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塵

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1 - 塵

♥

1,101

2025年09月02日

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どうもお久しぶりでございますさーもんです。なんで私は数ヶ月に一作品しか書けないのでしょうか。ずっと疑問です。自分のことなのに。リクエストの作品は今進めてるのでいつか投稿します👍🏻

そういえば、私愛知公演1日目行ったんですよね。クソ楽しかったです。🤪🦁の絡みが多くてうれしかったなあ

そんなことは置いといて、つい最近『屑』のいいね数が3000を超えて…!ほんに嬉しいですありがとうございます😭過去に書いた作品は恥ずかしいのであんま見たくないんですけど、勇気をだして見てみたら結構設定とかちゃんとしててびっくりしました。あの頃と書き方はだいぶ変わりましたが、今回初めて続編?続き?というものを書きたいと思います!『屑』のコメ欄にあったのを参考に、続きを書かせていただきます。今回も文字数多いですが楽しんで読んでもらえたらうれしいな。

『屑』を読んでなくてもギリ見れる内容にはなってますが、読んだ方がもっと楽しめると思います!

前回のお話の桃さん視点と思ってもらったらいいです!黒さん視点もちょっとあります!



⚠ATTENTION PLEASE⚠

irxs

桃青

微微黒青

桃さんキャラ崩壊

R18有

モブ女と黒さんの絡み有

通報❌

純粋さん・地雷さんは閲覧を控えることをお勧めします





※前作『屑』を読んでから見るのをおすすめします












『塵』







「すき、っ…、俺、ないこ、が、」



「だいす、き、なのぉ、っ…」




「…うん、いい子、」





やっと、やっと、

やっと堕ちてくれた。


やっと手に入れた、やっと俺だけのものになった、


やっと、やっと、…







突然だが、俺には好きな人がいる。それが、高校からの親友のまろ。まろとは大学も同じで、そこでたまたま出会ったりうら、ほとけ、しょう、ゆうすけの6人でよく一緒に過ごす。まろのことは、出会った頃からずっと好きだった訳ではない。でも、気づけばまろは隣にいたし、何かあればすぐまろを誘って、一緒に飯食って、そんな日々が当たり前になっていたせいで、何時からか芽生えた恋心に自覚するのには時間がかかった。

ただ、最初の内はまろと一緒にいれるだけでよかったんだ。最初の内は。なのに、まろが俺のことをもし好きだったら、と思うようになって、まろに求められたくて、試すことにした。そのために好きでもない人と付き合った。まろ含めいつもの5人にそれを報告すると、皆が祝福してくれる中、まろだけは1度目を見開いて俺を見た後、眉をしかめながら黙ってスマホを弄り始めた。そこで気づいた。


(まろも、おれのことすきなんだ)


普段のまろなら、こういう時は誰よりも大きな声でお祝いしてくれるはずだ。なのに、その時だけ は、拗ねた子供のように口を開かなかった。


(これは、嫉妬してるんだ、俺に。)


そうなったらもう思うがままに、まろのことを堕としていった。そうするつもりだったのに、俺はまろの嫉妬した表情と、普段より多い貧乏ゆすりに、これまでに無い愛おしさを感じた。もっと、その顔が見たい。もっと、俺のことを考えて、もっと、俺の事で頭ぐちゃぐちゃにして、俺の事もぐちゃぐちゃにしてくれ。今思えば、俺がまろに堕ちてしまったのかもしれない。


俺の惚気話を引き攣った笑顔で聞くまろを見るのが習慣になっていった頃、俺は結婚した。もちろんしたくて結婚した訳では無い。まろが、俺を好きだと言ってくれるために、まろを俺だけのものにする為にしたんだ。結婚式を終えた数ヶ月後、久しぶりにまろと二人で飲みに行って、まろの悩みを聞くという口実で酒をたらふく飲ませた。酔ったまろはあまりに無防備で、思わず襲ってしまいそうになった。その後酔いつぶれたまろを公園まで連れていき、ベンチで寝かせた。目を覚ましたまろは、先程より酔いは覚めてるものの目はとろんとしていた。


『なぁ、ないこ、 …結婚してから…どう、?』


いきなりまろにそう訊かれた時は流石に驚いたが、いつものように思ってもいない言葉をつらつらと並べた。それをすぐ信じてしまう愛しの人は、俺の大好きな表情で俺のことを見つめていた。


