかな。
そんなことばっかり気になって、落ち着かなかった。
___
少し休憩時間ができて、大森は教室の隅のイスに腰を下ろしていた。
猫耳を外して、小さく息を吐いている。
俺も水を持っていって、その隣に腰を下ろした。
wki「お疲れ」
omr「…ありがとう」
ペットボトルを受け取る大森の指先が少し震えてて、その仕草に胸がきゅっとなった。
しばらくふたりとも黙っていた。
教室の外から聞こえる笑い声や音楽が、やけに遠く感じる。
大森がぽつりと呟いた。
omr「…若井ってさ、みんなに優しいよね」
wki「え?」
omr「ほら、さっき女子たちに囲まれても優しく対応してたじゃん」
wki「…まぁ」
omr「だから…俺への優しさも…たまに、勘違いしそうになるんだよ」
言われた瞬間、心臓が跳ねた。
(勘違い?なにが勘違いなんだよ)
少し強く言いそうになって、でも言葉を飲み込んだ。
wki「…俺さ」
大森の方を見て、少し言葉を選んでから口を開く。
wki「みんな同じに見えてるかもしんねーけど…」
小さく息を吐いて、正直に言った。
omr「…大森にしか優しくしてないつもりなんだけど」
大森は目を丸くして、顔が少し赤くなった。
omr「…うそだろ」
wki「うそじゃねーよ…お前、困った顔してるし。放っとけないから、つい気になって」
(つい、なんてもんじゃないけど)
大森は俯いて、指先で猫耳をいじってる。
omr「…そんなこと言うの、ずるい」
その小さな声が、妙に胸に響いた。
wki「ずるいかもな。でも、本当のことだから」
視線が一瞬ぶつかって、大森はまた顔を赤くした。
(…やっぱ可愛いな)
文化祭の喧騒の中で、大森のことしか見えていない自分にちょっと笑いそうになった。
店に戻る時間が近づいて、猫耳をつけ直す大森を横目で見ながら思った。
(女子に囲まれる大森を見ると、ちょっとムカつくくらいには、本気で気になってる)
大森が困った顔をしても笑ってくれるのは、やっぱり俺の前がいい。
そう思ったら、また胸が少し熱くなった。
side omr
文化祭当日。
クラスの出し物はコスプレカフェで、俺は白いシャツに黒のショートパンツ、それにサスペンダーと猫耳カチューシャをつけることになった。
朝から女子たちに「似合う!」「かわいい!」って笑われて、心臓がずっと落ち着かなかった。
猫耳なんて自分でも似合う気がしなくて、正直めちゃくちゃ恥ずかしい。
だけどそれ以上に気になるのは_若井がどう思うかだった。
控室から出てきた若井を見た瞬間、少しだけ息を呑んだ。
黒いベストに白いシャツ、蝶ネクタイにケープ姿。
思っていた以上に似合っていて、カッコよすぎた。
omr「…若井、似合うね」
自分でも声が小さく震えているのがわかった。
若井は「大森こそ似合ってんじゃん」って、あっさり笑って言ってくれて、胸が少し熱くなった。
開店すると、予想以上にお客さんが来た。
mob1「猫耳触っていい?」
mob2「写真撮りたい!」
女子たちに囲まれて、どう返事をすればいいのか分からず、ずっと困り顔になってしまう。
引きつった笑顔を作っても、内心はずっと焦っていた。
(こんなの…向いてないって)
ふと、視線を上げると若井がこっちを見ていた。
目が合ったら、少しだけ胸が落ち着いた。
若井も女子たちに囲まれて「執事似合う!」「カッコいい!」って騒がれてた。
「ありがとうございます」って優しく笑って応えてるのを見て_
(やっぱり、若井はみんなに優しいんだな)
それが少しだけ、胸に刺さった。
___
休憩の時間になって、教室の隅に座っていると、若井が水を渡してくれた。
wki「お疲れ」
omr「…ありがとう」
ペットボトルを受け取る指先が少し震えて、自分でも情けなくなる。
(なんでこんなに緊張してんだよ、俺)
沈黙が続いたあと、気づけば口から言葉が出てた。
omr「…若井ってさ、みんなに優しいよね」
wki「え?」
omr「だから…俺への優しさも…たまに勘違いしそうになるんだよ」
自分でも言ったあと、すごく恥ずかしくなった。
でも、本当 にそうなんだ。
若井は誰にでも優しいから、その優しさが自分だけのものじゃない気がして_
勝手に期待して、勝手に落ち込むのが怖かった。
wki「…俺さ」
若井が少し真剣な顔になって言った。
wki「みんな同じに見えるかもしんねーけど、大森にしか優しくしてないつもりなんだけど」
心臓が跳ねた。
(うそ、だろ…)
驚きと嬉しさと照れで、顔が一気に熱くなる。
omr「…そんなの、ずるい」
本当に、ずるいよ。
そんなこと言われたら、期待しちゃうじゃんか。
若井は少し笑って言った。
wki「ずるいかもな。でも、本当のことだから」
その声はすごく優しくて、胸の奥に響いた。
再び店に戻って猫耳をつけ直しながら、少しだけ指先が震えていた。
頭の中はずっと、さっきの言葉でいっぱいだった。
若井はやっぱり、特別なんだって思った。
(…期待しても、いいのかな)
そう思った瞬間、また胸が苦しくなったけど_
同時に、少しだけあたたかい気持ちになった。
文化祭のざわめきの中で、若井の姿を探してしまう自分がいた。
はよ進展しろって感じですよねー
次回 急展開、?