ルフィ「もう、お前を苦しめる山賊は俺達やサボがぶっ飛ばしたから安心しろ!」
ルフィはウミを元気ずけるように言う。
ウミ「あ、アイツらは関係ねぇよ。思い出したくもねぇ。」
ルフィ「ああ!お前の居場所はここなんだ!」
ウミ「…ルフィ…」
ニカッ)
ルフィ「他に悩みがあんのか?」
ウミ「悩みって程じゃねぇけど眠れねぇのは2年前からなんだ。寝たとしてもすぐに目が覚めちまうし」
ルフィ「エースか」
ルフィが察して言う。
ウミ「寝ようとしたら誰かが言うんだ。『エースが死んだのはお前のせいだ』『お前がインペルダウンに行っていたら助けられた命だ』『お前が生まれて来なければ死ぬこともなかったかもな』って笑いながら…だから眠りに着くのが怖くて…」
ウミが震える。
ルフィ「誰がそんな事言ったんだ!殺したのはウミじゃねぇ!黒ひげと海軍だ!許さねぇぞ!出てこい!」
ウミ「だから誰かだってば!…前を向かなきゃいけないってわかってるんだ。でも…怖くて…」
2人の間に少し沈黙が落ちた。
先に口を開いたのはルフィだ。
ルフィ「ウミ、エースは俺達の兄ちゃんだ。いつまでもずっと先に居るぞ。だからよ、前向かねぇと追い付けねぇぞ?」
ルフィが優しく微笑む。
ウミ「!!!!……そうだな、グズグズしてたら、エースに怒られちまう。」
ウミが微笑み返す。
ルフィ「おう!俺達もエースにもサボにも負けてられねぇ!いつか超えるんだ!2人を!」
ルフィはウミの頭を撫でた後、麦わら帽子を抑えてニカッと笑う。
ウミ「エースは怒ると怖ぇから、絶対強くなって褒めてもらうぞ!」
ウミがニカッと笑う。
ルフィ「そうだな!立派になったとこ見せてやるんだ!にししっ!」
ウミ「エースに小言言われねぇようにな!」
ルフィ「おう!子供の頃みてぇにはならねぇさ!」
ウミ「また4人で走り回って、飯食って、寝て、じいちゃんのゲンコツ食らって。そんな日が来るといいな!エースとは必ずまた会える!」
ルフィ「ああ!いつかまた皆でやろうぜ!」
あの日々を思い出しながらルフィは笑う。
ルフィ「それまでは楽しみに取っておくんだ!にぃっ!」
ウミ「そうだな!その日のためにも元気で強くならなきゃな!」
ルフィ「ああ!どれだけ歳を取ってもな!」
ウミ「私は四皇になるために!」
ルフィ「俺は海賊王になる為に!」
2人はニッと笑う。
そして、2人は船室へ入るとルフィはお腹が空いたのか冷蔵庫から取った肉をムシャムシャと食べている。
ウミ「あ!ルフィ!ずりぃ!」
ルフィ「仕方ねぇなぁサンジには内緒だぞ?」
ルフィはもう1つの骨付きの肉を取り出してウミに渡す。
ウミ「よしゃ!」
受け取り、3口で食べ終わる。
ルフィ「やっぱ足りねぇよな〜。でもこれ以上食ったらバレちまうよなァ。」
ウミ「だよなぁ〜」
?「何が誰にバレるって?」
ルフィとウミの後ろから今、1番会いたくない声が聞こえた。
ルフィ、ウミ「!!!!」
ルフィとウミは汗を垂らしながら恐る恐る後ろを振り返る。
ルフィ「さ、サンジ…」
ウミ「これはだなぁ…」
そうサンジだ。
サンジ「ルフィ!ウミちゃん!明日の朝、無しにされたいか!」
ルフィ、ウミ「ひぃ〜、サンジそれだけはやめてくれよォ〜」
サンジ「二度とするな!って言ってもまたするのがお前達だもんなぁ〜はぁ〜」
サンジがため息を吐く。
サンジ「ウミは良いとして、お前だ!ルフィ!」
ルフィ「え!なんで俺だけなんだよ!」
サンジ「ウミちゃんは女の子だろうが!いっぱい食べて大きくならなきゃいけねぇ!」
イラッ)
ウミが『女の子』と言う言葉にイラッとする。
ウミ「なんで皆、女の子だからって言うんだ?」
ルフィ、サンジ「え?」
ウミ「女の子って言葉で括り付けんなよ!」
サンジ「ウミちゃんは女の子だからって言われるの嫌いなのかい?」
ウミ「…舐められてる感じがするから嫌。」
ウミは不貞腐れたような顔をする。
