テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
『小学校卒業したら読んでね。』
そう言われたのは7年前。
ーー7年前
幼稚園の卒園式の日、お母さんは私に白い封筒に入った紙切れを渡した。
「これなにー?」
『これはね、秘密。』
「今あけちゃだめなの?」
『うん。絶対ダメだよ?』
『〇〇が小学校を卒業するまで。わかった?』
「わかった!!」
「お母さん、“やくそく”!」
『うん。約束ね。』
そう言って静かに笑った
小学校卒業式の日。
自分の部屋を整理しているとクローゼットの奥深くから出てきたもの。
えっと、6年前、?にお母さんからもらったやつだっけ。
そういえば、卒業したら読んでね、って言ってたよね。
封を開けるとそこにはお母さんの手書きの文字が書いてあった。
〔〇〇へ。
もう中学生になるんだね。卒業、おめでとう。どんどん成長していくあなたを見て、お母さんは嬉しかったよ。同時に悲しくも思ったな。
中学生になると、いろいろ環境が変わって大変だと思う。
でも、お母さんはずっと、誰よりも。
あなたの味方だからね。
中学校も、がんばれ!
お母さんより〕
その手紙の下に何かが入っている。
「なにこれ?」
見ると、また同じような紙切れがひとつ、入っていた。
そこには、
‘20歳になったら、読んでね。’
そう、お母さんの字で書いてあった。
中学に入ると、お母さんと話さない日が増えていった。
‘おはよう’
‘行ってきます’
‘おやすみ’
という最低限の言葉しか発さなくなっていた。
それでもお母さんは私を元気づけようと話しかけてくれていた。
学校から帰ればそのまま部屋へ。
休日も友達とずっと遊び、ほぼ家にいなかった。
ーー引っ越しの日
『荷物、全部持った?』
「もったよ。」
『充電器は?』
「持ったって、」
すこし反抗気味に言っても、お母さんは笑っていた。
『、、じゃあ、頑張ってね。』
そういうお母さんの顔は、少しだけ、寂しそう。
『困ったことがあったらすぐ電話するんだよ』
「わかった」
駅で別れる時、私が見えなくなるまで手を振っていた。
(恥ずかしいよ、、)
私は小さく手を振り返した。恥ずかしいから。
毎週日曜日の夜に電話が来る。
『ちゃんとご飯食べてる?』
「食べてるよ」
『野菜も?』
「そりゃぁね」
『、そっか。ならいいんだけど』
そんなような会話が、一週間の当たり前になっていた。
当たり前なんだから、ずっと続くと思っていた。
ーー19歳のとある日曜日、電話越しでもわかるほど、お母さんの声が弱々しく、震えていた。
『元気?』
「私は元気。お母さん、声、、どうしたの?」
『ぁあ、ちょっと風邪引いちゃって』
「ほんとに、?風邪ひいてる時の声じゃないよ、」
『大丈夫だから。』
そう言って電話を切った。
ーー今日は私の20歳の誕生日。
あれから数週間後、電話が来なくなってきた。
心配していると、お父さんから電話がかかってきた。
(お父さん?珍しい、、どうしたんだろ)
そう思い電話に出ると、
『〇〇?!××病院に今すぐきてくれ!お母さんが、、』
「えっ、、お母さんが、、?!」
1,292
#自己満
ゆ な 𓂃 🖤
27
私はその電話から、数週間前のお母さんの声を思い出した。
(もしかして、、っ、!)
病院につくと横たわって医療器具に繋がれているお母さんが見えた。
ーー先生曰く、私が子供の頃からお母さんは難病を抱えていたらしい、、。
「言ってくれればよかったのに、、なんでよ、、」
[助かる可能性は極めて低いです。]
[そばにいてあげてください。]
そう言い先生は去っていった
ーーそのままお母さんは帰らぬ人になってしまった。
家に帰り、少し部屋を整理していると幼稚園の卒園式にもらった手紙の中に、“20歳になったら読んでね”という手紙も入っていたことを思い出した。
(えっと、、ここにしまったっけ?)
手紙を読んでみると、こう書いてあった
〔〇〇へ
この手紙を読んでいるということは、私は助からなかったんですね。
20歳の誕生日おめでとう。
あなたのお母さんでよかった。
隠しててごめんね。
私のことは、気にせずにあなたの人生を歩んでほしい。私はずっと、あなたのことを見守ってます。
社会人、頑張ってね。〕
私は涙が止まらなかった。
もっと早く、異変に気付けてれば。
もっと、お母さんと仲良くしておけば。
もう終わったこと。過去は変えられない。
私はお母さんの手紙を宝物に、
新たな人生を歩み出した。
ーENDー
コメント
1件
え、もう泣いたんだけど…😭💦 お母さんがずっと隠してた難病とか、20歳の誕生日にもういないってわかってからの手紙、マジで心臓ぎゅってなった… しかも「隠しててごめんね」って謝るところ、優しすぎて胸が痛いよ。 毎週日曜の電話、あの『野菜も?』って聞くところ、何気ないけどお母さんの愛情が詰まってたんだね… 最後に「新たな人生を歩み出した」って締めるところ、ちゃんと前向きで素敵な終わり方だったよ🌸 玲奈さん、こんなにも感情揺さぶる話をありがとうございます…!✨