TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

タイトル、作家名、タグで検索

テラーノベル(Teller Novel)
シェアするシェアする
報告する

午後、レンタカー会社へ向かった。係員は無機質にPCを打ったあと、奥の部屋へ消えた。

冷房の効き過ぎた部屋で待つうち、健太はヘラルドにフェスティバの運転席に引っ掛けたままのGジャンを持ってきてくれるよう頼んだ。

十分か十五分ほど経ってヘラルドが戻ってきたとき、ちょうど係員が奥から出てきた。係員は首を振ると、契約書を健太の前に開いた。

「サインは、あなたのものに間違いないですね?」

健太は頷いた。

「残念ながら、今日までのご請求はあなた様のところへ参ります」

健太の目はうわずっている。

週末働いて得た賃金は、ぎりぎりの生活の中に消えていく。そのうえで、旅に出た。マレナの分までかぶって。

そんな状態で、一ヶ月間もの超過料金を、俺に支払えというのか。

「でも、」と店員は言った「今日これからの分は、我が社とマレナさん一家との話となります。おそらく我が社とマレナさん宅との裁判になるでしょう。とにかく、あなたの支払い義務は今日以降ありません。ご安心ください」

健太は黙ったまま立ち尽くした。ヘラルドが心配そうにこちらを見ている。

「お客さん、これは合鍵です」店員は番号の書いてある紙切れを渡してきた「そして、これは車のナンバーです。一刻も早く解決しましょう。協力してください。マレナ側から車を取り返してきてください。家は知ってますね?」

ハーバー共和国 (Ⅲ)

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

11

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
;