サンジ「ウミちゃん。確かにさ、敵と戦ってる時に『女のくせに』とかって言われたらイラッと来るよね?」
ウミ「うん!クソが〜!ってなる!」
サンジ「あはは…そうだね。でもさ、俺や、ほかの皆がウミちゃんに対して言う『女の子』って言うのは褒めたりって事なんだ。悪い意味を含んだりはしてないんだよ。」
ウミ「?」
ルフィ「ウミは強い女の子だな!って言われたら嬉しいだろ?」
ウミ「うん!ちょー嬉しい!」
ルフィ「だろ?だろ?だからよ、女の子って言葉でも使い方が違ぇと嬉しいんだ!だから慣れろ!」
ルフィが笑う。
ウミ「おー!すげぇ!」
サンジ「あのルフィが、まさかそんな事言うなんて…今日は槍でも降るか?」
サンジが珍しいと恐れている。
それから1ヶ月後、ナミのログポースはある国を指していた。
ナミは地図を広げる。
ナミ「ログポースが指してる次の島は…グロウピース帝国。」
ロビン「グロウピース帝国といえばこの世で二番目に権力を持つ国だったはずよ。天竜人と同じくらい偉いみたい。世界会議でもグロウピースの皇帝の前では下手に動く事は出来ないと言われるくらい。」
フランキー「ひでえ奴が納めてんだな。」
ロビン「そうではないわ。天竜人と真逆みたいよ」
ウソップ「じゃあ良い奴って事か?」
ロビン「私も会ったことがないからなんとも言えないわ。」
サンジ「確か雪国だったよな」
チョッパー「雪国なのか!?」
チョッパーはワクワクしている。
ロビン「雪冬の神の子が初代皇帝と歴史には残っているわ。もっと面白い歴史を発見できそうだわ。」
ロビンは嬉しそうに微笑んでいる。
サンジ「やっぱりロビンちゃんは歴史好きなんだね。」
ロビン「空白の百年の手がかりがありそうね。」
ルフィ「さみぃ国なのかよ〜」
ウミ「雪いっぱい降ってんだよな!ワクワクするなぁ〜」
ルフィ「さみぃんだぞ?」
ウミ「ん?それがどうかしたのか?」
ルフィ「もー!なんでわかんねぇんだよ!」
ナミ「ルフィ、アンタも人のこと言えないんだからね?」
ルフィ「え?」
ルフィがキョトンとナミを見る。
ナミ「『え?』じゃないわよ。はぁ〜アンタ達、兄妹は〜」
ナミが呆れてため息を吐く。
夜になり、皆、眠りについた頃、ウミは恐ろしい夢を見てしまい、飛び起きていた。
1人で起きているとなお、思い出してしまうのでルフィの部屋へ向かった。
コンコン)
ウミ「ルフィ、起きてるか?」
キィ〜)
ウミは部屋のドアを開ける。
すると、
『グォー!』
『ンガァー!』
男性陣のイビキが耳に入る。
ウミ「うるせぇ!—!」
ウミは大きな声を出してしまったので手で口を覆う。
そしてルフィに近づき、ルフィの体を揺すり、起こす。
ルフィ「ん?ウミ?どうしたんだ?まだ夜じゃねぇか、寝かせろよ。」
ルフィは寝ぼけながら喋る。
ウミ「ルフィ。怖い夢見た…」
ルフィ「怖い夢〜?ん〜わかったよ」
ルフィは体を起こし、自分の隣に座るように言う。
ウミはルフィの隣に座る。
ウミ「ルフィ、ごめんな。」
ルフィ「なんで謝るんだよ。慣れたぞ。昔から怖い夢見た時はすぐ俺のとこ来てたんだから。んで、どんな夢見たんだ?」
ウミ「…みんなが私を嫌いになって、私を殺す夢…」
ウミが泣きそうな顔をすると、ルフィはウミに毛布をかける。
ルフィ「みんながお前を嫌いになる事はねぇし、それに何があっても絶対、兄ちゃんが守ってやるから大丈夫だ。お前の周りから皆が離れて行っても、俺は一緒に居てやるから安心しろ。後、みんながお前を嫌いになって、お前を殺すなんて天地がひっくり返ってもねぇからな。」
ルフィはウミの両頬に手を添え、額同士をコツンと当てながら言う。
ウミ「うん。ありがとう。お兄ちゃん。」
ルフィ「おう!」
話終えるとウミはそのままルフィのベッドで寝てしまう。
朝になり、みんなが起きて少し経つと、
ゾロ「おい、ナミ。海が荒れだしたぞ〜」
見張り台で体作りをしていたゾロがスピーカーで呼ぶ。
ナミ「何?ウミが荒れだした?どうしたのよ、ウミ。」
