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推し…それは人生の中で一番大切なもの。推しがいるから頑張れる。推しとは神と同類なのである


***


秋の澄んだ青空に心地よい風が通る季節

大学2年生の七瀬 結衣(ななせ ゆい)は、国民的アイドルグループL’AILE (レイル)のリーダーである黒木 唱(くろき しょう)、芸名はショウのファン。ファンからは唱様で呼ばれている。もちろん僕もショウ様呼び

L’AILEとは3人全員がαのイケメングループである。リーダーのショウ、頭脳明晰のレイ、王子様系のルイで構成されている

中でも杏の推しである唱はなんでも出来る完璧人間で高学歴・高身長・高収入というだけではなく、性格や顔もいい!みんなから国民のスパダリ(スーパーダーリン)って言われている

そして、今日は待ちに待ったL’AILEのCD発売日!本当はMV(ミュージックビデオ)を見るだけで癒されるだけで良かったのだけれど、今回はなんと言っても初回限定盤のCDの特典が凄い!

A賞が握手会参加券+5分間のおしゃべり会、B賞が握手会参加券、C賞が購入者特典となっている

そして、僕はA賞を狙ってバイトで必死に貯めてきたお金を全てつぎ込む!

3ヶ月間のもやし生活が懐かしい…と思いながらお店の方に目を向けるとガラスが反射してやせ細った自分が立っていた

そうだった…髪を切るお金もなくて頭ボサボサだし、なんだかガイコツみたいな感じだけど、そう当たることなんてそうそう無いし、当たっても握手会の数秒だけだから大丈夫。だけど1度でいいから話してみたいし、握手してみたい。

お店の人に変な風に見られないように急ぎ足で買ってこようと決めて俯き気味で店内へと入店した

「いらっしゃいませ〜」と明るい店員さんの声が店内に響き渡る

人見知りだし、こんな醜い姿見られたくないと思いながらもL’AILEのコーナーに行かないといけないため、少し顔を上げて探すとL’AILEの大きなポップアップがあった

写真を撮りたいけど変な人って思われるし早く買わないと…と急ぎ足でL’AILEのコーナーに行った

近くにあったカゴ置きからカゴを取りL’AILEのCDを眺める

今回はCDのパッケージが3種類に別れていてどれも僕の推しがかっこいいからどれにしようか迷う

L’AILEのCDの値段は1枚3000円ぐらいで少しお高めだけどL’AILEが頑張って作ってくれたからと思うと全て買いたいぐらい

お金は毎月12万の月収から4万円貯めていたから3ヶ月分で12万円ある

ということは、約40枚買える!

当たれと思いながら40枚厳選したのを選びお会計に行く。「いらっしゃいませ〜」

「これ、お願いします」と言ってレジカウンターにCDを置く

店員さんが素早くバーコードを読み取る

店員さんが全て読み終えたあと「袋入りますか?」と聞かれたので「はい、お願いします」と言って紙袋に詰めてもらった

小学生時に使っていて今も使っているマジックテープお財布から大金を手に取り、支払いを終えた

「ありがとうございました〜」という店員さんの挨拶を背に店内を出た

それから嬉しくって紙袋に入ったいっぱいのCDを見てよそ見をしていたら前から人が来ていることに気が付かなくてぶつかってしまった

ぶつかった反動でCDは道路に散らばった

「ごめんなさい…」と言うけどぶつかった人は返事がない

チラッとぶつかった人を見るとマスクと帽子を深く被っている男の人で素早く僕のCDを拾ってくれている

なんだか芸能人の変装みたいだな〜なんて思いつつも「本当にすみません」と謝り僕も一緒に拾う

一緒に拾い終わったあと「ありがとうございました」と再度お礼を言うと「別に、こっちらもぶつかってすみません、ではまた会えるといいですね」と言って去っていった

・・・あれ?この声って…

まさか!?ショウ様!?

いや、ショウ様って決まっている訳では無いし、すごく偶然すぎる

こんな形でいつも考えすぎになってしまう

まぁ、お腹がすき過ぎたのと結構働いたから幻聴みたいな感じになっちゃったのかも…?夢を見すぎだよねと思いながら歩いていてもやはり考えてしまう。こうやって変な妄想してしまうから人から嫌われてしまうんだろうな…こんな感じで直ぐにネガティブになっちゃうし…こんな感じでネガティブになってしまったら、もし、ショウ様と会えてもショウ様を困らせてしまうかもしれない!

