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☘️💟宮静🪻📗
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「っ…!い”っ!?」
弾けるように目が覚めると、その勢いのまま額をぶつけてしまう。
鈍い痛みが続く額を手で抑えていると、起きているのにも関わらず、視界が真っ暗なことに気がつく。
手で周囲をなぞると分かるのだが、どうやら私は狭い空間に閉じ込められているようだ。
どこか空いたりしないだろうか。と考えた私は、横と前の壁に力を入れてみる。
すると、前の壁に力を入れた途端、端っこから光が漏れたのが見えた。
「よいしょっ……っと…!」
重たい音を鳴らしながら壁を退けると、硬くなった体を腕を使って大きく伸ばす。
随分長いことあそこで眠っていたようで、体を伸ばすと若干音が鳴ってしまう。
起きてまず1番に視界に入ったのは、沢山の棺が浮かぶ不思議な部屋。
次に視界に入ったのは、豪華な模様や装飾のある黒いローブに包まれた自分の姿だ。
「はて…。こんな部屋なんて知らないし、こんな服も持ってない…。何が起こってるのやら。」
元々被っていたフードを取り、髪の毛を手ぐしで整えながら、私はのんびりとした足取りで外へと向かう。
外を出ると、出迎えたのは見覚えのある城や、幾つもの建物。
塔の隣を過ぎて大きな道に出ると、そのまま城の方へ向かって歩く。
「…あのお城、見覚えがあるような…。」
城の近くまでやって来ると、その見た目に既視感を感じてしまう。
確かにどこかで見た記憶があるのだが、濃霧がかかっているような、ぼんやりとした物しか思い出せる事しかできない。
諦めてその城に足を踏み入れると、私は自分の思うままにフラフラと歩くことにした。
流石に部屋に入るのは怖くて出来ず、ただ変わらない廊下をひたすら歩いていく。
それが十分ほど続いた時だ。
「やっっと見つけましたよ!!」
大人びいた男性の声が響いたと同時に、目の前に黒い布が靡いて私の視界を覆う。
まるで、鳥が舞い降りたようなそんな美しさがあった。
「今年の新入生はどうしてこんなに……って、おや…?」
カラスの覆面を被る背の高い男性は、高価そうな装飾品を施された綺麗なスーツを着用していた。
私はその容姿に視線が釘付けになり、ジッと彼を見つめてしまう。
すると、見えない目が合ったかと思えば、彼は背をかがめて私の顔との距離を縮める。
「……あなた、女性ですか?」
「えっ。…は…はい。見ての通りですが…。」
投げかけられた質問に素直に答えれば、彼は顎に手を当てては考える仕草をしてみせる。
かと思えば、何やらブツブツと独り言を呟いているようだ。
その内容は私にはよく聞こえず、その場で首を傾げて疑問の意を示すだけだ。
「……あの、あなたはここの管理者の方でしょうか。」
彼の独り言を遮るように、今度は私の方から質問をしてみる。
すると、彼の口の動きはピタリと止まり、少しの間が空いた後に曖昧な口調で返された。
「管理者……と言うには少し違いますが…。私はこの学園の校長なので、似たようなものでしょう。」
「…校長?」
学園と校長という単語から、ここが学校だというのは私でもすぐに理解が追いつく。
それなら、今私が着ている服も、この学校の制服だったりするのだろうか。
「…不思議ですね。」
色々と疑問は浮かび上がってくるが、それらは家に帰ってからまた考えればいいだろう。
ひとまず帰ることを最優先とした私は、校長である彼に向かって姿勢を正し、軽くお辞儀をしてみせた。
「すみませんが、私はこの学校の生徒ではないです。何かの手違いかと。」
「闇の鏡が生徒選定の手違い…?
……あ、いえ。わかりました。入学式の後、闇の鏡を通じて帰っていただくことにしましょう。」
闇の鏡という単語も気になるが、今聞いても時間を伸ばしてしまうだけだろう。
大人しく彼に従うことにした私は、短い返事をして先に歩き出す彼の後ろをついて行く。
かと思えば、突然彼は振り返って私に何かをかけてきたように見えた。
「…認識阻害魔法です。ここは男子校なので、女性のあなたが入ってきてしまえば大騒ぎになるでしょうから。」
「魔法…。…は、はい。ありがとうございます。」
魔法。
どこかで察していたが、やはりここはどこかおかしい。
闇の鏡、魔法、アニメのような風景。
私は一体、どこに連れてこられてしまったのだろうか。
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