その後だ、俺が待ち望んでいた言葉を、泣きながら紡ぐまろをベンチに押し倒したのは。「すき、だいすき」とせがみながら言う彼を、俺は世界一愛おしく、あどけなく、かわいそうだと思った。


俺の下に敷かれているまろは、右手で目を覆いながら本音を零している。


「ね、まろ、」


無理やりまろの右手を引き剥がすと、涙でぐちゃぐちゃな顔がこちらを見つめてくる。


「…どうしたい?俺と、どうなりたい?」


青い目が少し揺らぐ。その瞳には、きっと俺しか写っていない。


「…つ、つき、…つきあい、たい、っ…」

「…ふふ、そっか、」


泣いているせいで途切れ途切れになった言葉に、なんて無邪気で可愛らしいのだろうと、優しく青い髪を撫でる。驚いたのか、まろの体がぴくりと反応した。


「いいよ、付き合おっか」

「…ほ、…ほん、と?」

「うん、ほんとだよ」

「でも、だめ、だよ、…」

「?どうして?」

「ない、こ、…けっこんして、…」

「うん、けど、離婚すればいいし」


そう言うと、まろは目を丸くした。そして、いきなり飛び起きたと思ったら俺の肩を掴んで大声で言った。


「そ、そんなのダメに決まってるやろっ!!!」


「…は、」


「おれは、おれのこの気持ちは、ないこたちには関係ない。やから、 」


まろの話を自分の唇で塞ぎ込む。どうせ、まじめなまろのことだから、俺が奥さんのことを本当に好きで結婚したと思っているんだ。まあ、そう思うのは普通だけど。

唇を離すと、顔を紅潮させて固まっているまろがいた。

俺は、まろ以外に興味は無い。誰にどう思われたって、まろに嫌われさえしなけりゃ、俺の人生にはそれだけで価値がある。ずっと求めていたものが、俺の手で堕ちて、俺のことだけ見つめて、俺のことだけ考えている。ああ、なんて素晴らしいのだろう!


「…」

「ねぇ、俺もまろのこと好きだよ」

「……うそだ」

「嘘じゃない、この世の誰よりもまろを愛してる自信あるから」

「、っからかってんなら…」

「からかってないよ、まろは俺と付き合いたくないの?」

「つきあいたい、けど…それで、ないこたちが離婚するなら、俺はつきあわない。」


やっぱり彼は真面目というか、律儀だな、と頭の片隅で思う。俺に嫉妬してる癖に、なんでそっちのこと優先できるのかなあ。理論的な彼はこんな時でも冷静だ。そんなところも好きだけど。


「わかった、じゃあ、もう離婚したって言ったら?」

「………え?」


俺がそう言うと、まろは驚いたように目を見開いた。


結婚式の数日後、俺は妻にこう言われた。


『ねえ、他に好きな人いるでしょ』


なぜ分かったのかは知らない。結婚式が終わってもたまにまろの写真を見て心を癒したり、たまにまろと電話していたのがバレたのかもしれない。


『離婚しよう』


そう、彼女の方から告げられた。俺は酷く絶望した。離婚するなら、まろと付き合った後にしたかったからだ。離婚した、とまろに言って慰めながらも少し嬉しそうなまろも見たい気がしたが、それよりも俺は、嫉妬でぐちゃぐちゃになりながら俺に気持ちを伝えてくれる姿が見たかった。

