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歌大好き!
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#異世界
あのち
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「 静か 」
────────────────────
葛西 「……終わったよ」
「……」
…空気、悪かったな。
久しぶりに学校に来た っていう感じがした。
余村 「ありがとう、葛西くん」
葛西 「…うん」
風間 「…なあ、一言いいか。」
余村 「どうしたの?」
風間が少し黙る
風間 「…委員長、怒りすぎ」
余村 「……」
空気が止まる
風間 「俺ももちろん、言ってることは理解したけどさ」
風間が頭を搔く
風間 「嶺二、帰ってきたばっかだろ。」
余村 「……」
風間 「なのになんでそんな責めてるんだよ」
余村 「責めてない」
風間 「責めてたろ」
天城 「…ちょ、やめなって。」
「……」
なんでこれ、喧嘩してるんだ。
俺のせい。か?
風間 「嶺二が、せっかく戻って来たんだぞ」
余村 「…だから、言ったんだ」
風間 「…は?」
余村が静かに言う
余村 「……また、仲間が一人消えたら、って考えたら、凄く…怖かったんだ。」
風間が黙り込む
余村 「何も聞かない方がやさしいって思わない?」
余村 「痛いって言えない人に、”待つだけ”って時々残酷だから。」
空気が重い
余村 「…風間くんはもちろん優しいし、僕ももちろん分かってたよ。責めすぎたらダメだって。
だけど僕は、あの嶺二くんをそのまま、」
余村が俺の事を見る
余村 「帰したくなかった。」
静か
風間が少し俯く
風間 「………悪い。」
余村が少し笑う
余村 「ううん、これはきっとどっちも正解だよ。」
「……」
…喧嘩しても、仲良くなった…?
アイツ(風間)、怒って出て行くかと思ったのに。
……
正直、殴り合いで済むと思ってた。
皆が皆、アイツらを信用してる。
風間も余村も、喧嘩してたのに、天城くらいか。
止めたのは。
少し止めたあと、なんでまた黙ったんだ…? 止めた方がよかっただろ、…多分。
「……」
さっきまで悪い空気だったのに、風間と余村は平然と話してる。
風間 「まあ、余村が思う事も分かる」
余村 「僕も風間くんが思う事分かるよ」
風間 「やっぱ俺ら、友達だな!」
「……」
終わりか。……これで?
何だそれ、
喧嘩って、殴り合いじゃねえのか?
殴って、勝ち負けを決めるのが喧嘩って言うんだろ?
まず、なんで平然と 友達 なんて、話してんだ?
……
なんで、
なんでなんだ…?
俺なら…
「……」
…俺なら、何か言われたらもう、
戻らない。
「…そんな、言い合いしても、…嫌いに……なんねえのか?」
余村が黙る
天城が小さく言う
天城 「…別にさ」
皆が見る
天城 「喧嘩したから嫌いになる訳じゃないしね。」
止まる
白宮 「”普通”ですよ」
葛西 「意見間違うことくらい、…人間誰しもあるよ。」
風間 「だよな」
「……」
また出た。
“ 普通 “
……
俺が思う普通と、全然違う。
「……そんな普通って言われても……分かんねえって…」
無意識にまた出てしまった。
……
でも小さい声だから、大丈夫…だよな。
余村 「……そっか」
「…は、お前聞こえてたんか。」
余村 「うん、聞こえてたよ。」
…けど、否定されない…?
