TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

かっちゃんに連れられてやってきたのは、屋上だった。

促されるまま、広い屋上のベンチに座る。

「なんで急に戻ってきたんだ…?」

聞きたいことがたくさんあるのか、かっちゃんは焦り気味に聞いてくる。

僕が編入してきたことに、相当驚いている様子。

って、それもそっか…。

「もともと数年で戻るつもりだったの…!連絡もせずにごめんね」

引っ越してから、メッセージのやりとりはしていたけど、戻って来るとは伝えてなかった。

かっちゃんにも直接会いに行こうと思っていたし、驚かせたかったから…。

「いや、謝らなくていいけど…また会えただけで、うれしいし」

そう言って、本当にうれしそうにほほ笑んだかっちゃん。

僕も、自然と笑みがこぼれる。

「けど、朝からマジでビビった…」

「ふふっ。僕も、かっちゃんがこの学校に通ってるなんて知らなかった…!」

「俺、初等部からここだぞ?」

え?そうだったの…!

私立に通っていたのは知っていたけど、詳しく聞いたことはなかった。

「…それで、その格好は?出久、目悪かったっけ?」

あっ…。かっちゃんの質問に、苦笑いを浮かべた。

そうだよね、気になるよね…。

屋上だし、僕たちしかいないから大丈夫だろうと、メガネとウィッグを取った。

「これは変そうなんだ…!あ、カラコンもしてるよ!」

「…っ」

変装を解いた僕を見て、かっちゃんはなぜか顔を真っ赤にした。

…ん?

「かっちゃん…?」

「…あ、ああ、わあった…出久、だな」

赤い顔を隠すように、口元を手で押さえたかっちゃん。

変なかっちゃん…。

「お母さんがこれをつけないと学校に行くのは許さないって…」

「…なるほどな。…まあ、たしかに変装無しで行くのは危なすぎる」

…危ない?

あっ、もしかしてかっちゃんってば…。

「僕、弱くないから大丈夫だよ…!」

髪色や目の色で目立ってしまうから変な人に絡まれるんじゃないかとか、心配してくれたのかな…?

もしそうだとしても、負けたりしないのにっ…!

それに、こっちのほうが逆に悪目立ちしてるみたいだし…。

「そういう意味じゃねえんだけど…出久が強いのは、俺が一番わかってるし」

かっちゃんの言葉に、笑顔を返す。

強いと言われて、嫌な気はしない。ふふっ。

かっちゃんとは幼なじみだけど、家がご近所とか、そういうわけじゃなかった。

小学校に通う前から通っていた空手道場。僕達の出会いはそこだ。

僕が引っ越しをする前まで、週に一度の空手教室で毎回顔を合わせていたんだ。

教室の帰りに、よくアイスを買って帰ったのが懐かしい。

「なあ、アイツラは知ってんのか?」

あいつら、というのは、たぶん…villainsのみんなのことだと思う。

かっちゃんはvillainsのメンバーと仲がいいわけじゃないけど…いや、むしろ仲は悪いけど、僕がみんなと仲良しなのは知っている。

それに、転ちゃんと付き合っていることも。

「villainsのみんなにも、転ちゃんにも、まだ何も言ってないんだ…!驚かせようと思って…!」

そう返事をすると、かっちゃんはなぜか一瞬、安心したような、戸惑ったような表情を見せた。

「…そっか」

少し疑問に思ったとき、チャイムの音が校内に鳴り響く。

「あ、これ予鈴だよね?早く教室に戻らないと…!」

「うん。戻ろう」

2人で屋上を出て、教室に戻る。

「出久」

「ん?」

「困ったことがあったら、いつでも俺に頼って」

隣を歩くかっちゃんにそう告げられて、ほおが緩む。

「うん!ありがとうかっちゃん!」

最初はどうなることやらと思っていたけど、かっちゃんがいてくれるなら心強い。

学校生活、楽しくなるといいなっ…。



実は最強な出久くん

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

207

コメント

1

ユーザー

ブクマ失礼します!あなたの物語好きです!!これからも無理せず頑張ってください!!!!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