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学園祭の後夜祭。
クラスのみんなは花火や打ち上げで盛り上がっていた。
その中で、京介は人混みから抜け出し、ひっそりと校舎裏に座り込んでいた。
「……はぁ、疲れた」
京介がため息をついた瞬間、背後から声がする。
「京介、やっぱりここにおったか」
振り返ると、匠海が缶コーヒーを二つ持って立っていた。
「……なんでわかんだよ」
「弟のことや。探せばすぐや」
そう言って、匠海は隣に腰を下ろす。
匠海がコーヒーを差し出し、京介が受け取る。
その瞬間、指先が触れ合い、京介の体がピクリと震えた。
「……手、冷たいな」
匠海は京介の手をそのまま包み込む。
「おい……離せ」
「いやや。……今は離したくない」
京介の胸が高鳴る。
(……やべぇ、こんなとこで……)
花火の音が遠くで鳴り響く。
校舎の影に隠れ、二人は自然と顔を近づける。
「京介……俺な、ずっと今日みたいな瞬間を待ってたんや」
「……バカ。言うな、そういうの……」
匠海の吐息が頬をかすめ、京介は思わず目を閉じた。
唇が触れ合った瞬間、世界の音が遠のく。
京介は小さな声で呟いた。
「……これ以上、したら戻れなくなるぞ」
匠海は京介の耳元に囁く。
「戻らんでええ。俺はもう、京介しか見えてへん」
匠海の手が京介の首筋に触れ、京介は息を呑む。
「っ……匠海……」
二人の体は自然と寄り添い、互いの体温を確かめ合うように近づいていく。
京介の頭に理性がよぎる。
(ダメだ……ここ学校だぞ……)
でも、匠海の腕の中はあまりに心地よく、もう抗えない。
「……っ、ほんとにバカだなお前……俺まで、おかしくなる」
匠海は微笑み、京介の唇を再び塞いだ。