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1 - 【冴凛 sern】αの幸甚

♥

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2024年08月15日

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注意書き


・二次創作です。公式に迷惑かかる行為は辞めようね!!

・ほんわかと夜の営みを仄めかす表現有りなので、一応センシティブ

・rnちゃんがseちゃんをずっと兄ちゃん呼びしてる

・seちゃんが酷い

・テラーノベル始めたばっかりです。間違っていたら教えてください(>人<;)

・楽しんで読んでいただけると、とても嬉しいです!


おけ?





この世界には、男か女か以外に、第2の性というものが存在する。

とても優秀で希少な、社会的地位が高いとされるα。

これに当てはまる人が一番多く、一般的と言われているβ。

そして、約3ヶ月に1度、αを誘惑するフェロモンを出すヒートというものがおきて、そのせいで社会的地位が低いとされていたΩ。

今はΩでも優秀な人達は沢山いるから、Ωへの強姦や第2の性での差別は薄くなっている。


そして、αとΩの特別な契約──『番』というものが存在する。

番契約されたΩは、そのα以外にフェロモンを発さなくなる。


俺は、番というものに憧れていた。

それは、俺と性的関係がある兄ちゃんだって同じこと。

俺たちが交わる度に、兄ちゃんは項を噛む。番になることは絶対に無く、歯型がつくだけなのだがそれでも兄ちゃんは必ず俺のことを噛む。


それだけ強い意志があっても、俺たちは番にはなれない。だって⋯⋯




だって、俺たちはα同士なのだから。





αの幸甚





幼いころに、兄ちゃんは俺に番を教えてくれた。αとΩだけが出来る、とても特別な関係。

『特別』という言葉に、俺は心を踊らせた。兄ちゃんが大好きだったから。兄ちゃんとずっと一緒に生きていたいと思っていたから。

だから、小さい頃から俺は

「兄ちゃんの番になる」

と言い続けている。

今でこそ、声を大きくしては言えないが、心の中ではずっと思っていた。


兄ちゃんと番になりたい。兄ちゃんに特別愛されたい。


大体皆中学生くらいの時に、自分の第2の性を教えられる。

兄ちゃんはαだった。当然だと思った。

顔が良い。優しい。サッカーが上手い。運動抜群。その上教科書を1度パラパラッと読むだけですぐに頭に入ってしまう。

これでαじゃないほうがおかしいと言うのだ。


俺の第2の性は、Ωがいいとずっと願っていた。だけど、1枚の紙切れはそんな俺の願いを切り刻む。


『糸師 凛 様


第2の性 α』


両親は、普通のβだった。そんなβからαが生まれるなんて。しかも2人も。みんな目を丸くして驚いた。

そして、笑顔で俺に「おめでとう」と告げた。


心の何処かが暗く滲んだ。

兄ちゃんと、番になりたかったのになぁ⋯

どこかキュッと締め付けられる気がする。


その日の夜は、1人で泣いた。






「凛、お前は世界一のストライカーだ」


W杯が終わって、兄ちゃんは俺にそう告げた。空が澄んだ青色で、フィールドの熱気が俺の頬を撫でる。


「偉いな、よく頑張った」


じわり、と目の前が滲んだ。喉の奥がきゅっとしまって、情けなく涙を流す。そんな俺を兄ちゃんは優しく抱きしめる。


「兄ちゃん⋯っ、ごめん。ごめんなさい⋯っ。あの時、酷いこと言って⋯ごめんなさいっ」

「それは俺もだ。さすがに言い過ぎた。⋯悪い、凛をこんなに追い詰めるとは思ってなかった」


温かい体温が俺の体を包む。⋯そういえば、抱きしめられたのなんて何年ぶりだろ⋯。

この幸せを、しばらく堪能してたい⋯と思っていたら、兄ちゃんがじっと俺の瞳と目線を合わせる。


「⋯⋯何?」

「⋯⋯⋯」


もしかして、泣いてたから変な顔になってる!?嫌だ⋯兄ちゃんにそんな顔見られたくない⋯

ゆるゆると視線を逸らす。

兄ちゃんは「こっち向け」と俺の顎を掴んで目線を合わせさせられる。


⋯⋯これって、顎クイ⋯!?!?


