テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
透過
1,705
文章や口調等、拙い部分が多数見られると思いますが、ご了承ください🙇🏻♀️
リクエストしていただいて書いておりましたこの作品ですが、リクエストではハッピーエンドだったんです。
が、人魚姫って原作バッドエンドじゃないですか………。
書きたいなって…なりまして……。
ということで、ハピエンバドエンどちらも書こうと思います。 pin0 さんごめんなさい、、、!!
⚠️
今回のお話はハピエンです!!!!!だいぶオリジナストーリーです。人魚姫本編の原型ほぼないです。
ほんのりセンシティブです。
地雷の方は自重お願いいたします!
さのじん『その声に魅せられて』
〜Happy End〜
💛side
「す、き……」
「っ、!?」
咄嗟に口元を抑える。
驚いた。まさか、声が出るなんて。
王子も驚いたような顔で俺を見ている。
もう一度、あーと言ってみると、ちゃんと音として耳に入ってくる。
本当に声が出るようになってる…!
…………………って待てよ、?
「キス、、、……!?」
今、俺、王子にキスされたよな!?しかも、口に!!
伏せていた顔を恐る恐るあげると、にんまりと笑う王子と目が合う。
「うん、したね、キス」
王子が自分の唇を舌でちろっと舐める。
月光に照らされるその様子があまりにもイケナイものを見ているようで、再び目を逸らす。
「こっち向いてよ。もう一回しようか?」
俺の顔にかかった髪を耳にかけ、そのまま頬を撫でられる。
その手を掴んで、そっと離れる。
「だめです、そんなこと、」
王子にキスされるのが嫌なわけではい。むしろ嬉しい。しかし、そもそも俺は王子を殺そうとここにやってきたんだから。
王子は拒否されるとは思っていなかったのか、先程と同じくらい驚いた顔をしている。
「王子には婚約者がいるじゃないですか。俺は、もう諦めがつきました」
「嘘だ、俺の事まだ好きなんだろ?」
「………はい、」
「なら、 「でも」
「幸せになって欲しいというのも本心です。お似合いの2人の邪魔なんて、俺には出来ない」
「仁人…」
「俺のことは、もう忘れてください」
「______お幸せに。」
仁人は勇斗王子に笑いかけ、部屋を出ようとしました。
すると、その瞬間、勇斗王子は仁人の体をすっぽりと包み込むように抱きしめました。
「王子…っ、!」
「だめ、行かないで仁人」
なんなんだこの人…!
さっきから「だめ」ばっかり。
いきなり好きとか言って。俺をどうしたいんだよ。
「もう…分からないっ……!!」
絞り出すように叫ぶ。
無言のままの王子の手から抜け出そうと試みるが、ビクともしない。
「…は、離してください」
「嫌だ」
「こんなところ、リンさんに見られたら…」
「大丈夫」
どこからそんな自信が湧いてくるのだろう、王子が俺を抱きしめる力を強める。
「リンさんには恩を感じてるけど、好き、ってわけじゃないんだよね」
「は……それってどういう、、」
「リンさんは、俺の成人祝いでやっていた船上パーティーで転覆して海に沈んだ俺を助けてくれたんだ」
「パーティー……助けた……」
ぶわっと俺が王子に一目惚れしたあの日を思い出す。
ちがう、それは俺だ。俺があなたを助けたんだよ。沈んでるのを見つけて、運んで、髪と服まで乾かした。
勘違いしてるらしい王子にそう言ってやりたいが、それは自分が人魚だと白状するようなもの。
「…仁人?」
無意識的に体が強ばる。
恐らくそれを感知した勇斗王子が俺の顔を心配そうに覗いてきた。
どうしよう。俺、どうすればいいんだ?