それは絶対にダメだ!ショウ様を困らせてしまうなんて…なんてウジウジ考えていたらボロボロアパートに着いた

ドアに立って鍵を探し立て付けが悪く開くのも運だけど、今日はショウ様みたいな人にも会えたしって思いながら鍵とドアノブを回す

あ、開いた!

セーフと自分の中でちょい喜びをして誰もいない部屋に「ただいま」と告げる

僕の部屋は風呂なしトイレ共同で5畳半のお部屋にお茶を買えるお金もないので何回も使って干しているお茶パックがずらっと並んでいるキッチン

僕はウッキウキで畳に正座する

紙袋からCDを出して両手を合わせて合唱し「お願いしますお願いします」と唱えて1つづつ丁寧に開けていった

結果は握手会0カードだけ沢山残った

「はぁ〜やっぱりこういう肝心なところで運がないんだよな〜」なんて思いながらもどこかに握手会券が隠れてないかと探した

畳、CD、玄関までも探したけれど見つからず、これだけ探しても無いだろ〜と思いつつ部屋を見渡すとまだ探しきれてない紙袋と目が合った

「あ…」そういえば、もしかして開いたままのCDとかも…と思い紙袋の中を見るとCDは入っていなかったものの、紙が入っていた

「こ、これは!?」と思い拾い上げると書いてあったのはA賞の握手会参加券+5分間のおしゃべり会だった

「やったぁぁぁぁやっと手に入れた!大金をつぎ込んだ甲斐があった…」

「良かった、良かった」とつぶやき終いには泣いてしまった

紙が涙で濡れる前に大切なものをして待っている箱に入れて、嬉しすぎて箱も抱きしめる

「良かった…」やっと会えるんだ!目の前で!そう思ったら緊張してきた

握手会は2ヶ月先ぐらいだから、緊張するのはまだ早いけど楽しみだ

そして、今後の貯金のためにバイトに明け暮れたり、L’AILEのMV鑑賞しながら時間を費やしたりしてL’AILEの握手会の日が訪れた

緊張しながら会場に入りカードを係の人に渡すと別室に案内され、待っていてくださいと言われた

別室には、向かい合って置かれているソファーとテレビがあり、そこにはL’AILEのライブ映像なんかが流れていたので、見入ってしまって結構な時間、待たされたけど何とか過ごすことが出来た

そして、念願の時…

スタッフさんから、ショウさんがまもなく来ますよってことを教えて貰い緊張して、手汗が滝のように流れてきた

コンコンコンとドアがなりドアが開く音とかっこいい足音がするのでショウ様が来てくれたことがわかった

そして、僕の真隣に座ってくれて「今日は来てくれてありがとう、ゆいくん」と言ってくれた

な、名前!?名前…なんで知ってるんだろ…スタッフさんにでも聞いたのか…

「最後にサプライズがあるから、そのまま下向いてて」

「は、はい…あ、あの…!ずっとファンだったんです!僕の神様みたいな!見るだけで気絶しちゃう感じで!今日楽しみにしてたんです!」

「ずっとファンでいてくれてたんだ。俺も楽しみだったよ。でも、ゆいくんが来てくれるの不安だったから今安心してる」

「あ、握手してもいいですかね…」と言うと少し間を置いて「最後にしようか」

「最後ですか…」

いいことはお預けだよね。

「ゆいくんはいつから応援してくれてるの?」

「ええっと、4年前ぐらいから応援してます!」

「そうなんだ。嬉しい…。あぁ…そういえばあと2分ぐらいだね」と時間の話になってしまった

「そ、そうなんですか…早いですね」

「俺、ゆいくんと話してて癒されるしずっと一緒にいたいな」

キュン…胸きゅんしてしまった。こんなこと言ってくれるのショウ様が初めて

「僕も一緒にいたいです!」

「永遠に?」

「はい!!」

「そういえばさ、ゆいくんの好きな物って何?ゆいくんのこともっと知りたいからさ」

「ええっと…」好きなものか…強いて言うなら

「フルーツ、デザートでしょ?」とショウ様から言われた

「えっ?」

「本名七瀬 結衣、大学は○○大学の2年生、趣味はL’AILEのMV鑑賞、家族構成は、父と母は離婚して、母方の方について行き、母と2人で暮らしていたが、母親に愛人ができたためなのと、オメガが判明したってわかって、虐待されて辛くで出ていった。その時にL’AILEを知り心の支えとなって今に至る。そうでしょ?」

