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リハーサルを終えた控室は、まだ汗と熱気の匂いが残っていた。
シューヤは椅子に腰かけ、肩にかけたタオルで汗を拭きながら、隣でぐったりとするハルを見た。
「ハル……疲れた?」
少し柔らかめに声をかけると、ハルは小さくうなずいた。
「よし、じゃあここでゆっくりしよ」
シューヤは手を伸ばし、ハルの肩を優しく抱き寄せる。
「……でも、重いよ?」
「大丈夫。俺に預ければいい」
甘い響きに、ハルの頬が赤くなる。
ソファの端に座り直し、ハルを自分の胸に軽く引き寄せると、ハルは顔をうずめた。
「シューヤ……俺、こんなに素直になれるの、初めてかも」
そう言うハルに、シューヤは微笑む。
「そっか。なら、俺が守ってあげる。ゆっくり甘えて。」
指先でハルの髪を撫でるたびに、ハルは小さく息を漏らす。
「……ずっと、こうしててもいい?」
「もちろん。誰にも邪魔させない」
二人だけの静かな時間が流れる控室。
シューヤの優しい手と声に、ハルは安心して身体を委ねた。
甘えた夜――
二人の距離は、誰も触れられない温かさで満たされていた。