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小学4年生の時に僕は友達でもない同級生に言われました。
「怒られないなんて愛されてないよ」と。
僕は一ノ瀬しおん。同居人の人が行方不明になり、住めなくなったので家を出てきた。
家族なんていないし、帰れる場所もない。もう人生には飽き飽きしていたし、
生きる気力もなかった。今ならなんでも出来そうだ。こんな恐ろしいことを考えるほど
僕には何も残っていない。
僕が持っているのはスマホと電車に使うICカードだけ。残高は約2000円のみ。
もともとは3000円程度あったんだけど、埼玉から東京に来るまでに1000円使ってしまった。
しかもスマホの充電は切れていて使い物にならない。
「ホントにどうしよう….」
僕は渋谷の路地裏で考えながらうろちょろしていた。
すると
「もう!あいつまたこき使いやがって….あのクソパワハラ上司… 」
すごく怒って焦っている様子のスーツを着て黒縁メガネもかけて、
見るからに冴えない男の人が立っていた。
僕はどうしてもその人から目が離せなかった。
お願いしたらなにかしてくれそうな目をしていたからだ。
「なんだい君?」
話しかけられてしまった…!
「ばっ!!!バカにしてごごごごごッごめんなさい!!!」
ビックリした僕は謝ってその場から立ち去ろうとした。
「ちょっと待ってよ。」
腕を掴まれてしまった。何されるのか不安で仕方がない。
「君、家出中?」
なんでバレたんだ!!!!!!
「ち….違いますし….」
咄嗟に答えた
「本当にぃ?」
「ほんとですって….」
震えながら答えた。
「じゃあお金あげる必要はないか」
「え?」
聞き捨てならない言葉が聞こえた。
「家出くんだったら僕の仕事の手伝い頼んでお給料あげたのに。」
「なんですって?!」
その男の人は、苦笑いをした。
でも見ず知らずの男の人に誘われた手伝いなんて怖くないか?
いやそれよりも金がない…..行くあてもない….
僕にはもう何をされても失うものはない。もし殺されたとしても
楽に殺してくれさえすれば、好都合。どちらにせよ僕にとってメリットはある。
「家出息子です。」
ドヤ顔で言ってしまった。別に誇れることでもないはずなのに。
「そうかそうか!!」
男の人は嬉しそうに苦笑いをした。
「じゃまずはその服どうにかしよう!パーカーだけじゃあんまよくないし!」
既に嫌な予感しかしないが、まぁいい。
僕は手を引かれてある店に連れてこられた。
「うーーーーーーーーーーーん。」
男の人はすごく悩んでるようだ。
「スカート?….それともズボンがいいか?….」
スカート?…..
今スカートって言った??….まじで何させられるんだ?如何わしいものじゃないだろうな
「あっそうだ君名前は?」
話しかけられてびっくりした。
「あっ….一ノ瀬しおんです….」
「年齢は?」
「16です。」
「へぇ。」
16歳の未成年でも気にしないのか!!!!……
そもそも僕は男だぞ….もしかして女性相手?….ってことか?….
男の人は何かに悩んでいた。そして、
「君。一応聞くけど」
何を聞かれるのか不安で心臓の音がうるさい。
「女の子だよね…..??」
僕は目をかっぴらいて男の人に答えた。
「ち が う……….」
「ハッ…..」
男の人はハッと口を手でおおってしまった…..
僕の方が口を手でおおいたい。
確かに華奢だし女々しいとよく言われるし髪の毛もしばらく切ってなかったから
ボブのなりかけみたいな髪型だけど….
それでも流石に女の子に間違えられたことはショックだった。
「なんかごめんね….」
「別にあんな事やこんな事はまだないから安心してね….」
謝られるともっと虚しくなる。やめてくれ…..
でもあんな事やこんな事疑惑は消えて少し安堵した。
まて…..まだ?…….
「じゃああっちのコーナー行こうか….」
ここは女性コーナーだったらしい….
「しおんくん。これ。試着してきてくれないかい?」
男の人に渡されたのはスーツだった。
僕は試着室でスーツに着替えて男の人に見せた。
男の人は言った。
「….女々しいな….」
やめてくれ….
