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休み時間。
京介は友達と話していると、隣のクラスから来た女子がぽつり。
「ねぇ、会長と藤牧くんってほんと仲いいよね。兄弟なのに、なんかカップルみたい」
「はっ!? そ、そんなわけあるか!」
京介は即答。声が裏返る。
友達もクスクス笑いながら、
「確かに京介って、会長にだけ態度違うもんな〜」
「……う、うるせぇ!」
心臓がバクバクして、京介は机を強く叩いた。
(やっべぇ……!これ以上突っ込まれたら、マジでバレる……!)
放課後、生徒会室。
二人きりになった瞬間、匠海が京介の肩を抱く。
「なぁ京介、さっきの話聞こえたで。『カップルみたいや』って」
「お、お前なぁ……こんなとこでベタベタすんな!誰か入ってきたらどうすんだよ!」
京介は慌てて振りほどこうとするが、匠海は余裕の笑みを浮かべる。
「ええやん。弟と仲ええだけやろ? 不自然ちゃう」
「……くっそ……」
(こいつ、わざとやってるだろ……)
匠海の指先がさりげなく京介の手を撫でる。
その甘さに、京介は心臓が破裂しそうになる。
帰り際。
廊下で友達に呼び止められた。
「京介ー! 会長と帰るんだろ? ほんとに仲良いよなぁ」
京介は慌てて否定する。
「ち、違ぇし! たまたま一緒なだけ!」
すると匠海が悠々と笑って、京介の肩に手を置く。
「京介は弟やし、守ってやらなアカンねん」
「お、おい匠海っ!」
(バカ、そんな堂々と……!)
友達はニヤニヤしながら、
「へぇ〜、ほんと仲良しなんだな。羨ましいわ」
と言って去っていった。
京介は顔を真っ赤にして匠海を睨む。
「……お前なぁ、マジで心臓止まるかと思ったぞ!」
「でも、嬉しかったんやろ?」
「っ……う、うっせぇ!」
二人きりになった帰り道。
京介は足を速めながら吐き捨てる。
「……ほんとバレるぞ、俺ら」
匠海は苦笑しながら並んで歩く。
「大丈夫や。俺ら、兄弟やから誤魔化せる。……それに」
京介が振り返ると、匠海は真剣な瞳で見つめていた。
「もしバレても、俺は京介を離さん」
京介の胸に熱がこみ上げる。
「……バカ。そういうこと真顔で言うな。……余計に好きになるだろ」
雪の舞う夜、二人の影はぴたりと寄り添った。