なら、まろには言わずに、離婚しよう。そして、まろに好きだと伝えてもらうまでは、離婚したことは言わないでおこう。


『わかった』


俺は、迷わず承諾した。




「り、こん、したん?」

「うん、」

「……なんで」

「奥さんに、『他に好きな人いるでしょ』って」

「……」

「本当だよ」

「じゃあ、なんで指輪してんの」

「ん?これ結婚指輪じゃないよ」

「えっ」

「ただのアクセサリーだよ、あっ!中指に付けようとしたのに間違えて薬指につけちゃった!」


白々しい演技をすると、まろの眉間に皺が寄る。嘘は付いていない。ただ、まろに嫌われない為の言い訳を作っているだけで。


「まろ」


耳の近くで囁くと、まろの肩が少し跳ねた。今すぐにでも抱き潰したいのを理性が引き止めた代わりに、まろを腕で優しく包み込む。


「…なあ、さっきみたいなキスじゃなくて、ちゃんとしてや」


俺の肩に手を置いて、上目遣いでこちらを見つめてくる。


それに釣られるように、彼の唇に口づける。一度目は触れるだけ、そこからは、食むようにして彼を味わった。



この小悪魔に、俺はどれだけ心を振り回されるのだろう。






『まろ、今から俺の家来れる?』


そうまろにLINEをする。するとすぐに既読がつき、


『うん、ええよ』


と返事が返ってきた。こういうところが好きなのだ。二つ返事ですぐに返してくれるところが。

まろは今何をしていたのだろうか。仕事?食事?テレビ?ゲーム?何にしろ、今の自分のしたいことを辞めてまで俺のもとに来てくれるのだ、それが愛おしくて堪らない。思わずにやけてしまう口角を自らの手で下げ、まろの到着を待つ。

その数分後『ちょっと遅くなる』とメッセージが来たので、にこやかなOKのスタンプで返しておいた。


しばらくして、ピンポーン、と音がした。

扉を開けると、待ちに待っていた恋人の姿があった。

「まろ、ごめんね急に呼び出して」

「ううん、別に大丈夫」

「入って、外寒いでしょ」

「…ありがと」


少し鼻が赤いまろの姿を見て、罪悪感が募る。無理やり寒い中外に出させちゃったから。だけど、微笑みながら小さくお礼を言ってくる姿を見たらそんなもの吹き飛んでしまった。


「ないこ、これ、」

「えっ!?これって…」

「二人で食べよ?」


まろはそう微笑んで、おしゃれな紙袋を顔の横に掲げる。この紙袋の正体は、寿司にしか目がない俺でもわかる。最近、店に行列ができるほど人気のティラミスだ。韓国で流行ったやつらしく、たしかパキパキティラミスとかいうやつだった気がする。


「え、わざわざ並んでくれたの……?風邪ひいてない?」

「おん、いつもより並んでなかったし大丈夫」

「…そっか、まじでありがと」


雪は降っていないものの寒くなってきたこの時期に、長い時間並んで買ってくれた事実に胸を締め付けられる。だからあんなに鼻も手も真っ赤なのか。


「それに、ないこのためだって思うと並ぶのも楽しかったし」


その言葉で、心配とかどうでも良くなるくらいの暖かさに胸が包まれる。思わず開いた口が塞がらずにいると、大きな声でまろが笑う。


この人を、誰にも渡したくない。


衝動的に彼に抱きつくと、まろは「おわっ」という声を出した後、俺の背中に手を回した。まろの体はすごく冷たかった。このまま、まろを溶かして、俺とひとつになればいいのに。


「…んん、ないこ、くるしい」

「あ、ごめん」


無意識に強く抱き締めすぎていた手を離して、暖かいリビングまで歩く。


「ないこんち久しぶりに来たかも」

「そっか、結婚してから来てなかったもんね」


離婚するまでは、ここで妻と同棲していた。今はもう片付いて彼女の痕跡は何一つ残っていないのだが、それまではまろが家に来るのはしょっちゅうだった。いきなりピンポン鳴らされて、扉を開けたら「服ちょうだい」って言われた時は流石に驚いたが。それから同棲を始めると、まろは気を使って一切家に来なくなった。でも多分、まろ以外のやつでも来なかっただろうし、むしろそれが当たり前だと思う。


「…これからは、ないこんちきていい?」


切なそうな声で、まろがそう呟く。


「……え」

「…今まで、ないこたちに気使って来ないのもあったけど…誰かと暮らしてるないこの家に来たくなかったのも、ある…」


尻すぼみな言葉が、俺は何よりも尊かった。優しく彼の頬を両手で包み込む。


「それは、嫉妬してたってこと?」


そう尋ねて、小さく頷く青色に優しくキスをすると、彼が照れたように微笑んだ。

俺は、今まで嫉妬するまろを沢山見てきた。でもそれは、嫉妬というより嫉妬を隠そうとするまろしか見たことがなかった。今こうしてまろと付き合えて、嫉妬を素直に伝えるまろは、思っていたよりも刺激が強いかもしれない。こんなまろもいいな、すき、かわいい、