「サイズはピッタリだね!」
男の人はスーツの会計をして、また僕の手を引いた。
そしてある店の中に連れてこられて、僕は椅子に座らされた。
椅子の後ろには強面のハサミを持った人がいて、その強面に男の人は言った。
「バッサリと切っちゃってください!!!」
そう。連れてこられたのは、
美容室だった。僕は美容室で髪の毛をバッサリと切ってもらい、
普通のそこら辺にいそうなストレートの短髪になった。
「久しぶりに髪の毛切った….」
「女々しい顔してるのに案外似合うじゃないか!!」
この人は一言余計。
「さぁ!準備は整った!!」
僕はまた手を引かれて、ビルの中に連れてこられた。
個室のようだ。
「仕事内容の説明ね。」
「はい….」
覚悟を決めた。何を言われても驚かない。
「ちなみに私の名前は後藤はじめ。毎日嫌いな上司にパワハラを受けている可哀想な24歳だよ!」
自分で言ってるとことかどこかズレてる….この人…
「さぁ。仕事内容説明に移るよ!文字の読み書きはできる?」
「できます。」
「じゃあこの書類を読んでね!」
渡された書類を読んだ。
書類には、こう記されていた。
『飯塚智生43歳 独身 両親は他界 兄弟はいない。
現在は東京都六本木○○のアパートに住んでおり、500万の借金の返済が済んでない。』
という文字と共に、その飯塚智生という男の顔と思われる写真がプリントされてあった。
「またこいつかぁ….」
後藤さんは何か知っているようだった。
「前言ったばっかなのにぃ….こいつ嫌なんだよね….太ってるし臭いし…..」
悪口ばかりで引いた。
「おい後藤!!!」
いきなり後ろに現れた人が後藤さんを呼んだ。
「げっ…….」
後藤さんは怪訝そうな顔をした。
「てめぇ誰だ此奴。」
その人は僕のことを指さした。
「ああ。しおん君っていうんだよ。」
後藤さん…多分名前を聞いてたんじゃない…..どうしたんだこいつって事じゃ…
「いやそういうことじゃねぇよ!!」
やっぱり!!
後藤さんやっぱりズレてる…
「いやぁ。人員不足なもんで、しおんくんをうちの部下にしようと思ってるんだよねぇ」
「はぁ….此奴にも家族ってのがいるだろ?」
僕は家族っていう言葉に酷く敏感だ。
「いないです…..家族….」
「まじかよ。」
そう。僕には家族はいない。両親は僕が4歳の時に目の前で事故死したのだ。
泣きわめいていた僕をその場にいた金髪のお兄ちゃんが拾ってくれて、
育ててくれていた。だが、先月。そのお兄ちゃんはいなくなった。
僕は捨てられたんだ。だから住んでいた家から出てきた。
「お前。いくつだ?」
「16です」
「若いな。可哀想に。こんなやつに拾われちまって….」
僕を哀れんだ。
だが後藤さんがドヤ顔で口を挟んだ。
「まぁ!僕らも家族はいないしね!だからこそできる仕事だよ。」
後藤さんたちも家族がいないんだ。 それに家族がいないからこそできる仕事って…..
「おい後藤。ドヤ顔で言えることじゃねぇぞ。」
「うるさい!上司って言ったって君は僕と同い年なんだからね!このパワハラ常習犯!!」
どうやらこの人は後藤さんの上司らしい。
「てめぇぇ!!少しでかいからって調子乗るなよ!!」
「チビがうるさい!!!」
すごい仲が悪いみたい….大型犬とチワワみたいだ…..
「まぁいい。俺は門平りくだ。よろしくなしおん。苗字は?」
「よろしくおねがいします….一ノ瀬です。」
「わからないことは”全て”後藤に聞けよー」
門平さんはそう言い残し部屋から出ていった。
「また押し付けやがって…まぁりくにしおんくんを渡すなんて微塵も思ってなかったけどね。」
門平さんと後藤さんはどういう関係なんだ?
「門平さんと後藤さんはここの仕事就く前からの知り合いなんですか?」
「そうそう!中学の時からの同級生だったんだよ。」
「そうなんですね。」
「ちなみに私はりくより早くこの仕事に就いているからね!!」
「え?でも門平さんの方が立場が上だったじゃないですか…」
「それは私がこのチームのリーダーになることを断ったからだよ。
めんどくさいじゃないか。人をまとめるのって。私は生きていればなんでもいいのさ。」
「そ..そうなんですね….」
やはり後藤さんは少し他の人とは違うオーラを放ってる….
緊張が解けてきた。今ならなんの仕事か聞けるかもしれない。
「ご…後藤さん!」
「どうしたんだい?」
聞くぞ!!!
「一体なんのお仕事なんですか?!」
聞いたぞ!!!!!
「うーーん。」
「簡単に言うとねぇ。」
「世間一般的にこの仕事をなんというか、」
「ヤクザだね。」
僕は息を飲んだ。
思ったより重そうなこの仕事に僕は頭が真っ白になってしまった。
「君はもう逃げられないぞ!!HAHAHAHA!!!!!!」
後藤さんは言った。
この人。やっぱり変人だ…..
どうなるのやら…..
2話へ続きます。
2話以降はチャット式となるのでプロフィールからぶっ飛んでください。