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樹海付近のムツキの家。彼は家の中でゆっくりと本を読んでいた。その周りでは、猫や犬、ウサギの姿をした妖精たちが取り囲んでいる。
「モフモフに囲まれるのは幸せだな」
仔猫がそっとムツキの膝の上に乗ってきて寝転がる。
「次はこの仔か。うーん、ちょっと夏バテ気味か? 撫でるか」
彼は本を閉じて、仔猫を愛情と魔力を込めて撫でているとあることに気付く。
「おぉ! この仔、よく見ると、丸まった時にハートのマークが出るぞ! かわいいじゃないか! ナジュ! リゥパ! あれ? あ……」
ムツキは仔猫のハートマークに興奮して、思わず辺りを見回してナジュミネやリゥパを呼ぶが、先ほど送り終えたばかりと思い出し、言葉の行き所がなくなってしまった。
他の女の子もいないので、どことなくリビングやダイニングが空いている印象になる。
「うーん。やっぱり、ちょっと寂しいな。モフモフは幸せに間違いないけど、幸せを共に分かち合いたい人がいないとちょっと寂しくなるんだよな。早く帰ってこないかな」
ムツキは膝の上にいる仔猫のハートマークを優しくなぞりながら、誰に言うでもなく呟いた。
「あらら、ご主人、ちょっとおセンチにニャってるニャ」
ケットはリゥパがムツキ用にと置いていった特製ハーブティーを持って、彼のもとへやってきた。その隣には、碧色の犬クーと、山吹色の一角ウサギのアルもいた。
「主様は意外と繊細だからな」
「マイロードは賑やかなのがお好きなのですね」
「お、アルももういるのか。まあ、うーん……やっぱ、あんなに賑やかだったのに、急にみんないなくなるとなあ……」
ムツキの言葉を聞いて、ケットが2本の尻尾をピンと立てる。
「みんニャ! みんニャは聞き捨てニャらニャいニャ! オイラたちがいるニャ!」
「そうだな。主様は失言したな」
「あ、すまない。いや、モフモフじゃなくて、妻のみんながね……って、そういえば、ユウはどうした? まだ寝ているのか?」
ユウのことを思い出したムツキは状況を問いかけるも、ケットもクーもアルも誰も分からずに首を横に振った。
「今日はまだ確認してないな。確認するか?」
「いや、俺が寂しいからって起こすのはちょっとな。そっとしておこう」
ムツキはナジュミネたちが来る前まで、どうしても寂しくなった時にはユウに近くにいてもらっていた。
彼はユウと17年ほど、神の間というスペースで二人きりの日々を過ごしている。その間に彼が最強になるための能力などを綿密に構築していたのだ。その後、彼とユウはこの世界に降り立ち、ケットたちと出会い、3年ほどの時を過ごしている。
「うーん。そんニャに手持ち無沙汰ニャら、明日からを今日からにするかニャ? ちょうどアルもいるニャ」
ケットが2本の尻尾を揺らしながら考え込み、やがて、明日から行うはずだったイベントについて、今日から始めるかと打診をした。
ムツキはその提案に目を輝かせる。
「おぉ、そうだな! 準備はもうできているのか?」
ムツキの言葉にケットが肯く。
「もちろんニャ! こうニャるかもと思って、みんニャ、準備は万端ニャ!」
「ありがとう! それじゃあ、行くか。真夏の恒例行事、モフモフ洞窟探検隊を始めよう!」
ムツキがそう言うと、ケット、クー、アルが肯き、仔猫、仔犬、仔ウサギたちが嬉しそうに飛び跳ね回った。