「な、早くこれ食べよ」

「あぁ、うん」


我に返って机に向かい合って座ると、紙袋から中身を取り出す。


「うわーうまそ」

「いただきます!」


一足先にまろがティラミスを頬張ると、彼の表情が段々綻んでいく。


「おいしい?」

「めっちゃうまい!…あっ、先に食べちゃった」

「ふ、いいよ、いただきます」


スプーンで表面を掬うと、パリッという音と共に柔らかいティラミスが出てくる。口に運ぶと、その瞬間とろける。ほろ苦のコーヒーと甘いクリームのバランスがちょうどよく、気づけば食べる手が止まらなくなっていた。


「うまいよな?」

「ん、めっちゃうまい!」

「ふふ、よかった」

「まじ買ってきてくれてありがとう」

「どういたしまして」



その後は、沢山おしゃべりして、映画を見て、一緒に旅行ガイドブックを見たりした。このくらいのことは付き合う前からしていたはずなのに、想いが通じあった今は少しだけ照れくさかった。


(…これが、本当の普通、なのか、)


俺がまろを好きな気持ちは本当だ。ただ、それがあまりにもどす黒かったせいで、これが普通なのだと思ってた。というより、俺はこういう恋しかできないのだと思っていた。高校生の頃はわりかし普通だった気がするが、大人になってこんなに汚い感情でまろを見てしまうのは、あまりに非道だと自分でもわかっていた。それなのに、想いを伝え合っただけで、こんなにも純粋にまろを好きになれた。まろの好きなところが増えたのではなく、ちゃんとまろを好きになれた。それが、何故だかもどかしい。

もっと中まで、もっとまろを感じて、まろに染まって、まろを染めたい。まろの全てに、俺の証をつけたい。


要するに、抱きたいということなのだが。


でもまろは、どこまで考えているのかわからない。俺と付き合って、その後何をしたいのだろう。キスで留めておいた方がいいのか、そもそもどっちが抱かれる方かもわからないし。(俺は絶対に抱きたいが)変に行き過ぎてまろに嫌われるのも、それこそ1番怖い。聞くしかないか、いやでも、直接的に聞くのもおかしいか、いやでも。


「…ないこ?」

「あぁごめん、どした?」

「もうそろそろ帰るな」

「……ねえ、」

「ん?」

「まろはさ、俺に何を求めてる?」

「…えっ、……どういうこと?」

「まろは、俺に何して欲しいかってこと」

「…な、…えぇ?」


まろの眉が下がり、心底何を言っているか分からないという目でこちらを見てくる。


「…俺と付き合って、いっぱい話して、キスして、それだけ?」

「……」


そこまで言うと、まろは察したのか耳を赤くする。ああ、そうか、まろもやっぱり、俺と一緒なのか。


「ふふ、顔真っ赤だよ」

「…ま、まだ早いやろ、俺らは…」

「別にタイミングなんてないじゃん」


なんなら今から抱くし、今日誘ったのも半分それ目的だし、という言葉を飲み込んで、まろの頬を撫でる。


「…な、ないこは、したいって、思ってんの?」

「当たり前でしょ、男だったら好きな人と付き合えたら真っ先に考えるよ」


「ほんまに……ええの?俺で」

「うん、まろがいい、」

「後悔せえへん?」

「する訳ないよ、夢だったんだから」

「……ん、そっか、じゃあ、」


いつか結婚しような___。



キスするためにまろの目の前まで寄せた顔を、寸前でピタリと止める。今、なんて言った、まろは。


「…ないこ?」

「………あ、え、あの…」

「えっ、もしかして…結婚したくなかった?」

「いやいや違う違う!!したい!!!死ぬ程したいけど!!!!」

「…じゃなんで、きすしなかったん、」


あーやばい。可愛すぎる。食べていいかな。じゃなくて。『結婚したい』だと?俺は…俺はあんな破廉恥なことを考えていたと言うのに、その百手先まで見据えていたのか、まろは。その事実にとんでもない高揚感と共に、俺の幼稚すぎる考えに対しての羞恥心が湧いてくる。俺がまろに告白させたようなものなのに、俺だけがこんな考えなのはあまりに最低だ。まろはちゃんと未来を考えてくれているのに。サラサラの青い髪を撫でながら優しくキスをする。


