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凛玲🍃🎐
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きりたんぽ
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みなさん、こんにちは!作者です。
全54話のフォロワー数39人記念(現在57人!)の長編連載、【第2話】をお届けします!
今回のテーマは、企画募集の段階でも特にたくさんのリクエストをいただいた冬の魔物、『コタツ』です。
日本の伝統的な暖房器具を前に、ナチ、イタ王、日帝の旧枢軸組と、ソ連、ロシア、そして現枢軸の面々がどのような反応を見せるのか……。
イタ王は現伊と同じく、明るくフランクで親しみやすい口調で喋ります。1話1話がかなり長く、キャラクターたちのテンポの良い掛け合いをこれでもかと詰め込んだ濃厚な日常劇になっています。
それでは、コタツという名のブラックホールに吸い込まれていく9人の様子をどうぞお楽しみください!
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⚠️ 注意書き
・本作は国を擬人化した二次創作(カントリーヒューマンズ)のフィクションです。
・実際の歴史、政治、国、地域、団体とは一切関係ありません。
・全員が一つ屋根の下で暮らしている超平和時空の日常ものです。
・キャラクターの口調や関係性に独自の解釈が含まれます。
・旧枢軸国はナチ、イタ王、日帝の3名として描写されます。
・イタ王は現代のイタリア(現伊)と同じ、明るくフランクな口調で喋ります。
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第2話:コタツという名のブラックホール
1.リビングに現れた未知の建造物
11月半ば。シェアハウスの窓の外では、冷たい木枯らしが庭の木々を激しく揺らし、落ち葉を容赦なく巻き上げていた。
つい数日前までは「少し肌寒いな」程度だった気温が、一晩のうちに急降下し、今や一歩廊下に出るだけで身震いするほどの本格的な冬が到来していた。
「……寒い。非常に寒い。我が国の冬に比べれば微々たるものだが、このハウスの気密性にはいささか問題があるのではないか」
リビングの頑丈なドアを開け、厚手の軍服コートの襟をしっかりと立てながら入ってきたのはソ連だった。いつものように冷徹な眼光を周囲に走らせるが、その寒さのせいか、心なしか肩が少し縮こまっているように見える。
そんなソ連の視線の先、リビングの中央に、昨日まではなかった不思議な家具が鎮座していた。
それは四角い木製のローテーブルなのだが、なぜか天板と脚の間に、分厚いキルティングの布団が挟み込まれている。そして布団の隙間からは、何やら怪しげな赤色の光が漏れ出ていた。
「おい、日帝。これは一体何だ? 新種の防空壕か、あるいは我が国を欺くための秘密兵器か?」
ソ連が険しい表情で、リビングの隅で湯呑みを手にしていた日帝に問いかける。日帝はいつものようにシワひとつない着物を端正に着こなし、背筋をピンと伸ばしたまま、穏やかな、しかしどこか誇らしげな笑みを浮かべた。
「これは『コタツ』という、我が国の伝統的な暖房器具ですよ、ソ連さん。兵器などと人聞きが悪い。冷え込む季節を健やかに乗り切るための、知恵の結晶です」
「知恵だと? たかが机に布団を掛けただけで、この寒さが防げるわけが……」
不審げに眉をひそめるソ連の横を、すり抜けるようにして進み出た者がいた。ナチだった。
ナチはいつものように完璧に仕立てられた黒い軍服をまとい、腕章を誇らしげに見せつけながら、コタツの前に腕組みをして立ちはだかった。
「ふん、日帝。我がドイツの科学力によるセントラルヒーティングに比べれば、このような局所的な暖房器具など原始的極まりない。効率性のカケラもないではないか」
「まぁまぁ、ナチさん。そう硬いことを言わずに、まずは一度試してみてください。百聞は一見に如かず、と言いますからね」
に促され、ナチは不承不承といった様子で、コタツの布団の端を少しだけ持ち上げた。中から、言葉では言い表せないほどの、じんわりとした極上の温風がふわりと鼻先をかすめる。
「……チッ。そこまで言うなら、調査の一環として体験してやろう」
