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いまいましいほど美しい月夜だった。
明るくやわらかな光が、ギイの身体をしっかりと照らしてしまう。

小柄で宰相に逆らうことも出来ない、小さな自分の身体。
皮肉なことにその小ささのおかげで誰にも気づかれることなく、院内へと忍びこむことができる。
ギイは舌打ちしながら影と影の間を素早く走り、アンジェリカの部屋へと向かった。

目的の部屋を見つけるとギイは息をひそめ、窓の隙間に細いピンを差し込んだ。掛け金をそっと押し上げて窓を開く。

外から部屋を覗くと、灯りはすべて消されていた。
ベッドの上で横たわる皇女の姿を月光が照らしている。
悩みなど無さそうな安らかな寝息に、無性に腹立たしさが湧いてくる。

ギイは窓からするりと入り込んだ。
懐にしまっていた短剣を取り出し、慣れた手つ**************************

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