勇斗王子のことが好き。俺は実は人魚で、あなたのことを助けたのは自分だと伝えたい。
𓂃𓈒 𓂂𓏸
………よし。
もうダメだ引き返せない。言ってやる。全部。
「……王子」
「ん?」
胸元で組まれている王子の腕をそっと撫でると、力を緩めてくれたため、腕の中で王子の方へ体を向ける。
「今から言うのは、俺の独り言です」
「………うん、」
俺は全てを勇斗王子に話した。
実は人魚だということ。助けたのは自分だということ。あのパーティーで一目惚れしたということ。
そして、
「あなたの事が、好きです」
王子のことを好きだということ。
🩷side
仁人の口からぽつりぽつりと零れる言葉を、一文字たりとも聞き逃すまいと相槌をうつ。
仁人が人魚だなんて、普通に考えれば信じ難いことだ。しかし、今までの僅かな違和感のピースがはまっていき、それが事実として耳に入ってくる。
「あの海での温かさは、仁人だったんだ」
「ん、風邪、引いて欲しくなくて、」
素直にそう告げる仁人を愛おしく思い、輪郭をなぞる。
あの婚約者のことなんて、微塵も頭に浮かばない。俺を助けてくれたのは仁人なのに、嘘ついて俺に擦り寄ってたってことだろ?誰が結婚するかよ。
「あの人との結婚は取りやめる」
「えっ…、でも、今週末なんじゃ、」
「んーん、いい。俺が好きなのは仁人だもん」
「っ……!!」
目を合わせてそう言うと、みるみる赤く染っていく仁人。金色の目が揺れていて、とても綺麗だ。
「ふは、かーわい、」
ふいっと顔を逸らされてしまった。
…そういえば、
「あの歌声って、仁人?」
「歌声…ですか、?」
「あのパーティーの日に聞こえてきたんだよ。そして、助かったあとも海の方から何度も」
「…多分、それ俺」
「やっぱり。俺さ、仁人の歌声を聴いた時点で仁人に心奪われちゃったのかも」
目線を仁人の唇に落として、下唇の縁を親指で撫でる。
仁人は驚きと恥ずかしさが混ざった表情で、こちらを見つめている。
「そうだ、なにか歌ってよ」
「えっ、」
「お願い。ずっとあの人の歌聴いてたから仁人の歌声が聴きたい」
仁人は少し考えたあと、わかった、と歩きだし、窓を開けてバルコニーに出た。
海に向かって歌うように、手すりに体を預けて仁人は歌い出した。
ああこれだ、この歌声を俺は求めていた。
仁人の清らかな歌声が体にすっと染み込んでいく。
その歌に引き寄せられるように俺もバルコニーに出て、仁人の横に立つ。
ぼちゃん、と大きな魚がはねたような水音が聞こえ、何となく海に目を向ける。
そこには姿こそは見えないものの、何人かの人影がある。仁人が言っていたお姉さんたちだろうか。
仁人の歌声に魅せられたのか、星が一等輝き始め、草木がざわめき始めました。
そして、綺麗な桃色の蝶々が一匹、ふわりと飛んできて、二人の周りを戯れるように舞ったかと思うと、どこかに行ってしまいました。
仁人の歌声に酔いしれていると、いつの間にか仁人の目から涙が一筋零れていた。
それでも歌い続けるから、止める訳にもいかず、金剛石のように煌めく涙を見つめる。
それからすぐに仁人は歌を止めた。
「仁人、」
「……ごめんなさい、…」
「謝る必要なんてない。どうした?どこか痛む?」
「…いや、大丈夫です」
「でも、」
仁人が手すりに頬ずえをついて、海に切なげな目線を送る。
「…俺、脚を手に入れた代わりに、海に入ったら泡になって消えてしまう呪いがかかってるんです」
「だから、もう家族に、…海の仲間に、一生会えないんだって思うと、なんか悲しくなっちゃって」
自業自得なのに、と笑う仁人の髪に優しく手を伸ばす。
仁人が今どんな気持ちなのか、もちろん分かりえない。でも、少しでも仁人の力になりたい。
「勇斗王子?」
