テラーノベル
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モデル事務所に所属して数日後、早くも俺に初めての仕事が決まった。ファッション雑誌の、ほんの小さな一角。
それでも、ずっと憧れていた世界への第一歩だと思うと、胸が高鳴った。
撮影当日。緊張しながらスタジオのドアを開けると、そこにはたくさんの人がいた。
華やかな衣装を身につけたモデルさんたちが、メイクをしてもらったり、談笑したりしている。
その中に混じると、自分が場違いな気がして、隅の方に小さくなっていた。
(すごい世界だ……)
そんな俺の耳に、聞き慣れた優しい声が降ってきた。
「若井くん、やっほー!」
驚いて顔を上げると、そこにいたのは、まさしくあの日の人、大森元貴さんだった。サングラスもマスクもしていない、完璧な姿。
こんな場所に、どうして彼が……?
「元貴さん……!?」
俺の声は、少し震えていたと思う。まさか、こんなところで再会するなんて、夢にも思っていなかったから。
「初仕事、おめでとう。緊張してる?」
元貴さんは、いつもの優しい笑顔でそう言った。周りのモデルさんやスタッフが、彼に気づいてざわめき始めた。日本を代表するトップ俳優が、なぜこんなところに?
「あの……元貴さんは、お仕事ですか?」
「ううん、ここじゃなくて、別の場所でちょっとね。でも…若井くんの初仕事を見届けたくて、合間を縫ってきたんだ」
その言葉に、俺の心臓はドキドキと音を立てた。まさか、俺のこんな小さな仕事を、わざわざ見に来てくれたなんて。
撮影が始まると、緊張していたはずの俺は、カメラマンの指示に自然と体が動いていた。元貴さんが見ていると思うと、不思議な力が湧いてくる。
ポーズを取るたびに、カメラマンさんやスタッフから、「いいね!」「素晴らしい!」という声が聞こえてくる。
初めての撮影は、あっという間に終わった。達成感と、少しの寂しさが入り混じったような、不思議な感覚だった。
元貴さんに、ちゃんとお礼を言いたかったけれど、彼の姿はもうどこにもなかった。
きっと、忙しい仕事に戻られたのだろう。
家へ帰宅した俺は、今日会った滉斗の顔を思い浮かべ、微かな笑みを隠せない。
やはり、俺の目利きは確かだったようだ。
滉斗は間違いなく、飛ぶ鳥を落とす勢いの人気者になるだろう。そう思うと、ますます俺の欲望が刺激される。
滉斗を、もっと近くに置きたい。滉斗の全てを、俺だけのものにしたい。
そんな思いが次第に大きくなっていく。
「…ふふ、楽しみだなあ」
コメント
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パロをすんなり頭に入れさせてくれる、なぎささんの文章能力の高さにアメちゃん100個位を無理やりにでも渡したいです。 大森さん本当はいますぐにでも手篭めにしたい気持ちを抑えてるのかと想像すると、今後の展開がとても楽しみです。
おおっ……大森さん?^^ その調子でお願いしまs(((