ゾロ「そっちのウミじゃねぇよ!」
ゾロが突っ込む。
ナミ「それくらい分かってるわよ。からかっただけじゃない。ふぅ〜…もう入ったのね。」
ナミが荒れる空を見上げる。
ナミ「ブルック!ウソップ!チョッパー!ゾロ!帆をたたんで!」
帆をたたみ、少しすると島が見えてきた。
ブルック「皆さん、島が見えてきましたよー」
ブルックの呼び掛けに皆が目の先にある島を見る。
ウソップ「おい!あれを!あんなでかいのを島と呼んじゃダメだろうがァ!向こう側も端も見えねぇでかさだぞ!」
フランキー「おうおう。さすが帝国ってだけはある。」
ウミ「おい見ろよ!ルフィ!雪積もってるぞ!」
ルフィ「この距離でも積もってんのわかるってすげぇなぁ!」
チョッパー「着いたら雪だるま作ろう!」
ルフィ、ウミ「いいな!それ!作ろう作ろう!」
グロウピース帝国の港に船を止めるとすぐさま、ルフィとウミとチョッパーとウソップとブルックは船を降り、雪の上を駆け出し、雪だるまを作り始める。
ナミ「ゔぅ…寒!ねぇ、ロビン。暖かいの食べに行かない?」
ロビン「ええ、いいわよ」
ロビンは微笑みながら答える
するとルフィが話しかけてくる。
ルフィ「おーい!ロビン〜!!」
ロビン「ルフィ、どうしたの?」
ルフィ「俺達の雪だるま作ったんだけどよ、チョッパーのやつには角が欲しいからロビンの能力で手を生やしてぇんだ!」
ロビン「ええ、わかったわ。」
そういうとロビンは能力でチョッパーの角の所に手を生やす。
ルフィ「アヒャヒャヒャ!そっくりだ!おもしれぇ!」
ルフィはチョッパーの雪だるまに手で角が生えているのを見て大爆笑している。
ロビン「フフ、喜んでくれて良かったわ」
ウミ「ルフィ〜!見ろ!皆の出来たぞ!」
ブルック、チョッパー、ウソップとウミがせっせと麦わらクルー全員の雪だるまを作っていた。
ルフィ「え?ほんとか!」
ルフィは返事をした後にロビンに向き直り、
ルフィ「やっぱロビンの能力はすげぇなぁ!ありがと!」
ルフィは満面の笑みで言う。
ロビン「ええ、お易い御用よ。」
話終えるとルフィはウミ達の元へ走っていく。
ウミ「めっちゃ上手く出来たぞ!」
ウミは上手く出来たと言うがびっくりするほど下手くそだ。
ブルック「ええ、顔の辺りとか上手く出来ました。ꉂ💀𐤔ヨホホホホホ!!!!」
口には出来ないが2人が作った雪だるまは全く誰か分からない麦わらの一味の雪だるまだ。
「………」
それを見ながらチョッパーとウソップは沈黙している。
ナミ「どこをどう見たら上手くできてるのよ。」
ウミ「『どこを』って、ほら、この辺とかさ、ナミにそっくりじゃん。」
ウミは目の当たりを指さしながら言う。
ナミ「は?これ、私なわけ?」
ナミは呆れ返っている。
ウミ「ああ!今までで1番、出来がいい雪だるまだぞ!」
ウミは満面の笑みで言うがナミは呆れてものも言えなかった。
ナミ「はぁ〜。あのね、ウミ。体、もっとボンキュッボン!なのよ!もっとリアルにしてくれなきゃ!」
ウソップ、チョッパー「いや!そこかよ!」
ウソップとチョッパーがツッコむ。
そしてルフィが帰ってきた。
ルフィ「おーい!どんな感じだァ〜?」
ウミ「お!ルフィ!見て見て!エース作ったんだ!」
ぐちゃぐちゃだ。
ルフィ「お!じゃあ俺はサボを作る!ちょっと待ってろよ!」
少しして、ルフィがボロボロなサボの雪だるまを作りあげる。
ルフィ「よぉし、出来たぞー!2人とも帽子がありゃ完璧だな!しししっ」
ウミ「だよな!エース見てくれたかな?」
ウミは空を見上げながら言う。
ルフィ「そうだな!なんか俺達が作ったやつを見てそうだ!にししっ!」
ウミ「褒めてくれてるかもな!」
ルフィ「ああ!そんな気がする!」
ルフィとウミの頭にエースの笑顔が浮かぶ。
ウミ「だな!にししっ!」
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