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朝日の逆光を背負って、柔らかく
けれど逃れられない確信を持って微笑むアルくん。
彼の口から溢れ出したその告白は
私の脳内を真っ白な光で染め上げるのに十分すぎる威力を持っていた。
「ずっと……、好きだった……??」
鸚鵡返しに問いかけるのが精一杯だった。
信じられない思いと、胸の奥から湧き上がる熱い衝動が混ざり合い、視界がじんわりと滲む。
「そうだよ。いつから、なんて明確な境界線はないけれど。自分でも制御できないくらい、ずっと昔から」
「え…っ、え?だってそんな素振り…」
「ねえ、エマちゃん。僕が君をただの『守るべき幼馴染』として見ているなんて、本気で思ってたの?」
アルくんはふわりと優しげに目を細めると、ベンチに座る私の隣へ
逃げ道を塞ぐように距離を詰めて座り直した。
彼の逞しい腿が私のドレス越しに触れ、そこから伝わる確かな熱量に心臓が跳ね上がる。
「だ、だって…!アルくんはいつも誰にでも平等に接して、完璧な騎士様で……私に対しても、いつだって『優しいお兄ちゃん』みたいな顔しか見せてくれなかったから…っ」
絞り出すような私の反論に、彼は少しだけ困ったような、けれど酷く艶やかな苦笑を浮かべた。
「それは、僕が独占欲を剥き出しにしたら、エマちゃんのこと怖がらせてしまうと思ってたからだよ」
「いや、引かれるかな、とも思ってた。必死に理性で抑えてたんだ……でも、今回の君の『作戦』には、さすがに参ったな」
「カイル伯爵と仲睦まじくしているのを見たときは、正直、彼をそのまま騎士団の最深部にある地下牢に放り込んでやろうかと思ったくらいには、頭に血が上ってたんだ」
冗談めかした口調ではあったけれど
私を見つめるその瞳の奥に宿る「光」は、あながち冗談とは思えないほど鋭く、昏い情熱を孕んでいた。
「ご、ごめん!でも、アルくんも…昨夜、その……お、お水を、あんな風に……」
口移しの記憶を羞恥と共に口にすると
アルくんの細く長い指先が、私の唇を慈しむようにそっとなぞった。
その感触だけで、昨夜の甘美な熱が全身に蘇る。
「あれは、ごめん。エマちゃんがあまりにも無防備な顔で、僕の服を掴んで『好き』なんて言うから」
「そ、それは…無意識で…!」
「……でも、ハニートラップ仕掛けたならさ、責任、ちゃんと取ってほしいな」
「……責任?」
「そう。もう、こんな『ハニートラップ』なんてしないで、これからは僕も素直になるから、僕の愛だけを、真っ直ぐに受け取ってほしいんだ…」
彼は有無を言わせぬ力強さで私の腰を引き寄せ
耳元に顔を寄せた。
肌を焼くような熱い吐息とともに、地を這うような低い声が鼓膜を震わせる。
「これからは二十四時間体制で、エマちゃんのこと溺愛するから……覚悟してね」
その瞬間、私はようやく悟ったのだ。
私が必死に仕掛けた拙いハニートラップは、成功どころか
アルヴィンという名の完璧な騎士の中に眠っていた「最強の独占欲」という名の怪物を
完全に目覚めさせてしまったのだということを。
「あ……アルくん、ちょっと…顔が近すぎない…っ?」
「いいでしょ?僕たちは今、想い合ってたってことが証明されたんだから」
彼は悪戯っぽく、けれどどこか征服欲を滲ませて微笑むと
私の返事を聞く前に、今度は深く、深く───
二度と私を離さないと誓うように唇を重ねてきた。
私は羞恥と幸福感で頭が溶けそうになりながらも
アルくんの甘くて強引な腕の中に、心地よく沈んでいった。
完璧な騎士様の、不完全で、けれど誰よりも剥き出しで熱い独占欲。
これからは、この抗えない熱に溶かされ、愛される毎日が始まる。
作戦は大成功……だったのかな?
あまりにも彼が「オス」の顔をするから、幸せすぎて少しだけ怖いけれど。
彼の腕の中がこんなに温かくて、私だけの居場所だと言ってくれるなら
もう、作戦なんて、いらないわね。