美味しいと評判のランチを食べに行った。
貴君の車に乗せてもらって、ちょっとしたドライブ気分だ。
楽しい。
「あー、ちょうどランチタイムだから混んでるね」
駐車場もいっぱいだった。
「こんなお店は、主婦に人気だからなかなか入れないかも?」
「あ、あそこが空いてる!奥の」
よかった。
駐車場がいっぱいだとコンビニかな?なんて言っていたから、ランチがなくなるかと思った。
人気なだけあって、席が一番奥になった。
それでも貴君と一緒だったから、それだけで楽しくて、日替わりランチが特別ディナーみたいに感じた。
「あら?」
少し年配の奥様方のグループが通りがかったとき、1人が貴君を見て立ち止まった。
「なんだ、来てたんだ」
「あんたこそ、こんなとこでお昼ごはん?」
「たまにはいいだろ?ほら、友達が待ってるから行きなよ」
「はいはい、じゃあね」
チラリと私を見た。
「ね、あれってもしかして…」
「そ、おふくろ。こんなとこで会うなんて、ついてない」
「私、お世話になってますって挨拶するの忘れてた!」
「面倒だから、いいよ。なに言い出すかわからないから」
少しイライラしてるように見える。
珍しい貴君だった。
「あ、ごめん、せっかくのランチの時間にこんな話」
「ううん、別にいいよ。面倒ってなにかあるの?」
「女と飯食ってたら、付き合ってるのか?って。どこの誰か?とか、その後は、結婚する気なのか?とか。とにかく、結婚しろってうるさいから」
「ふーん、そうなんだ」
親は結婚させたがってるってことか。
「未希さんとは、そんなことないし、せっかくの友達に嫌な思いさせたくないからね」
「そうだよね?そんなことないない」
同意しながら、チクンとまた心が痛んだ。
「そうだよ、結婚するなら初婚、万が一バツがついてても子どもはいないこと、それが条件だからね」
「あーっ、その条件には絶対、当てはまらないね、そもそも私は結婚してるしね」
答えながら泣きたい気分になった。
告白する前にフラれた気分だ。
え?フラれた?
私、好きなの?貴君のこと。
あはは
「まさかね」
「え?」
「あ、こっちのこと」
「そろそろランチのコーヒーをもらおうか?」
昼休みの時間内に、激しく気持ちがアップダウンしてまるでジェットコースターに乗ったあとみたいだった。
疲れた。
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