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「(これまた若くて華奢な….)」
航空整備士として働く菊田のチームに今日,新人がやってきた.
なのに菊田は不安過ぎて胃痛を起こしそうな勢いである.
なぜなら新人は,あの二人より年下の女の子で.クセ強二人の元でやっていけるのかが心配でならない.
「ということで.こっちが尾形で,口元にほくろがあるのが宇佐美な.尾形・宇佐美,🌸だ.よろしく頼む.」
「🌸です.先輩方,どうぞよろしくお願いします.」
「よろしく.」
「よろしく🌸さん.」
「では作業に取りかかる.二人はくれぐれも粗相のないように.」
「分かってますよ.」
「僕はどっちかって言うと,菊田さんの方が心配でーす.」
「わかったわかった.ほら行け.🌸もすまんがあの二人の方に行ってくれ.あとでフォローに行く.」
「はい.」
自己紹介もそこそこに持ち場へと向かう.それから数時間後,菊田が🌸の様子を見に行くと.
「なかなかに優秀な新人だな.」
「そうなんですよ.今まで見てきた野郎達よりずっと優秀です.」
宇佐美がそう舌を巻くのは珍しいことで.
機体の内部を点検している🌸を揃って見守る.
「菊田さん,お疲れ様です.」
「🌸,異常はなかったか.」
「はい.異常なしです.」
と言いつつ,気になった事や機体の特徴をひととおり宇佐美や菊田と話し合い.
「この機体に触るの,専門学校以来なので嬉しいです.推し機体の一つなので.」
「そうか.引き続き念入りに見てやってくれ.」
「はい.」
嬉しそうに作業に戻る🌸.熱心なのも納得.
「(飛行機オタクだったか.)」
人間関係に媚びず,誠心誠意働く🌸に好感が持てた.
しばらくして.
「🌸,離陸するのを見送る時のアレできるか??」
「宇佐美先輩がやってるやつですね.お任せください.」
アレというのは,水で絵を描いて乗客を見送るパフォーマンス.今日は宇佐美がいないので🌸に白羽の矢が立った.
「(何描いてんだ??)」
手際よく描いているのを興味本位で観察する菊田.
「どうしたんですか??珍しく手が止まって….」
と声をかけた尾形も,菊田と同じ方を見る.ちょうど描き終えた🌸.なにやら身体を動かし始めたと思いきや.
「🌸踊れるのか!!」
「ははぁ.これは宇佐美より優秀だな.」
🌸はアイドルが踊るような躍りをして,何かを口ずさんでいた.
「🌸,初めてにしては上出来すぎるパフォーマンスだったぞ!!すごいな,絵もかけてダンスもできるなんて.」
「いえ.その,趣味の一環で.」
照れている姿はあどけなく.年相応の女の子と言ったところ.
「いつでもやるので,また声かけてください.」
「宇佐美よりできますよ,🌸は.」
珍しく尾形も🌸を褒めている.
「そうだな.機会があれば頼むよ.」
「はい.」
「そういや🌸,さっき言ったところの点検….」
「そうでした.ちょっとついてきてもらっていいですか??」
「作業中断させて悪かったな.戻ってよくみてやってくれ.」
🌸は会釈してその場を離れた.
それにしても,🌸は何の歌を歌っていたのか.セクハラと思われるのが嫌で,菊田はそういった事をなかなか聞き出せないでいた.