そう分かった直後、グイッと俺の体が引っ張られて兄ちゃんの唇と自分の唇が合わさる。

軽いリップ音を立ててキスされた後、兄ちゃんは俺の唇をペロリと舐めた。


「ふ、ぇ⋯⋯」

「凛、好きだ。俺と付き合ってくれ」


何年も続けていた兄弟喧嘩に、俺たち2人は終止符を打つ。遠くに居たブルーロックでの知り合いがギョッとしたような顔をして騒ぎ立てていたような気がしたが、その時俺は兄ちゃんに夢中であんまり気になっていなかった。

後に聞くと、「あの糸師兄弟が!?」とめちゃくちゃ混乱していたらしい。


鎌倉に帰ると、両親は温かく出迎えてくれた。部屋は埃一つ溜まっていなくて、綺麗にしててくれたんだな。と感謝する。

そっと指先で1枚の写真をなぞる。兄ちゃんが持つはずだったトロフィーを、俺に持たせてくれた写真だ。

所々にヒビが入っていて、1度俺がぐちゃぐちゃに壊してしまった写真。何も分かっていなさそうなポヤポヤ笑顔でトロフィーを持つ過去の自分に、思わず笑ってしまう。


(大丈夫だよ、中学生の俺。だって今、すごく幸せだもん)


「凛、何してんだ?」

「ううん、兄ちゃん。なんでもない」

「そうか。晩御飯だってよ。母さんが呼んでる」

「あ、分かった。教えてくれてありがとう」


するりと兄ちゃんが俺の手を握った。

「リビングまでな」と小声で告げられ、あまりの幸せ感で頭がふあふあとしている。


俺たちは恋人になった。




大きく変わったことが3つある。


1つ目は、俺はサッカーを辞めた。兄ちゃんと2人で世界一になるという目標は、もう叶えられたから。

後悔はしていない。寧ろ、なんだかスッキリした。

ブルーロックのメンバーとも連絡先を交換しているし、時々メッセージも送られてくる。寂しくなんてない。


2つ目は、兄ちゃんが何でもないことのように「同棲するか?」と聞いたことから始まった。

だから俺は今、スペインの兄ちゃん家で暮らしている。


3つ目は、

俺たちは、肌を重ねるようになった。

その度に兄ちゃんは俺の項を噛む。ピリッとした痛みがなんだか幸せなのと同時に、どこか虚しい。兄ちゃんが幾ら俺のことを噛んだって、番にはなれない。

だって、α同士なのだから。

αとαは項を噛んでも番は成立しない。成立するのはαとΩだけ。保険の授業で習って、皆が当たり前のように知っている事実だ。



「にいちゃんは、俺に番になってほしいの」


ピロートーク中に、そう聞いた。

兄ちゃんはじっと俺を見つめて⋯ぽつりと言った。


「なりたい」

「そっか」


俺も。と伝えて体を擦り寄せると、兄ちゃんの心音が聞こえてくる。今なら安心して、何でも言えそうだ。


「にぃちゃん⋯俺、Ωがよかった。兄ちゃんとずっと一緒がいい」

「別に、お前の第2の性がαだろうがΩだろうがなんだろうが、絶対離さねぇよ」


そう言ってもらえて、キュンとお腹の奥の方が疼く。その疼きを出来るだけ気にしないようにしながら、「嬉しい」と告げた。

兄ちゃんの心音のおかげか、すぐに眠気が襲ってくる。

俺が夢の中へ落ちる直前、兄ちゃんが俺の項を撫でた気がした。





続きます。

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