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廊下は静まり返っていた。
窓の外からは雨音。
でも、今聞こえた音は明らかに――誰かが歩いた音だった。
「……誰かいるの?」
怜は声をひそめて、そっと廊下に出た。
教室のドアが風でゆらりと揺れ、床の木が軋む。
(気のせい……? でも、さっきのチョークの文字……)
彼女は教室に戻り、携帯を取り出してメッセージを送った。
🟢 怜 → 古賀 悠斗(こが ゆうと)
今日の黒板のアレ、見た?
消されたけど、ちょっと変なんだよ。
放課後、ちょっとだけ会えない?
🟢 悠斗 → 怜
見た見た。
てか今、音楽室の前にいるんだけど……
なんかマジで変な感じ。ピアノ、鳴った気がした。
怜の手が止まった。
「……今、誰もいないはずなのに?」
再び通知。
🟢 悠斗 → 怜
ちょっと中、見てくるわ。
怜はまだ教室?
🟢 メッセージ送信中……
既読がつかない。
(やめてよ、悠斗……!)
怜はカバンをつかみ、走り出した。
目的地は、旧校舎の3階――音楽室。