「…いひっ、すき、ないこ」


そのいじらしい表情と台詞に、俺の理性はもう限界を迎えた。

まろの肩を掴み、壁に追いやる。まろの唇に吸い付くようにキスをする。


「ん、…は、」


下唇を食んで、また触れるだけの口付け。まろの息と小さく漏れる声が欲を掻き立てる。


「ふ、はっ…ん、…」

「…っは、まろ、結婚しようね」

「ん、ぅん、…」


ちょうどよく開いたまろの口に舌を入れると、俺より少し背の高い体がびくりと反応した。


「は、んん、っ… 」

「ふふ、可愛い、まろ、」

「んぅ、…」


まろ、と耳元で囁きながら、まろの股の間に膝をグリグリと押し付ける。


「あっ!、や、…」

「…興奮してる?」

「ちが、…」

「ねぇ、まろ、」


綺麗に潤んだ青色がこちらを見る。


「俺、ずっとまろを抱きたかった」

「…へ、」

「まだ我慢出来ると思ってたのに、あんな風にプロポーズされたら我慢なんて出来ない」

「えっ…」


「…いい?まろ」

「、、、」


まろの手が俺の頬に伸びて、そのままキスをされる。それが合図となって、俺たちの夜は始まった。






________________





男二人が乗ったベットがギシリと軋む。俺の下で顔を赤くしているまろの左手に口付けを落とすと、持った左手が少しだけ震えていることに気づく。


「まろ、わかってる、今日は挿れない」

「…えっ……」

「初めてで、いきなり入んないの知ってるから」

「……」

「怖がらないで、まろ」

「、、てた…」

「え?」

「……準備、してた、」

「…………は…?」


普段のまろと別人なのかと疑うくらい、弱々しく小さい声だった。でも、その一言の破壊力は凄まじかった。

手で口を抑えて固まっていると、まろが再び口を開く。


「、、、前から、準備してたから、きつくない、し、痛くないから…」

「…、え、まっ…ひとりで…?準備してくれたの…?」

「ん…」


どうしても、俺はこの人から離れられないみたいだ。まろの両手をベットに押付けながら、舌を入れるキスをする。そうでもしないと、愛おしさと加虐心でおかしくなりそうだった。

まろのズボンと下着を脱がして、手にローションを塗り広げる。準備してくれてたとはいえ、流石にいきなり揷れるようなことはしない。それくらいの理性はまだ保てているらしい。


「指いれるよ」

「う、…ん……」


中指を入れると、すんなりと飲み込んでいく。やはり本当に準備してくれたのか。


「ぅ、んぁ、……ん、」

「柔らかい」

「んん、…ぅ、」

「でも、これからは俺にやらしてね」

「、ぅ、…うん、…ぁ、 」

「すぐに2本はいる」

「う、…ひぁっ!?」


しこりを押すと、まろから甘い嬌声が飛び出る。全てが初めてで、全てが尊い。まろが、俺だけのものになった。やっと、手に入れた。未だ信じられない事実が、俺の胸をじんわりと満たしていく。


「…もういれていい?」

「、うん、…はやく、」

「っ、煽んないで」


ゴムとローションをつけて、まろの足の間に入る。


「か、顔みてやるの、?」

「うん、やだ?」

「……やじゃない、」

「ふ、そう、」


まろの額に優しく口付けた後、揷れるよ、と先っぽを押し込んでいく。


「…ん、っ、ふ、」


ゆっくり奥に揷れていくと、ナカが弱くうねる。


「ぁ、ん、…ふぁ、」

「っはぁ、…全部入った」


「…ん、ふふっ、」


「っ!!!」


いきなりまろが自分のお腹を愛おしそうに摩りだした。この人は、わざとやっているのだろうか。だとしたら、こんなのをどこで覚えてくるのか。とっくのとうに俺の理性の糸はぷちんと切れていた。


