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「…なぁ、理沙。たまには、デートしようぜ?」
紫色をした妖しげに光る眼差しをしばたいて、彼が言う。
「デート?」
私が、ちょっと冷やかし半分に聞き返すと、
「そ…。いつも店じゃなくて、たまには2人っきりで会いたいだろ? おまえだって…」
あまりにもストレートに彼に告げられて、訊いた自分の方が照れくさくなった。
店……彼の言う店とは、『超イケメン✧ホストクラブ』という、一瞬信じられないようにも思われる名前のホストクラブだった。
そのホストクラブには、彼──銀河(ぎんが)の他に、流星(りゅうせい)、天馬(てんま)、三日月(みかづき)という、全員で4人のホストたちがいて、
それぞれのホストたちが、自ら選んだお客を店に招くという、ちょっと変わったスタイルのホストクラブになっていた──。
「私は別に、お店でみんなといっしょに会ってても、楽しいけど?」
あっさりと照れさせられてしまった分、そう少し焦らすようにも口にすると、
「……あんまつれないこと、言うなよな」
本音を隠してばっかりな私に、さすがに銀河がたまりかねたようにも呟いて、
「ごめんね、銀河。ちがうの……その、」
言葉を切って、やや不満げな彼の顔を上目づかいに見つめる。
「……ちがうよ。私だって、2人っきりでいたいと思ってる…銀河と…」
口にすると、自分でも頬がじんわりと赤らんできてるのがわかった。
「ホントかよ…理沙」
さっきまでの表情が嘘みたいにパッと明るくなって、彼が眩しいくらいの笑顔を見せる。
嘘や偽りがなく、なんでもまっすぐに言動に表す銀河に感化されて、私も彼と付き合う内に、最近はだいぶ素直にもなりつつあった。