テラーノベル
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紫倉 紫
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「別れよう」
たった四文字だった。
スマホの画面に映るその言葉を、私は何度も読み返した。
涙は出なかった。
きっと、まだ信じられなかったから。
付き合って三年。
高校二年の春に始まった恋は、大学生になっても続くと信じていた。
「ずっと一緒にいようね」
あの日、海で指切りした約束も。
初めて手を繋いだ帰り道も。
全部、本物だったはずなのに。
――どうして。
返信しようとしても指が動かない。
画面の向こうには、既読もつかないままの彼。
部屋に響く時計の音だけが、残酷なくらい静かだった。
窓の外では桜が散っている。
春は始まりの季節だっていうけれど、私にとっては終わりの季節になった。
だけど、そのとき私はまだ知らなかった。
この恋が終わる頃、
私は「一番大切なもの」を見つけることになるなんて。
そして、彼もまた――
失って初めて、本当の愛に気づくことになるなんて。
コメント
1件
うわあ…『別れよう』のたった四文字で始まるプロローグ、すごく切ない…。指切りした約束とか、桜が散る描写が重なって、心にじんわり来たよ。失ってから本当の愛に気づく未来がほのめかされてて、このあとどうなるか、もう気になって仕方ない。続きが待ち遠しいなあ。