テラーノベル
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元貴さんが直接スカウトしてくれた、という噂は、事務所内ですぐに広まった。それからというもの、俺に舞い込む仕事は、少しずつ増えていった。
彼の名前は、まるで幸運のパスポートのようで、驚くほどあっという間に、俺はいくつかの雑誌で特集を組まれるようになった。いつしか「大森元貴が見出した新人」として、雑誌の顔とも言える存在になっていった。
そんなある日、事務所のマネージャーから、ついに念願の仕事が入ったと知らされた。
「若井君、来月から始まる深夜ドラマの、主要キャストに決まったよ!」
その言葉を聞いた瞬間、俺の頭は真っ白になった。震える手で台本を受け取る。ずっと夢見ていた俳優の仕事。
元貴さんに「俳優になる前に、自分を表現することから始めればいい」と言われて始めたモデルの仕事。その努力が、ついに実を結んだのだ。
「元貴さんのおかげだ……!」
俺は、マネージャーに深く頭を下げると、すぐに元貴さんの家に向かった。感謝の気持ちを、一刻も早く伝えたかった。
元貴さんの住む高層マンションの前に着くと、俺は思わず息を呑んだ。ガラス張りのエントランスは、静かに輝いている。
以前聞いた部屋番号でインターホンを鳴らすと、すぐにオートロックが開いた。
元貴さんが住んでいるのは、最上階の部屋。チャイムを鳴らすと、彼がすぐにドアを開けてくれた。
「どうしたの、そんなに慌てて」
元貴さんは、俺のただならぬ様子に、少し驚いた顔をしていた。
「元貴さん! やりました、僕、俳優の仕事が決まりました、深夜ドラマなんですけど…主要キャストで……!」
俺は興奮して捲し立てるように伝えた。元貴さんは、その話を聞いてにこやかに笑う。
「へえ、それはすごいじゃない。おめでとう」
そう言って、彼は俺の肩に手を置いた。
「元貴さんのおかげです、ありがとうございます…!」
深く頭を下げて感謝を伝えると、元貴さんは俺の頭を優しく撫でた。
「若井くんは本当に、俺に感謝してるんだね」
その言葉は、どこか嬉しそうで、同時に、俺の感謝を確かめるかのようだった。元貴さんの優しい眼差しに、俺の心は温かくなる。
「もちろん、元貴さんがいなかったら、今の僕は…」
俺がそう言いかけると、元貴さんは俺の言葉を遮るように、俺の体を強引に家の中へと引き入れた。ドアを閉め、そのまま俺を壁に押し付ける。
次の瞬間、元貴さんの唇が俺の唇を塞いだ。
それは、優しさとは程遠い、強引で、逃げ場のないキスだった。突然のことに、俺は目を見開いたまま固まってしまう。
「…っ、元貴さん……?」
元貴さんの顔が離れると、俺は混乱した声で呟いた。頭の中は、「なんで?」「どうして?」という疑問符でいっぱいだった。
元貴さんは何も言わず、ただ俺の体に腕を回し、そのままベッドへと連れていった。
俺はベッドに押し倒され、元貴さんは俺の上に馬乗りになった。
「っ……元貴さん…、何を…」
困惑し、そして少しの恐怖を感じながら、俺は尋ねた。
元貴さんは何も答えずに、ただ静かに俺の服のボタンを外し始めた。その静けさが、逆に俺を追い詰める。彼の瞳は、さっきと同じ、獲物を追い詰めた獣のようだった。
「や、めて…」
俺は震える声で抵抗した。手を伸ばして、彼の胸を押し返そうとする。しかし、元貴さんはその手を掴むと、俺の頭上に押し付け、片手で俺の腕を強く押さえつけた。俺の抵抗は、彼にとって何の意味も持たなかった。
「若井くんはさ、俺に感謝してるんだよね? それなら、その気持ちを別の形で返してくれない?」
元貴さんの声は、驚くほど冷静だった。その冷たさに、俺は絶望した。
元貴さんは、俺の返事を待つこともなく、熱いキスを落とし始めた。それは、唇から始まり、俺の首筋へと降りていく。
その度に、俺の体が震える。彼の指が、俺の服を脱がせていく。俺はされるがままに、ただ元貴さんのキスを受け止めていた。
上の服をすべて脱がされると、元貴さんのキスは、俺の首筋から下腹部へと丁寧に落とされていく。
初めての感覚に、俺の体はびくっと跳ね、身を捩った。
しかし、元貴さんは、その反応を楽しんでいるかのように、俺の体を優しく撫でる。
女の人を抱いた経験しかなかった俺が、初めて抱かれる。それも男に。
元貴さんは、俺の足を開かせると、冷たい潤滑剤を指に垂らして、ゆっくりと俺の内側へと触れてきた。
「っ……、いや…! 」
俺は思わず声を上げて腰を引いた。初めての場所を触られることに、恐怖で全身が硬直する。しかし、元貴さんは俺の腰を掴み、動かないように押さえつける。
「若井くん、大丈夫。力抜いて?」
彼はそう言いながら、中指をつぷりと挿入する。俺は、その行為に身体中を駆け巡る激痛と、得体の知れない快感に、意識が朦朧としていくのを感じていた。
やがてその痛みは、元貴さんの巧みな手つきによって、抗いようのない快楽へと変わっていく。
俺の全身を支配する、初めての感覚。
それは、甘く、それでいて底知れぬ恐怖を伴っていた。
コメント
8件
あああもーえぐい好きです!これは多分嫉妬とかじゃなくて、若井さんを独占したい気持ちが込み上げたんだろうなぁ
若井さんが自分に感謝しているというのを確認したうえで自分のものにするの好き、若井さんにとって元貴さんは恩人だから逆らえない最高、、
キタコレ💪(^q^💪)