「な、なんでそこまで…知って…」

ショウ様から流れ込む僕の情報に恐怖を覚えた

放心状態の僕に近づき耳元で「運命の番だから」と言った直後目があった

「で、でも!運命の番の能力で分かるわけない!」

「それは調べたからだよ。出会った時から、今の2ヶ月間ずっと探偵を雇って付きまとってた。ゆいくんが、CDショップから出てきて大きな荷物を運んでいる時に偶然出会ったった時から、ずっと。今日の握手会のカードだって俺が紙袋に入れた。不安だったのはゆいくんが転売ヤーじゃないかって疑ってたから。けど、調べた直後L’AILEのファンだって知って心底嬉しかったよ。しかも俺のファンって知って狂いそうだった」とライブやファンには見せないニヤッとした笑顔で言った

「ゆいくん、さっき言ってくれたもんね…永遠に一緒って、これからはずっと俺のそばで、永遠にいてくれるって」

「永遠に…」

嬉しい半面、あんなにも優しそうで紳士なショウ様がストーカーみたいな感じでこんなにも変わったことが恐怖で怖い

「今日だってヒートの抑制剤飲んできたんでしょ?それなのに発情してる」

「嘘…」本当の番…ってこと…?

「本当。その証拠」と言って後頭部にショウ様の手が周り支えられてキスをされた

「んん!んっ!」

こんなこと、国民的アイドルであるショウ様が…しちゃ絶対ダメなのに

キスをしてくるショウ様を押すけれど止まらない

「ん!はな…んっ!」

離してって言いたかったけどそのまま苦しくなるまでキスされた

ダメなことなのに、ぼーっとしてショウ様のことしか考えられないし、キスを求めてしまう

「はぁ…はぁ」息が上がる

「ゆいくんのとろーんってした顔最高だね」と言ったあと僕を抱き締めて「離さない。ゆいの辛いことから全部守ってあげるから安心して、ちゃんと鎖で繋ぐから」と撫でられてそのまま完全なヒートを起こして気絶してしまった


***


目が覚めるとふかふかのベットに知らない天井が目に入った

「ここは…」と呟いたら「起きた?」とショウ様の声がした

「え、ショウ様!?」

「うんって、今日会ったよ」

「ま、まじですか…」もう、緊張しすぎて頭の中が回転しない

握手会での出来事はギリギリ思い出せる

「記憶がないの?残念だ、握手会でゆいくんが完全ヒートを起こして俺の部屋に連れてって服もいらないから服を捨ててでも、寒いかなと思って俺の服を着させて、手錠と首輪をつけた。首輪は俺の優しさで重いかなと思って鎖は外したけど、逃げ出したりしたらつけてベッドに固定するから」と真顔で言われた

「な、なんでそんなこと…」

僕にはなんでこんなイケメンで何でも持っている人が僕みたいなヘンテコを好きになるのかが分からなかった

「ゆいを、危険な目に合わせたくない。ほかの‪α‬を見て欲しくない。外に出たらゆいに発情するαばかりって考えたらゆいまで殺したくなっちゃうから」

「な、納得できない!僕に発情する‪α‬なんてどこにもいないよ!」

「俺がいるし、ゆいといるだけで狂ってしまいそうなほど犯したい。告白したって犯したって、アイドルだから、ファンだからって言って逃げるんでしょ?だから捕まえることにした」

「犯したいのは、運命の番だからであって!ほかの‪α‬は何にもならないよ!だからこんな犯罪みたいなことやめて欲しいし、確かに国民的アイドルの恋人なんて僕には荷が重くて、逃げるかもしれない」

「そうだよね。逃げ出しちゃうもんね。ゆいはずっと鎖で繋いでここにいてくれればいい。ただそれだけでいい。ゆいは、一生一緒に永遠にいるって言ってくれたよね?」

「そ、それは…」

「約束破るの?逃げ出すの?絶対許さないよ。俺、ゆいなしで生きれないから。2ヶ月間我慢した。バイト仲間と喋ってても、何してても我慢した。俺たち永遠って誓ったし、問題ないよね?閉じ込めても」

問題大ありって言いたかったけど言える雰囲気ではなかった

だから「ちょっと考えさせてください」と言ったのに「考えることなんて何一つないよ。どれだけ拒否されてもここから出すつもり一切ないから」と吐き捨てて出ていってしまった



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