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#うりさん
ろのみ🩵🫧
43
19
#年上彼氏
おうか

252
「……平成生まれなの!?」
彼の生年月日を何度も確認した。
……4つ。
4つしか変わらない。……いや、体力あるなー……とは思っていたけれど。彼は脱力したように、項垂れた。
「あのねぇ……」
だけど、こういうのって……本籍……とか環境変えたり結婚したり……まぁ、よくわからないけど、記載されない場合も多いって聞いた。まして、まだ独身なら、関係もない。何になるというのだろう、この紙が。
彼は、深いため息をつく。
「いいのよ、もう」
「俺が、よくないんだよ」
もう、……いい加減にして欲しい。
「いないんだよ。恋人も、妻も、愛人も」
「そんなわけ……」
「うん、分かるよ。俺みたいに、完璧な男に恋人がいないなんて、おかしいだろ?」
自分で……言う?私にも……彼氏が……いる。なんちゃって、二宮くんが。
彼には……あの彼が言った『奥さん』は私の事だった。
それって……泣かないって、この人の前では。決めてたのに。
湛えきれなくなったものが……溢れ出す。もう、無理だった……
じゃあ……
じゃあ……
彼が私を引き寄せて、涙を拭う。だけど、逃れる……彼の胸を……押し返した。
「……ごめん。嫌だった? 」
「夜に会って、するだけだった」
辛かった。虚しかった。愛のない……セックスは。
でも、……ペースとしては、普通……なのか。まともな彼氏もいなかった私には……そればかりだと感じてしまった。
小さな不満も疑問も全部ぶつけた。全部、全部。それを彼は嫌な顔ひとつせずに答えてくれる。……誤解だと。
彼が立ち上がり、私が見たことのないその部屋を開けて見せた。
え……何か……ギリギリ、ドアが開くくらいの……乱雑な部屋。誰のものでもない部屋だった。
言われたらその通りで、納得することばかり。
でも、止まらない。八つ当たりのような、言いがかり。自分の勘違いの恥ずかしさを誤魔化すような言いがかりが。
「そんな、顔なんだもん!」
「ごめん」
なぜか、謝られた。
「彼女だよ、湊。俺の……ただ一人の」
「私は…付き合ってるつもりは、無かった。それに……私は……彼氏がいる」
「他に好きな人がいるのに、付き合う辛さは、湊が一番知ってるだろ?」
「う……だって……」
そう、辛かった。辛かった……。すごく。立っていられないほど。逃げ出したいほど。
「うん。ごめんな。勘違いさせて」
その時、コール音が聞こえた。……プライベートのスマホ。そうか、もういいんだ。隠さなくて。
「出て」
掛けてって言ってた……二宮くんだった。
『あー、ケリついた?』
「……うん」
『オッケー、オッケー! そのおっさん毎日来てたからね。会社。おっさんは後がないだろうから、若い俺が譲ってやろうと思って。それでいいか? じゃあ、別れよう。フリーね、お互い。今から』
「うん。ありがとう」
『ん、替わって? ぶちょーさん』
替わる?彼に?分からないけど、彼に携帯を渡した。
そのやり取りに、何かを察する。
この前、吉良くんと麗佳さんに会った時のやり取りも。
つまり……信じていい……。
「おいで」電話が終わると、私にそう言う。
「な、何もしないって……」
「しないよ。今は。だから、付き合ってほしい。今、恋人いないんだろ?」
「その自信も……」
「あるさ、だって好きだろ? 俺の事」
「湊、好きだよ。本当だ」
何もしないと言った彼が私にキスをする。
優しい、優しい……キスを。
「う……」
どれだけ出てくるだってくらい涙が止まらず彼の胸に顔を埋める。
「し、清水ぶ、ぶちょぉ~」
「ほら、名前」
「孝之さん……」
ようやく、呼べた名前。
彼は私の名刺も持っていた。……もう完璧に……協力者多数。
みんなの、おかげだ。
彼と私の年齢差は4歳。あの自分勝手なストーカーしてきた彼も4つ上だった。もう、会わないけどさ。
全然違う。今なら、それが分かる。
「呼んで、名前」
「た……俊之」
俊之、俊之、俊之。よし、覚えた。
考えてみれば……彼が私に言った言葉たちを頭の中で羅列する。胸の詰まるような思いで聞いたけど……
随分……あれ……?
アモーレ!な感じだ。
『綺麗よ、とても。愛されて当然なくらいね』
麗佳さんの、優しい言葉が胸に広がる。
彼の目が、優しく細くなる。顔を優しく包まれる。大きな手で。
「逃がさない。もう……」
再会した時に聞いた言葉がこんなにも、甘く……響く。
もう、身体中の水分が目から出てしまうんじゃないかと思うくらい、泣いてしまった。
家が遠くなっちゃったな。勿体ないことしちゃった。
帰ると言った私に、
「……泊まればいいだろ」と言う。
「何も持ってきてないもの」
「じゃあ、朝に……」
「嫌いなのよね、それ」
誰かが帰ってくるかもと、怯えるように朝に帰るの。
「好き勝手に抱かないから」と触れる。
……うわ
そうだ、言ってしまったんだった、つい……というか、多分私の経験がそんなにないから……で。
えっと……
「あんなこと……さ、されたことなかったんだもん」
と言って、隠れた。顔が見れない。
…………激恥。隠れた私を引っ張り出し
「……良く……無かったって事か?」
「し……」
「し?」
「しんじゃうかと、思った!!」
そう言ってまた隠れた。本当に……だって……気持ち……良……すぎて、というか、訳が分からなくなって……
吹き出した彼がまた引っ張り出す。
「とりあえず、今……そっち行ける状態では……無くなったかな」
彼は玄関の鍵を掛けるとワンピースに手を掛け、一瞬で剥ぎ取るように脱がした。
ワンピースって……早い……いや、じゃなくて
何もしないって言ったような?
「え……ちょ、ちょっと!」
しぬ!
「うん、力抜いて」
「何もしないと……」
「仕方がないなぁ、湊は。しなない、しなない、ちょっと、天国行くだけ」
「やだ、表現がオッサンすぎる~。」
「あはは! じゃあ、湊の言葉で表現して」
「アモーレ!」
これしか、知らない。
しかも、某会見由来の知識。
「Ti amo」
何?わからない私に
「愛してる、湊」
彼はそう言った。
「ピロー……」
そういいかけた私の口は強く……塞がれた。
「本気だ。湊が、信じない事には、始まらないだろ」
「格好いいセリフだけど……全裸ではちょっと……」
恥ずかしすぎて、茶化す。
だって、初めてだ。私の事を好きな……この人とこうなるのは。違う……私が、そう思っていただけだ。
真っ白になっていく頭の中で思った。
天国なのに悪魔が……
い……る……。
コメント
1件
みぅです🤍🥀 第11話、読み終わりました……。 4歳差、しかも彼が平成生まれって衝撃だったね。でもそれ以上に、湊ちゃんがやっと「孝之さん」って名前を呼べたシーン、本当に良かった……。ずっと心の奥で蓋してた感情が溢れて、涙が止まらなかったんだろうなって伝わってきた。 「Ti amo」って言われて「ピロー…」って茶化す湊ちゃん、可愛すぎるよ。でも全裸で格好いいセリフは確かにちょっと笑っちゃう(笑) 天国なのに悪魔がいるってラスト、湊ちゃんの心の揺れがすごく伝わってきた。やっと信じていい人に出会えたんだね……。