余村 「懐かしいな、そう思うのは。」
余村が笑う
「何笑ってんだよ!」
余村 「僕も、そう思う時期があったからさ。」
「…!」
「お前は、なんで話すんだ、?」
余村 「…喧嘩って言うのは2種類あるでしょ。言葉で喧嘩するのと殴り合うこと。」
「…ああ」
余村 「僕、一時期は殴り合いで終わりって思ってた。だけどね、ある人が教えてくれたんだ。」
余村 「 殴り合いの喧嘩は上手くいかない時があるから、言葉で話し合え。 ってね。」
「……」
空気が止まる
余村 「その時は意味わかんなかったな。」
風間 「意外」
余村が笑う
余村 「だってさ、話して何になるの? って思うじゃん。言葉って時に強くなるけど弱い物だと思ってたから。」
「……」
余村 「でも違った。」
静かになる
余村 「言葉って、勝つ為じゃなくて 戻ってくる為 に使う時もある。」
止まる
「……戻る」
余村 「うん。喧嘩した後ってさ、相手を負かして終わりじゃなくて、『まだ一緒にいたい』って話す時もある。」
「……」
分かんねえ。
勝ったらそこで終わりだろ。
何言ってんだ。
余村 「だからさっき風間くんに言ったんだ。」
余村が少し笑う
余村 「どっちも正解だって。」
風間 「俺は途中腹立ったけどな」
余村 「うん、僕も」
風間 「おい」
少し空気が軽くなる
「……」
なんで。
なんで普通に話してるんだ。
さっき空気悪かったのに。
終わってないし、壊れてもない。
「……」
余村が俺を見る
余村 「嶺二くん」
「……」
余村 「喧嘩って、終わる為にするものじゃないよ。残る為にする時もある。」
止まる
「……」
喉が少し詰まる
戻る 残る。
そんな喧嘩、
知らない。
「………じゃあ、」
皆が俺の事を見る
「…俺が、嫌な事言っても」
喉が詰まる
言葉が上手く出てこない
「帰ってきて、…いいのか。」
静かになる
余村 「もし、嶺二くんが嫌な事を言ってきたら少し怒るよ。だけど、だからって ここに帰って来るな って言う訳には行かない。」
「……」
葛西 「……喧嘩って、…」
葛西が考えて言う
葛西 「相手を知る為に、喧嘩すると思う。」
「……」
葛西 「相手が何考えてるか分からなくて、分かりたいからぶつかる。ぶつかるって言うのは、 本音で言い合う って事だよ。」
葛西 「だから、」
葛西が少し笑う
葛西 「終わりたい人は喧嘩しない。」
止まる
「……」
葛西 「どうでもいい人に怒るのは、とっても疲れるから。」
風間 「……まあ、それは分かる」
白宮 「嫌なら黙って離れますしね」
天城 「言い合う方が面倒だし。」
「……」
……
じゃあ、
俺が嫌なこと言って 逃げて 戻ろうとしなかったのも、
終わりたかった訳じゃ、ないのか。
……
分かんねえ、……分かんねえ。
「……」
松本 「…嶺二さん」
「…」
松本 「嶺二さんは確かに、俺達のところに戻ってきてくれたじゃないですか。」
松本 「戻りたくなかったら、ここに…保健室に、来ないと思います。」
「……」
返せない
……
確かに。
帰ろうと思えば帰れた。
なのに、
何故か先生に折れて来てしまった。
先生の事を振り払って逃げても良かったのに。
なのに、
来てしまった。
……
なんで。心配されたから?
違う。
怒られたから?
違う、
…じゃあ、
……
「……」
【 怒るよ。でも帰って来るなとは言わない。 】
【 終わりたい人は喧嘩しない 】
【 戻りたくなかったら来ない 】
……
頭の中がうるさい
なのに。
前みたいなうるささじゃない。
「……」
小さく頬を触る
まだ少し痛い
……
痛い。
でも、少しだけ
嫌じゃない。
コメント
1件
うわあ、このエピソード、すごく良かったです……。嶺二くんの「殴り合いが喧嘩」っていう価値観が、周りの「言葉でぶつかっても戻れる」っていう関係性にじわじわと揺さぶられていく感じが、胸に刺さりました。特に葛西さんの「終わりたい人は喧嘩しない」って台詞、重いですね。嶺二くんが「帰ってきていいのか」って聞くシーン、声が出そうになりました。戻ることを選んだその一歩が、本当に尊い。