「あ゙っ、はっ、んんっ!!ひぁっ…、」


奥を突くように腰を動かすと、まろの体が弓なりに反る。


「ん、ぅあ、!んっ、ん…」

「まろ、きもちい?」


こくこくとまろが頷く。それが可愛くて、まろの唇を塞ぎながら腰を打ち付ける。漏れるまろの甲高い声が、キスに飲まれていく。


「はっ、ぁん、んん、…!うぅ、」

「すき、まろ、」

「ん、ぁ、…あっ、」

「まろは?」


「ふ、ぁ、すき…すきだよ、ないこ、」


まろが俺を抱き寄せながら言う。

『すきだよ、ないこ』

俺はその言葉 が、何よりも嬉しかった。


だが、時々思う。俺は、こんなに幸せでいいのだろうか。毎日毎日、まろの事を好きになる。今まではまろに好かれるためだけに生きていたのに、今はまろに好かれるのが怖い。いつかまろが俺を嫌って、二度と会えなくなったら、今までの幸せだった生活は、なかったことになってしまう。だったら最初から付き合わない方がよかった、と思ってしまうかもしれない。まろが知らないだけで、俺は屑で最低な人間なのに、まろは、俺でいいのだろうか。


俺より相応しい人が、まろにはいるんじゃないのか。


「…ないこ、?なんでなくの、」


そう言われて、自分が涙を流していることに気づいた。


「…ごめ、なんか…幸せすぎて…、怖い…」

「、、なんで?、」

「……まろは、俺でいいの?」

「、、?」

「思うんだよ、俺みたいな人間に、まろは贅沢すぎるって」

「……」

「こんな俺のもとにまろがいてくれてることが、当たり前だと思っちゃってるから…駄目なんだよ、俺は」

「……、なにが、だめなの、」

「…えっ?」


「まろは、どんなないこでも、それがないこならなんでもいいのに、それじゃだめなの?」


まろがそう微笑んで、俺の目元にキスを落とす。





俺とまろだけの世界になればいいのに。


まろが俺以外の全てを嫌いになればいいのに。


まろを俺だけの檻に閉じ込められたらいいのに。






「あぅ、あ゙っ!!!お゙、ん゙ぁ、っ!」

「まろ、っ…まろ、」

「ん、はぅ…ぅあぁっ!!!」

「すき、すき、」

「はっ、ぁ、ん゙ぅっ!!!ひっ、あっあっ、」

「俺以外のこと見ないで、考えないで、」

「あ、まっ、いくっ、い゙っ…いく、!!!」



ずっと俺だけに縛られてくれ。





この人のことは誰にも渡さない。この人の笑顔は俺だけのもの。この人の姿形も、感情も、全て俺が、俺だけが知ってる。ずっとずっと手に入れたかった。今更手離すことなんて出来ない。触れたら壊れてしまいそうな純粋な目が、俺だけを見つめているその目が、愛おしいと思う。まろの乱れた姿も、全部見たい。


世界に一つだけの青を、離すことのないように、このまま___。















悠佑はずっと気にしていた。ないこの相手の女を。


「…はー…」


こいつは、ないこの結婚相手は、俺がずっと好きだった女だ。学生の時に出会って、一度も告白はせず友達で終わった。大人になってしばらく会わなくなり、もう恋愛感情はなくなったと思っていた矢先に、ないこの相手がその女だった。それを知った時、俺は悔しくも悲しくもなかった。むしろ、おめでとうの気持ちの方が大きかった。だから、大丈夫だと思っていたのに、





『、、奥さんのこと、好きなん、?』



『、ははっ、笑 馬鹿なこと聞くね笑 好きな訳ないでしょ笑笑』




初めてないこを、軽蔑した。まろのことが好きだから、他人の感情を踏みにじってまで振り向かせようとして、結局振り向いたら周りを全部捨てて、最低だ。あいつは。どうしてあんなことが出来るんだ。

よりによって相手は元々俺が好きだった女だ。例え相手がどんな人であれないこを許さないのは当たり前だが、よりによってだ。おそらく、いつかないこから離婚を言い渡されるのだろう。ないこの冷たい眼差しが容易に想像出来る。

ないこが結婚してから、彼女からたまに連絡が来るようになった。同窓会で一度会って交換した連絡先からくるメッセージに最初は驚いたが、『ないこくんってどんなものが好きなの?』という内容を見るとすぐに返事を返した。相手はないこと俺が仲良いことを知っているらしく、頻繁にないこのことを聞いてくるようになった。俺はないこが彼女のことを好きではないことを知っているから、せめてこれぐらいの連絡は返そうと毎回すぐに返信していた。でも、いつか離婚すると思うと胸が痛む。


