この作品はいかがでしたか?
18
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自分らしい生き方って知ってる?
まあ、僕には、関係ない。
僕は完璧じゃないといけない。
母は
「テストは480点以上じゃないとダメ。
誰にでも敬語を使え。
自分より他人を優先しろ。」
といつも言う。
僕は母につくってもらった
人生のレールを歩く。
そうすれば母にも怒られない。
母いわく必ず成功する。
僕の意見は誰も聞いてないのだ。
僕は将来、医者にならないといけない。
母が言うから。
ならないと怒られちゃうから。
今日も僕は僕を殺す。
あぁまた寝れなかった。
僕はほぼ毎日、朝4時まで勉強する。
でも最近は勉強が難しくて、
理解するのに時間がかかってしまう。
だから、気づいたら起きる時間なのだ。
「黄〜!」
母が呼んでいる。
リビングに行かなくてはいけないから、
急いで着替える。
「おはようございます。お母様。」
いつもの挨拶をする。
「おはよう黄。早くご飯を食べなさい」
そう言われ、いつものご飯を食べる。
「いただきます。」
食べるのは白米と薄いきゅうりの漬物。
本当は、お肉や魚を食べてみたい。
そんな小さな願いを密かに抱えている。
食べ終え、
「ご馳走様でした。美味しかったです、
お母様。ありがとうございました。」
またいつもの言葉を伝える。
母にお弁当をもらい、学校へ向かう。
これが僕の朝。
僕は学校で生徒会長をしている。
朝は早く学校に向かい、
生徒会の仕事をする。
パソコンで資料を作り、
仮の提案をいくつか考える。
あ、1限が始まる15分前だ。
教室へ向かう。
「おはよう!生徒会長ぉ〜!」
「笑おはようございますっ。」
笑顔で挨拶を返す。
「生徒会長っていっつも敬語だよな〜!
なんでなの?俺ら友達じゃぁーん?」
そう言いながら、僕のおでこを突く友達。
「ッ、母が誰にでも敬語を使いなさいと
いつも言っているので、、(微笑」
「偉いなちゃんと守ってて笑ナデナデ」
自分が返した回答が胸に刺さった。
母の命令を聞く、
これが僕の生き方。
授業を真面目に受け、
お昼休みになった。
生徒会室へ向かう。
そして誰もいない生徒会室で
今日必要な書類を完成させる。
完成した書類を担当の先生に
渡しに行く。
「先生!この書類確認お願いします。」
「お〜!黄!仕事が早いなー。ありがとな、で、悪いんだけど今日の放課後までにこれもやってくれないか?」
え、今日は見回りがあるから、
むりですよできないですよ。
って言おうとした。
でも、母が
“自分より他人を優先”
って言ってたから、僕は
「わかりました!任せてくださいッ!」
と答える。
これでいいんだ。
これまた、急いで生徒会室へ向かい、
急いで、でも丁寧に資料を作る。
作り終えたのと同時に
昼休み終了のチャイムが鳴った。
あ、見回りできてない、、
僕は完璧じゃないといけないのに、
しっぱいをしてしまった。
僕はさいていだ。
罪悪感に溺れたまま、
午後の授業も受けた。
帰る時間だ、
資料を先生に届け、帰りの見回りをする。
見回りが終わり、家へ向かう。
僕の帰り道は大反省会だ。
今日は見回りができなかった。
これは僕の仕事が遅いからだろう。
次は、もっと早く丁寧に仕事を行おう。
あの授業では、挙手が少なかったな。
これは意欲が足りないからだろう。
もっと気を引き締めて頑張ろう。
あ、そういえばお弁当食べれてないな。
食べてなかったら、母に
怒られちゃう。。。
そう思っていると、草むらに、
痩せた猫がいた。
野良猫だろうか。
ちょうどよかった、
そう思い、猫にお弁当の中身をあげる。
これで一石二鳥だ。
「美味しく食べてくださいね。」
そう言葉をかけ、見守った。
食べ終えた猫に別れを告げ、
家に向かった。
今日は違和感があった。
体が重い。目の前がふわふわしている。
ちょっと手足が痺れている。
なんか、しんどい、ような、、、
あれ、目の前、真っ白、、?
見えな、い。
むりだ、ッ、
バタッ
あれ、僕倒れた?
起き上がれない。
人様に迷惑をかけてしまう。
起き上がらないと、
あれ、なんでだ、
足に力が入らない。
やばッ、
そこから先は覚えてない。
目が覚めたら、
知らない人が周りにいて、
知らない家に寝ていた。
「誰ッ?どこッ、?」
あ、敬語を使うの忘れちゃった、
怒られちゃう、、。
そう思うと、自然と過呼吸になった。
「うぇ、?!大丈夫、?
え、どうしよ、青ちゃんッ、!!!」
「どしたの赤くん、?
ってうぇぇ、?
