TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

ナオト(『第二形態』になった副作用で身長が百三十センチになってしまった主人公)はしばらくシアン(擬人化したメスドラゴン)の『人形』になることが決定したため彼は彼女が満足するまで動けない。


「とりあえず左耳、舐めるよ」


いきなりか。

もう責める気満々だな。


「はむっ……」


彼女は彼の弱点である左耳に甘噛みすると、舌でゆっくりと舐め回した。


「……うん、おいしい。ずっと舐めていられる」


それは非常に困るのだが。

床に横になっているナオトはずっと天井しか見ていない。


「うーん、なんかつまらないな。あっ、そうだ」


彼女は彼の口をこじ開けると、彼の舌を親指と人差し指で挟《はさ》んだ。


「ナオト、私の唾液、飲んで」


それ、俺がヒバリ(『四聖獣《しせいじゅう》』の一体である『朱雀《すざく》』の本体)にしたやつだ。


「ちょっと待っててね。もう少し溜《た》めるから」


いや、まだ飲むなんて一言も言ってないんだけど。


「……よし、じゃあ、もっと口開けて」


も、もっと? あんまり開けても辛いだけなんだが。


「あっ、そうだ。口移ししよう」


え? それはちょっと困るな。

いや、ちょっとどころじゃない。かなり困るぞ。

彼は少しだけ右手の人差し指を動かした。


「ナオト、動いちゃダメだよ。今、ナオトは『お人形さん』なんだから」


彼女の顔が近づいてくる。

雛《ひな》に餌《えさ》を与える親鳥のように口に含んだ唾液を飲ませようとしている。


「ナオトー、どこにいるのー? ……って、ね、ねえ、シアン。これはいったいどういうこと?」


「吸血鬼に教えることは何もない」


ミノリ(吸血鬼)は苦笑しつつ彼女をナオトから引き剥がした。


「ナオトはお人好しだから、あんまり嫌だって言わないけど、あんたの欲を満たすための道具にするのは許さない。だから、もうやめて」


「なるほど。理解した。ナオト、もう動いていいよ」


「お、おう」


彼が上体を起こすと、彼女は彼をギュッと抱きしめた。


「ど、どうしたんだ? シアン。ミノリに何か言われたのか?」


「別に何も言われてない。あと、しばらくこのままでいたい。いい、かな?」


「ああ、いいぞ」


こいつ、瞬時にナオトが喜びそうなことをやり始めたわね。

まあ、ナオトに危害を加えそうな雰囲気じゃないから別にいいけど。

ダンボール箱の中に入っていた〇〇とその同類たちと共に異世界を旅することになった件 〜ダン件〜

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

47

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