「可哀想やな…」


ぽつりと呟くと、スマホから通知音が鳴る。


『ないこくんって好きな人いるの?』


突然、彼女から連絡が来た。何だ、この質問は。もしかして、ないこに本当に好きな人がいることがバレたのか。


『最近よく知らない人の写真見てニヤついてるから』

『ずっと誰かとLINEしてるし』


連続でメッセージが来る。全くあいつは、何をしてるんだ。どうせその写真も、LINEしている人も、まろなんだろ。彼女のことが好きじゃないのは分かるが、最低限愛してあげるくらいしろよ。イライラが募ると、ついに俺は送ってしまっていた。


『そんな奴離婚しろよ』


やばい、言いすぎたと思いすぐメッセージを消そうとしたが、既読が付いてしまった今取り返しはつかない。そこまで言うつもりはなかった。彼女は本当にないこを愛しているだけなのに、そこまで突き放すつもりはなかった。そう送りたかったが、手が動かなかった。だって、離婚した方が幸せなのだ。彼女も、ないこも。

そう思っていたのに、次に返ってきた返信に俺は呆気にとられた。


『そうだよね、私も離婚しようと思ってた』

『離婚する』


あっさりとしすぎていた、あまりにも。本当にこいつはないこが好きなのか、と一瞬疑ったが、別に好きでも嫌いでもないこはどうでもいいのかと改まる。ないこから離婚を切り出すのかと思っていたが、まさか相手からとは。ないこ的にはいいのだろうか。いや、それももうどうでもいい。もう全部、終わるのだから。




結局俺は、彼女に何も返せなかった。






__________________





「あ、悠佑!」


その数日後、昼にコンビニに向かうと例の彼女に出会う。俺の顔を見て、大きな声で名前を叫ぶのは学生の頃と変わってないなと勝手に懐かしむ。


「ん、久しぶりやな」

「ね、おひさ」

「……」


彼女は、よく見ると結婚指輪をしていなかった。


「…ないことは?」

「あー、離婚した」

「…そうか」


軽い言い草に、もはや呆れているのだと容易に想像できた。


「うーん、なんか普通に最低だと思う」

「…まぁ、そりゃそうやろな」

「でも私ももう吹っ切れたし、なんとも思ってない」


ちゃんと切り替えられる人でよかったな、ないこ。もしこれで未練ありまくりだったらどうなってたことか。


「ありがとう、色々相談乗ってくれて」

「別にそれはええよ」



「…悠佑みたいな人と結婚したかったな」

「、なんやそれ」

「本当だよ、結構私悠佑のこと好きだもん」


そして、俺の目を見ながら言われる。



「ねぇ、付き合わない?」



彼女は、昔好きだった人。今はもう何も思わないし、友達として割り切っている。ないこに利用されていると知った時は流石に同情したが、恋愛感情は微塵もない。


そして、彼女に情が湧かない理由は明確にある。


「それは、無理やな」

「えっ…、」



「お前が付き合おうとしてる男は、自分の好きな人を最低な男に奪われた、クソダサい男やから」




目の前の彼女がぽかんとしてる中、俺は それ以上は何も言わず、その場を離れた。





最低な男、俺から、大切なものを奪いやがって。



「……クソが、」





まろの運命の人は、俺なのに。

















「まろっ、今日は何の日でしょう」

「ん、付き合って3年記念日!」

「よく覚えてました」

「そら覚えてるよ、舐めんなまろを 」

「どっか行きたいことある?」

「…んー、あっ!」

「ん?」

「イルミネーション!」

「おっ、いいじゃん」


俺らが付き合ったのは1月、絶賛冬だ。この時期ならやってるイルミネーションも沢山あるだろうし、正直まろと行けるならどこでもいい。でも、イルミネーションは雰囲気もいいから尚更最高だ。