ちょ、大丈夫、?じゃないよな、
吸って?吐いて、吸って吐いて、
そうそう上手だよナデナデニコッ」
優しい言葉に安心して、落ち着いた。
「えっと、、あ、俺赤ですッ!こっちが青ちゃん!、君は?」
急に聞かれ、びっくりしたが、
「えと、黄、です。」
と答えた。
「黄、、よし、黄ちゃんって呼ぶね!」
ほぉ、これがコミュ力というものか。
驚愕した。
「黄ちゃんが道路で倒れてたから、
とりあえず家に運んだって感じ。
で、なんで倒れてたの?
言える範囲でいいから、
教えてくれる?」
会ったばっかりの人に言うなんて、
そう思ったが、
この人たちは、母や友達よりも
受け止めてくれそうな優しさがあった。
この人たちなら、
信じてもいいのかもしれない。
仮に裏切られたとしても、
別に慣れてるからいいか。
そう思い、言うことにした。
「僕、母がいつも、
テストは480点以上じゃないとダメ。
誰にでも敬語を使え。
自分より他人を優先しろ。
って言っているので、
守ってるんです。
寝る時間とかご飯の時間とかも惜しんで
僕は勉強したり、書類作ったり、
頑張ってるんです。
でも、そんな努力、ほんとは
無駄だったのかもしれませんね。
僕は何もできない。
ただの出来損ないですよ(微笑」
オブラートに包んで伝えた。
笑われるって思ったから
僕も微笑した。
でも、笑い声なんて一切なかった。
赤さんと青さんの暖かい目からは
涙が溢れていた。
僕のことを見つめ、
「ッッお疲れ様、!よく頑張ったね、
黄ちゃんッッ!
生きててくれてありがとう!ポロポロッ」
涙が溢れた。悲しくないのに。
あぁ、これが、嬉し涙なのかな、
初めてだな。なんて思っていると、
2人に抱きしめられた。
あぁ、これも初めてだ。
この人たちは、僕が知らないことを
教えてくれる。
暖かいぬくもりに包まれた。
しばらくすると、
ガチャッ
という音が聞こえた。
へ、誰だろ、怖い。
甘えるなって、
怒られちゃうかも、
ガチャッ
部屋が開いて、3人が入ってきた。
「うぉっ?!ちょー可愛い子じゃん。
この子?赤が言ってた子って、」
「そうだよ桃ちゃんッ!
やっぱ可愛いよねナデナデニコ」
「あ、自己紹介するね。
俺は紫。このピンク髪は桃くん。
で、こっちが橙くん。
みんな一応いい人だから、
安心してね笑」
「一応ってひどない?笑」
「それな!ちゃんといい人だわ!笑」
まだ名前を把握しきれてないけど、
これだけはわかる、
すごく、暖かい空間であること。
ずっここのままがいいな。
そう思っていると、
桃さんに
「ここに住みたくなった?笑」
と聞かれた。
僕は反射的に、頷いてしまった。
本当にそう思っているからかもしれない。
でも、迷惑だ。
誰も僕の意見は聞いてないのだから、
そう思い、
「あ、いや今のは嘘ですっ!」
そう言おうとすると、
桃さんは
「まぢ?!よっしゃぁぁあっ!!!」
とガッツポーズをしていた。
あれ、もしかして
僕ここにいてもいいのかな。
「よしっ!一緒に暮らそう!
みんなで幸せになろう!」
紫さんの明るい声が心に響き、
幸せな生活が始まった。
それはもう、5年前のこと。
今は、紫、赤、桃、青、橙の
5人に支えてもらって、
自分の好きなことに挑戦できている。
僕は、
“音楽”の楽しさ、面白さを知った。
僕がお店でピアノやギターなどを
試し弾きしたときに、
才能を感じた紫ーくんが、
その場で
ピアノもギターも買ってくれた。
びっくりしたけど、
僕の存在を
肯定してくれている事を知り、
すごく、嬉しかった。
今ではほとんどの楽器を
うまく弾けるようになった。
そして、
母がこう言っていたから….
なんて考えは捨てた。
今は、自分の考えを伝えることが
できるようになってきた。
それを新しい家族の5人は、
「成長したね」と涙を流しながら、
僕を認めてくれた。
昔は、母に言われていたから、
医者になることが夢だった。
でも変わった。
今の僕の夢は、音楽関係の仕事に就き、
紫、赤、桃、青、橙の5人に
恩返しをすること。
僕は、居場所を見つけた。
それも、最高の居場所を。
母の操り人形だった僕だけど、
物語でいう、”運命の赤い糸”が
本当にあって、それのおかげで、
俺は、
運命の仲間と出会えたのかもしれない。
人生はわからない。
いつ、操られるかも、
いつ、運命の赤い糸が現れるかも、
いつ、認められる日が来るかも、
わからないのだ。
だからこそ、人生は素晴らしい。
あなたも、人生はつまらないなんて、
思わないで。
きっときっと、素敵で最高の未来が
君を待ち望んでいるよ。
ほら、
前を向いて進め。
君らしい生き方で、
進んでゆけ___。
コメント
2件
ありがとぢゃん‼️
はじめまして !! !! 感動しました ... 、 フォロー & ブグマ 失礼します 。