ナチは軍服の裾が汚れないように細心の注意を払いながら、ゆっくりと床に腰を下ろし、長い脚をコタツの布団の中へと滑り込ませた。
数秒の後。
ナチの鋭く尖っていた眉間のシワが、みるみるうちに霧散していくのを、その場にいた全員が見逃さなかった。
「……ぬ」
「ナチさん? いかがですか?」
日帝が尋ねる。
「……ぬ、ぬくとい。なんだこれは……。足元から全身の血管を通じて、温かい血液が脳を侵食していくような感覚だ……。我が国の科学力をもってしても、この『全自動堕落空間』を説明することはできん……」
ナチはすでに、背筋をピンと伸ばしていた姿勢を崩し、天板に両肘をついて完全に脱力していた。あの冷徹な独裁者の面影は、そこには微塵も残っていなかった。
2.吸い寄せられる者たち
「ひゃっほーーーう! 何これ、すっごく面白そう!」
リビングの空気を一変させる大声と共に飛び込んできたのはイタ王だった。
イタ王は華やかな装飾のついたジャケットを翻し、ナチの様子を見るなり目を輝かせた。
「ねえねえナチ、そんなに気持ちいいの? 俺も入れて!」
「来るな、イタ王! お前が入るとコタツの中の熱効率が乱れる! ……あ、待て、引っ張るな、布団がめくれるだろうが!」
ナチの抗議も虚しく、イタ王は滑り込むようにしてナチの隣のスペースへと陣取った。足を中に入れた瞬間、イタ王の口から「はにゃあ……」という、緊張感の欠片もない声が漏れ出た。
「うわぁ……これ最高じゃん……。もう一生ここから出たくない。ねえ、今日のランチはここにピッツァをデリバリーしてもらうことにしようよ」
「コタツの上でピz((ではなくピッツァを食べるな、汚れるだろう! ……いや、しかし、動きたくないという意見に関しては、全面的に同意せざるを得ないな……」
ナチはすでに、コタツの魔力に完全に屈服していた。
「……お父さん、僕もそこに入りたいな」
リビングのドアから、大きな体をさらに丸めるようにしてロシアが入ってきた。
ロシアは大きなオーバーサイズのセーターを着ており、寒さのせいか顔を少し赤くしている。彼はソ連の後ろからトボトボと歩いてくると、コタツの空いている一辺に、のっそりと腰を下ろした。
ロシアの巨体がコタツに入ると、それだけで布団が大きく持ち上がる。
「わあ、ロシアさん、どうぞ。狭くはありませんか?」
日帝が優しく微笑みながら、自分もコタツの最後の一辺へと滑り込んだ。これで旧枢軸の三人とロシアがコタツの四方を囲む形になる。
「ううん、すっごく温かい……。ロシアの冬はいつも凍えそうだから、こんなに優しい温かさは初めて。日帝のお布団、大好き……」
ロシアは嬉しそうに目を細めると、天板の上に顎を乗せ、まるで大きな猫のように丸くなった。
その様子を、まだ仁王立ちのまま見下ろしていたソ連は、フンと鼻を鳴らした。
「だらしないぞ、お前たち。たかが温まった四角い箱に魂を売るとは。国としての威厳はどこへ行ったのだ」
「お父さんも入ればいいのに。すごく気持ちいいよ?」
ロシアが布団の中から手だけを伸ばし、ソ連のコートの裾をぐいぐいと引っ張る。
「やめろ、ロシア。私はそんな子供騙しのギミックには騙され……」
引っ張られた拍子に、ソ連の足が少しだけ布団の中に踏み入った。その瞬間、ソ連の動きが完全に停止した。
ピキ、と凍りついたような静寂の後、ソ連は無言のまま、コートのボタンを素早い手つきで全て外し、それを床に放り投げると、ものすごいスピードでコタツの隙間に滑り込んだ。ロシアのすぐ隣、イタ王の正面のスペースだ。
「……ほう。この熱源、実に安定的だな。五カ年計画のように無駄がない。日帝、これを我が国でも大量生産するべきだ」
「気に入っていただけて何よりです、ソ連さん」
日帝が満足そうに頷く。こうして、かつての世界を揺るがした大物たちが、ひとつのコタツの中で完全に「無力化」されたのだった。
3.現代の光景と、みかんの審判
「うわっ、何これ!? リビングに巨大なブラックホールがある!」
ガチャリとドアが開き、現代の枢軸国の三人が帰ってきた。
先頭を歩く現独は、買い出しの袋を両手に持ったまま、コタツに群がる先輩たちの姿を見て呆然と立ち尽くした。
「ちょっと、ナチさん! あなた、今日中に仕上げなきゃいけない書類の整理はどうしたんですか!」
「うるさい、現独……。あのような紙切れ、明日やればいい。今の私は、このコタツの維持管理という重要な任務に就いているのだ……」
ナチは天板に突っ伏したまま、目だけを現独に向けて弱々しく言い放った。
「パパー! 俺たちも混ぜてー!」