「よし、行こ」

「おっしゃっ!」







___________________




カラフルな電飾で飾られるここ一面は、とんでもない綺麗さだった。


「めっちゃ綺麗…」

「泣きそう…」


木に巻かれた電飾もあれば、動物の形をした可愛らしいイルミネーションまで、沢山あった。あちこち回っても、どこもかしこも光で溢れていた。


「みて、ないこ!青いねこ!」

「うぉ、ほんとだ、隣に犬もあるじゃん」

「ちょうどピンクやし、まろたちと似てんね」

「ふ、確かに」

「写真とろ」


それぞれの動物の前で、ポーズをとって自撮りする。これも、1つの宝物になるなと思わずにやける。


「イルミネーションってこんな綺麗やったんやな」

「久しぶりに見たからね」


綺麗と呟きながらマフラーを口元まであげる君の方が、イルミネーションなんかより遥かに綺麗だ。クサい台詞は思いつくだけで、声には出さないが。


「…なぁないこ、あっちにおっきいツリーない?」

「えっ、ほんとだ、クリスマス終わったのに飾ってあんのかな」

「いこ!」


遠くからでもわかるくらい大きい木に色とりどりのオーナメントが装飾されていて、光り輝くイルミネーションで綺麗に飾られている。

二人でツリーの下まで歩いていく。


「…でっか」

「な」

「やっぱツリーが1番綺麗だなあ」

「わかる、なんか興奮するよな」


暫くそれを眺めたあと、まろがこちらに向き直って俺の両手を掴む。そして、目を細めて笑った。


「ないこ、今日は連れてきてくれてありがと」

「…うん、こちらこそ、楽しかった」

「来年はないこのいきたいとこ行こうね」

「ふ、ありがとう」


照れくさそうに微笑むまろを前に、俺はポケットから小さな青い箱を取り出した。


「……えっ、」


「まろ、」

「……」

「俺は、死ぬまでまろと一緒にいたい」


死んでも、まろと一緒にいたい。そして、死ぬ時は、二人で塵になって消えたい。誰の記憶にも残らず、二人だけで消えていきたい。そうすれば、まろのことを愛せる人は、この世で俺だけしか居なくなるから。


「…まろを、誰よりも愛してる」


箱を開けると、銀色の光がイルミネーションに照らされる。

そこには、一つの指輪があった。



「結婚しよう」

「…………」


サファイアのような青色の瞳が揺れる。そして、頬に涙が伝う。その姿さえも、美しく、儚い。


「…おれも、ないこから一生離れへんから」


覚悟しときや、



まろの左手をとって、薬指に指輪をはめ込む。そして、割れ物を扱うようにそこに口付ける。


「……ないこの指輪は?」

「…あっ、家に置いてきた」

「ははっ、なにしてんねん笑」

「…まろのことしか考えてなかった」


俺がそう言うと、まろは俺の左手をとって、同じように薬指にキスをする。


「今は、これでいい」

「…」

「今までも、これからも、ないこにキスできるのはまろだけだから 」

悪戯っぽく言うまろの両頬を掴む。


「それは、俺も一緒」


周りから隠すように、まろの唇に口付ける。鼻が触れる位置で見つめ合うと、まろの方からもキスをされる。

衝動的にまろを抱きしめると、まろも抱き締め返してくれる。




「すき、愛してる、まろ」


「まろも、愛してる」



愛は、凶器だ。刺さったらもう、抜けない。抜くことが出来ない。抜いたら、死ぬ。俺たちはそれくらい、狂っているのだろう。

でも、好きなのだから仕方ない。どんなものも比べ物にならないほど、彼を愛しているのだから。

これからも、愛し続けるのだから。


塵になって、二人で空を舞うまでは。







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コメント

8

ユーザー

わーーー!!!やばい最高すぎますほんとにやばいです😭😭😭

ユーザー

ほんっっっっっっっっとうに神すぎるって😭😭😭😭😭 まじ最高すぎますってぇぇぇぇ!! さーもんさんの投稿の通知送られてきた時リアルで発狂でしたよ((? 続編書いていただきありがとうございますぅぅぅぅぅぅぅ!!!!😭🫶‪🫰🏻

ユーザー

うわあ……最高っす✨大好きな作品の続編はやばいって……😭ありがとうございますッ!共依存系?大好物なんですよ……😭 🍣🤪推しカプなんで尚更……今日テストなんですけどこれでいくらでも頑張れます💪💪🔥 てか愛知1日目行ったんですか?!私もですッ!良かったですよね🫶 続編書いて下さりありがとうございました!!(*ˊᵕˋ*)

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