「どうやったらその呪い解けるの?」
「えっ」
「俺がその呪い解いてあげたい。仁人のためだったら、俺なんでもできるよ」
「ありがとう…ございます…、っでも、分からないんです。俺、舞い上がってちゃんと契約書読まなかったから…」
また涙が溢れそうな仁人の顔を、顎を掬ってあげさせ、目尻にそっと口付ける。
俺の頭に、一つだけ可能性が浮かんだ。
「キスしたら、声出るようになったんなら、その呪いも解けないかな」
「へ、…キス、?」
「そう、やってみていい?仁人が嫌ならしないから」
勝手にキスをしてしまったことを反省して、仁人にどう?と尋ねる。
「……いやじゃ、ない、」
「ふっ、ありがとう」
顎に添えていた手を後頭部に回し、ふっくらした唇を奪う。
角度を変えながら何度も短いキスを落とす。そうしているうちに我慢が効かなくなって、息継ぎの為に薄く開かれた仁人の口に舌をねじ込む。
「っ、……!?」
その瞬間、仁人の身体からかくんと力が抜ける。
反対の手を腰を支えるようにして抱きかかえ、甘い口内を味わう。
「ふ、……ぁ、……ん、ふ……」
律儀にぴくぴくと震える仁人に充てられて、口付けがだんだん深くなってしまう。
仁人が俺の背中に縋るように抱きついてきて、苦しいんだなと他人事のように考える。
きゃーっと黄色い悲鳴が海の方から聞こえる気がするが、仁人の色付いた吐息が脳に直接響き、それどころではない。
「…っふ、………は、…ぁ、」
薄らと目を開けてみると、顔を真っ赤にして必死に息をしてついてきている。
可愛い……。
そろそろやめてあげないと、と頭ではわかっているが体が言うことを聞かない。
目の前の甘い蜜をまだ堪能していたいようだ。
「……は、ん……ふ、、はー、ろ…」
ダメだやばい。可愛すぎる。今俺の名前呼んだよな?
さらに腰を強く抱きしめると、応えるように仁人が首に手を回してくれて、本気で止まれなくなってしまった。
官能的に響く水音と仁人の艶のある声を聞きながら、おぼつかない足取りでベッドの方へと向かう。
そのまま縺れるようにして仁人をシーツに沈めた。
「んん、……っ、ふ……ぁ、……ん、」
仁人の服に手をかけようとしたところで、ハッとして口を離す。
銀色の糸が引いて、ぷつんと切れた。
俺も仁人も肩で息をしていて、どれだけ必死なんだよと自分で可笑しくなる。
「っは、はぁ……っ、はぁ、と…」
「っふ、は、好きだよ、仁人」
「ん、ふ…っ、……おれも、」
呪いが解けたのかは分からない。
でも、仁人のことは俺が死ぬまで守ってやるから。
あの夜、勇斗王子が仁人の歌声に魅せられたのは偶然か、それとも必然か。
それはきっと、海しか知らない運命なのでしょう。
おしまい。
思ったように書けず、予想より時間がかかってしまいました。申し訳ございません😭😭
ハッピーエンド編。一応リクエスト頂いていたものは完結となります。
が、最初にもあるように、バッドエンドも書こうかと思っておりますので興味がある方は是非見てみてください💫😈
コメント
5件
ハピエンは幸せですね… バトエンも楽しみです✨
これはこれですごく好きです♡急に物語の色が変わったのが逆に面白いし、天日干し様なりのハピエン、二人が幸せならそれで良いのです😭素敵なお話をありがとうございました✨
うわあ、もう、すごく良かったです……! 人魚姫のバッドエンドをベースにしながら、ちゃんと「ハッピーエンド」として二人を結ばせた構成が巧いなあと。 特に「キスで声が戻る」→「じゃあ呪いも解けるかも」の流れが自然で、勇斗王子の「俺が守る」にもほっこりしました。 仁人が自分の正体を打ち明けるシーン、あの緊張感がすごく伝わってきました。 バッドエンドも読んでみたいです!