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栄光のその先で
かつて、彼の画面に映る敵はすべて一瞬で崩れ去っていた。
「God’s Eye(神の目)」
FPSのプロシーンでそう称えられた男、レイジ。圧倒的なエイム精度と超人的な反射神経で、あらゆる世界大会のトロフィーを総なめにし、彼は文字通り栄光をほしいがままにした。
しかし、絶頂の中で彼は突如として引退を表明する。理由は単純だった。
「画面の向こうの敵が、追いついてこなくなった」
満たされない飢餓感を抱えたまま日常に戻った彼が次に出会ったのは、かつての戦場とは正反対の静寂が支配する世界——**オンラインTCG(トレーディングカードゲーム)**だった。
新たな戦場、静かな狂気
「クリック一つの速度で勝敗が決まる世界から、1ターンの考量に数分をかける世界へ、か」
暗い部屋の中、モニターに映し出されたデジタルカードの盤面を見つめながら、レイジは口元を緩めた。
FPSが「コンマ数秒の肉体言語」だとするなら、TCGは「脳を削り合う静かな心理戦」だ。
そこには銃声も、爆発音もない。あるのは、相手のデッキ枚数、手札の挙動、そして残されたライフレベル。
そして何より、このオンラインTCGの最高峰ランク「ラグナロク」には、世界中の頭脳派、天才数学者、そして元プロゲーマーたちが夜な夜な集い、泥沼の盤面(ボード)で殺し合っていた。
最初の壁
「いくらFPSの英雄でも、カードゲームじゃただの初心者だな」
チャット欄に躍る挑発。レイジのランクマッチデビューは、決して甘いものではなかった。
FPSで培った直感だけに頼ったプレイは、熟練のプレイヤーが仕掛けた緻密な罠にハマり、何度も盤面をひっくり返された。
「……面白い」
敗北の画面を見つめながら、レイジの血が沸き立った。
彼の強さは、単なる反射神経ではない。
**「相手の思考の先を読み、最短ルートで最適解を叩き込む圧倒的な学習能力」**こそが、彼の本当の武器だったのだ。
「神の目」の覚醒
レイジは眠りを捨てた。
何千というカードのシナジーを暗記し、環境トップのデッキパターンをすべて脳内に叩き込んだ。相手が手札のどの位置からカードを出したか、カーソルがどのカードの上で何秒止まったか。
FPSで敵の足音を聞き分けたあの集中力が、今度はデジタルカードの細かな挙動へと向けられる。
数週間後。
Rank: RAGNAROK のトップランカーたちの間で、ある噂が駆け巡り始めた。
「手札を完璧に読まれる」
「こちらのブラフが一切通用しない」
「まるで、こちらの画面を見ながらプレイされているようだ」
漆黒のアイコンを掲げた新星は、圧倒的な勝率でランキングを駆け上がっていた。
頂点へのカウントダウン
画面の前で、レイジは冷たいコーヒーを一口あおる。
「銃の代わりに、カードを持っただけだ」
かつてFPSで栄光を掴んだ男は、今、カードが交錯する過酷な戦場で、再び「頂点」の首を狩るために静かに指先を動かした。
『Your Turn(あなたのターンです)』
静寂の戦場で、彼の第二の伝説が幕を開ける。
コメント
11件
うわあああ第3話まで読んだよー!!😭💕🔥 FPSの神がTCGの世界に降り立った瞬間、胸熱すぎん??「銃の代わりにカードを持っただけ」ってセリフ、エモすぎて叫んだわ…!完全に異なるジャンルなのに、同じ戦術脳が通じるのがレイジの本領発揮って感じで、もう次のターンが待ちきれないよ〜!✨ 神の目、第二の伝説スタートだね…!応援してるからねレイジ!🔥🔥