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「じゃあ、俺の方から、また連絡するから…待ってろよな?」
「うん」と、頷いて、「待ってる…」と、自分自身もそう一言を付け加えた──。
──数日が経ち彼から電話が着て、私たちは週末にデートをする約束をした。
銀河とは、以前にドライブデートをしたことがあったけれど、今日は「歩きで」と彼に言われて、私も「わかった」と、応じていた。
待ち合わせの場所に、銀河が少し長めの茶色い髪をなびかせるようにして、近づいてくる。
銀河とは付き合ってもう割りと過ぎたのに、今でもそうして彼が近づいてくる時は、やけに胸が高鳴って、その顔さえもまともに見られずにいた。
「待ったか? 理沙」
銀河が掛けているサングラスをちょっとずらして、私の目を見つめる。
ずらしたサングラスの奥から覗く、紫の瞳にドキリとさせられる。
銀河は、軽いアルビノの因子を持っていて、色素の薄さが現れた紫の目は光に弱いこともあって、サングラスをいつもしていた。
「…ううん、大丈夫。待ってないから」
会えた嬉しさに、ちょっとだけはにかみ気味に口にすると、
「そっか」と、銀河は微笑って、私の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「今日は、どこに行こうか? 理沙は、どっか行きたいとことか、あるのか?」
「ない、別に。どこでも、いいよ」
先を歩き出した銀河が差し伸ばした手を、後ろからそっと握る。
「じゃあ今日は、時間もなんも決めないで、2人だけのデートってことで」
そう言って、銀河が頭を振り返らせると、
「今日は、2人っきりで、過ごそうな」
と、ニッと口の端で笑って見せた。