現伊が荷物を床に放り投げ、イタ王の背中に飛びかかるようにしてコタツの輪に加わろうとする。
「おっ、現伊! 来い来い! ここ、すっごく天国だよ!」
イタ王が嬉しそうに現伊を迎え入れ、ひとつのスペースを二人で分け合う。現伊は「わあ、本当にぬくぬくだぁ!」と声を弾ませた。
現日は、タブレットPCを小脇に抱えたまま、日帝の隣にちょこんと座った。
「やっぱり冬はコタツですよね、日帝さん。あ、現独さん、お買い物してきた荷物、私が片付けますから、現独さんもどうぞこちらへ」
現日に手招きされ、現独は「まったく、みんなして怠けて……」とブツブツ文句を言いながらも、荷物を現日に預け、ナチの隣の僅かな隙間に足を滑り込ませた。
「……っ!?」
現独の体がビクッと震える。
「……これは、まずい。思考能力が停止する。ドイツの効率主義が、この温風によってすべて融解していくのがわかる……」
「くふふ、現独も仲間入りだね!」
イタ王が笑う。
その時、現日が買い物袋の中から、鮮やかなオレンジ色の物体がたくさん詰まった網を取り出した。
「コタツといえば、やはりこれです」
現日が取り出したのは、大量の「みかん」だった。
現日はみかんを大きなガラスの器に盛り、コタツの天板の中央に静かに置いた。
その瞬間、コタツを囲む全員の視線が、一斉にそのみかんの山へと集中した。まるで、新たな配給物資を目の当たりにしたかのような緊張感が空間に走る。
「……みかん、か。ビタミンCの補給は、冬場の健康管理において極めて重要だ」
ソ連が真剣な顔で呟く。
「お父さん、僕が剥いてあげるね」
ロシアが大きな手でみかんを一つ手に取ると、驚くほど器用な手つきで、皮を一切途切れさせることなく、一枚の芸術的な「花の形」のように剥いてみせた。
「はい、お父さん」
「うむ、よくやった、ロシア」
ソ連はロシアから受け取ったみかんの房を口に運び、満足そうに目を細めた。
一方、ナチと現独のドイツコンビは、みかんの皮の剥き方について何やら静かに議論を始めていた。
「現独、お前のみかんの剥き方は雑だ。なぜそう四方八方に皮を撒き散らすような剥き方をする。白い筋の除去率も不完全だ」
「ええっ、だってナチさん、そんな細かいところまで気にしてたら、食べるのに時間がかかっちゃいますよ。ほら、こうして一気に剥いた方が効率的です!」
「馬鹿者、美しくない効率など、我が国のプライドが許さん。見ろ、日帝の剥き方を」
言われて二人が日帝を見ると、日帝はそれはそれは静かに、まるで茶道のお点前でも見せるかのように、一切の無駄なく綺麗な球体のまま皮を剥き終えていた。
「お見事です、日帝さん」
現日が拍手を送る。
外ではヒューヒューと冷たい風が吹き荒れている。
しかし、この四角い布団の境界線(ボーダーライン)の内側だけは、世界で一番温かく、そして一番平和な熱で満たされていた。
「ねえ、本当に今日のご飯、誰が作るの……?」
イタ王の弱々しい声に、誰も答える者はいない。
ナチも、ソ連も、ロシアも、現枢軸も、全員がみかんを口に運びながら、ただただ幸福な睡魔の底へと沈んでいくのだった。
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第2話もお読みいただきありがとうございました!
ついにコタツという悪魔の兵器によって、ハウスの最強メンバーたちが完全に無力化されてしまいましたね(笑)。
ロシアの器用なみかん剥きや、ナチと現独の不毛な効率論争など、書いていてとても楽しかったです。
次回は、コタツからなんとか脱出した彼らが、主婦の戦場であるスーパーのタイムセールへと挑むお話です。
というわけで、このまま【第3話:スーパーのタイムセールは戦場ではない】へ進みます!
3話目に向けて、「このキャラにこんな活躍をしてほしい!」などのリクエストがあればぜひ教えてください!
コメント
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ヤバい…親が目の前に居るのにナチさんとソ連の言葉でツボっちゃった
第2話、めっちゃ面白かったです…!コタツの魔力にみんなが次々吸い込まれていく様子が、なんかもう可愛くて仕方なかったです。特にナチが「ぬくとい」って言って屈服した瞬間と、ソ連が無言でコート脱いで滑り込んだシーン、ツボりました。ロシアの器用なみかん剥きもほっこり。重たい世界観が一気にほのぼのして、このギャップがたまらなかったです。次回のスーパー戦争も楽しみにしてます!