生存確認ついでのハロウィン小説🎃
スランプの沼が深すぎて未だに抜け出せません…
吸血鬼bnさんと死神🍌チャン。
⚠︎ATTENTION⚠︎
!当作品はご本人様とは一切の関係がございません
・🍆🍌
・極軽度の流血表現有り
幽霊、猫又など、色々な仮装をした人々が大勢集まり、楽しそうに列を成す夜。
今日はハロウィン。
死神…正しく言うとその補佐の1人であるおんりーは、人間の魂の捕獲任務と怪異達の見張りのために人の世界へと来ていた。
ハロウィンの日は沢山の怪異が人間の世界に集まる。
その中には血気盛んになっている奴もいて、人に実害を加える者もいる。
今年も既に怪異達の手による被害報告が数十件出ており、被害にあった人達の魂を回収し、ついでに怪異達の監視をしてこい、というのがおんりーに与えられた任務だった。
少し面倒だと感じる部分もあるが、上司である死神様の命に背く訳にもいかず、大衆の中に紛れる人ならざる者達を見渡す。
数分そうしていると、ふと、秋特有のびゅう、という寒い風と共に鉄のような匂いがして、異変を感じたおんりーは風の吹いてきた方向へと走る。
進んだ先には人気のなさそうな路地裏で、大通りとは違う暗い雰囲気におんりーはぶるりと身震いをした。
「…ヤだけど行くかぁ………。」
先程よりも濃くなったように感じる匂いに、少し体を引きながらもそこへと入っていった。
「…ぼんさん?」
汚臭が漂う路地裏に立ちすくむ男がひとり。
その男が自分の知人に見えて、その名を呼ぶ。
声に気付いてこちらを向く男の目を隠すサングラスと、口に咥えた煙草を見て、男に1歩近づく。
『アレ、おんりーちゃん。どしたの、こんなとこで。』
へらりと笑う顔を見上げる。
サングラス越しでも薄らと見える濃い紫の瞳に、口から覗く八重歯。ぼんさんの体の周りにはコウモリが数匹飛んでいる。
微かな月の光に照らされる足元には、少し黒ずんだ赤色が広がっていて、男が倒れていた。
「…ぼんさん、無駄な殺傷は控えて欲しいって前も言いましたよね?」
男の元でしゃがみ、息絶えているのを確認してから、男の胸元に手をあてて魂を抜き取る。
『いや〜〜〜ちょーっとだけ頭にきちゃって…』
後ろでぼんさんがしゃがんだ気配がして、被ったフードの上から頭を撫でられる。
抜き取り終わって、魂を天界へと送る。
立ち上がろうとすると、ぼんさんに肩を抑えられた。
「わっ!?、ぼんさん?どうしました?」
無言のぼんさんに怪訝とした声で問いかけると、フードを外されて首の辺りにぼんさんのふわふわの髪が当たる感覚がした。
『なんだっけ、トリックオアトリート?俺お菓子食べたいなぁ。』
にやにやしているぼんさんに、後ろから顔を覗き込まれる。
「お菓子なんて持ってるわけないじゃないですか…」
呆れたような声でそう答えると、ぼんさんは笑みを深めた。
『そっかそっか〜…ならイタズラするしかないな〜?』
楽しそうにそう言って、俺の首筋に顔を近付けた吸血鬼に、ゲッ、と思い、咄嗟に静止の声をかけた。
「俺一応オバケだから血流れてませんよ?」
『エ、それなら最初に言ってよ〜!!ちえ、おんりーちゃんの血飲みたかったのに…』
急に不貞腐れて顔を離したぼんさんに、体を回されて、向かい合う。
『それじゃあさ、おんりーちゃん、そのお面外してよ』
「え?そんなことでいいんですか…?」
先程よりもグレードの下がったイタズラに、それぐらいなら…と、大人しく骸骨を模した面を外す。
面を外したことによって直接肌に感じる、少しぴりぴりとした冷気に顔を顰めそうになるが、それを堪えてぼんさんを見上げる。
『んふ、やっぱおんりーちゃん美人さんだネ。』
サングラスの奥で目を細めて笑うぼんさんの色気にあてられて、頬が熱くなるような感覚に陥って、存在しないはずの心臓がキュン、と鳴った…気が、した。
仕事に戻るから、と言って足早に去っていった小さな死神の姿を見送り、ふふ、と笑う。
美人だと言われて照れる素振りを見せた愛しい子に、そろそろアタックするのもアリかもなあ、などと考えていると、視界の隅に先程の男が映る。
「あー…こいつは…別に放置でもいっか」
おんりーちゃんの来る数十分前、急に現れた男は自分のファンだと名乗り、俺に血を吸ってくれ、と懇願してきた。
ファンだなんて気味が悪いし、男の血は吸わないと決めていたから断ったけれど、それでも引かない狂信者のような姿に腹が立ったのだ。
「ハジメテはおんりーちゃんに捧げるって決めてたけど…血ぃ流れてないのは予想外だったなあ」
「まあいいや、そこら辺はどうにかするとして、今はあの子を俺の元へ堕とす方法でも考えよ〜」
気だるげに、けれど獲物を狙う獣のような目をした男が暗闇に消えていくのを、不気味に光る月だけが見ていた。
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