私と榎煉が正式にカップル…になってから数か月が経過した。
「うぅ…わからない。」
そんな私たちは今,図書館にいる。数週間後にテストが迫っているのだ。
「いや,だからここはそうするんじゃなくて。」
この男,本当に不良なのかと思うほど頭がいい。学校に行かなくても良いぐらいの頭があるのだ。
「芽依,さすがに赤点は取ってないよな?」
「うっ。」
「取ってるのかよ。」
はい,取ってますとも。特に英語なんかは毎回赤点です★
「数学と英語ぼろぼろじゃねぇか。」
「こんなの日本人がすることじゃないよぉ。」
「国語と理科できるんだからそれもできるだろ。」
榎煉と一緒に苦手教科のドリルを解く。そして数分後。
「じゃ,これ解け。」
榎煉が眼鏡をかけだした。これは本気モードになった証。
「…ぐはっ」
「これはまだ中3の初めの問題だぞ?」
見事にほとんど間違えていたが一応,式の計算だけは数問あっていた。
こんな難しいものをいとも簡単に解いてしまう榎煉は人間ではないのではと思ってしまう。
「じゃ,これの公式はわかるか?」
「え,え…分からない。」
榎煉は少しため息をついた後,数学には欠かせない公式をいくつか教えてくれた。
「というか,授業ちゃんと受けてんなら知ってるだろ。」
「その日は覚えてるんだけどね…。」
「じゃ,やるぞ。」
図書館が閉館するまで,私と榎煉の勉強会は終わらなかった。
~数週間後~
テストが無事終わった日から数日後のことだ。
「黒川。」
私のテストの結果を見るため,榎煉は久々に学校に来ていた。
ほかの生徒の歓声と悲鳴が聞こえてくる。
「鈴木。」
そして,テストの結果が返された。今すぐ榎煉に見せに行きたいけど,学校では私と榎煉は他人の設定。嫌なことに巻き込みたくないらしい。
「芽依ちゃん,どうだった?」
「前回よりは格段に上がったよ。」
そう,私は全教科ぎりぎりで赤点を回避したのだった。
「黒川~,テスト見せてよ。」
クラスの榎煉にあこがれた馬鹿な男どもが榎煉に群がっていた。
「別にいいけど。」
テスト結果を男たちが見る。あれは絶対,驚いて声が出てないんだと思う。
「嘘だろ。」
「佐藤さんと同じなんじゃないか?」
クラス,いや,学年で一番頭がいい佐藤さんと同じって満点ってことになるんだけどまさかそんなことないよね。
「黒川,国語以外ほぼ100だぞ。」
先生が告げ口をしたとき,ほかの生徒も榎煉に群がった。さすが
私の彼氏だ。…国語以外って言った?
「どうせカンニングしたんでしょ。」
そんな声が横から聞こえてくる。カンニングできるわけないじゃん。テストの日は別室で受けてたからね。
赤点回避は榎煉のおかげ。本当に感謝しかないよ。