日向翔陽は夏の暑さの中、汗を流しながらもボールを追いかけていた。その隣で、影山飛雄は冷静に彼の動きを観察し、完璧なトスを上げる準備をしている。二人は夏季トーニャメントに向けて、狭山高校バレーボール部の他のメンバーと共に特訓を積んでいた。
練習が終わり、他のメンバーが帰る中、日向は影山に声をかけた。
「飛雄!もう少し、二人でトスとスパイクの練習しようぜ!」
影山は一瞬ためらう表情を見せたが、すぐに頷いた。日向の情熱的な瞳と、何事にも全力を尽くす姿勢に影山はいつも心を打たれていた。
夕暮れが近づく中、二人は体育館で一対一の練習を続けた。汗と熱気が充満する中、日向のスパイクは次第に鋭さを増していった。影山のトスも日向の動きに合わせて緻密に、しかし力強くなっていく。二人の呼吸が完全に一致しているかのようだった。
練習の最中、日向が軽快に話を始めた。
「ねえ飛雄、お前と同じコートに立ててるって本当に嬉しいんだ。お前のトスがあるから、俺のスパイクが生きるんだよな。」
影山は少し照れくさそうにしながらも、内心では嬉しさを感じていた。影山自身も、日向の不屈の努力に多大な刺激を受けていた。
「俺もだ。日向のようなスパイカーがいるから、セッターとしての俺も成長できる。一緒にもっと上を目指そう。」
その言葉に日向はにっこりと笑い、もっともっととエネルギーに満ちた声で答えた。
「ああ!絶対、全国制覇するぞ!」
トレーニングが終わり、夕日がスタンドの隙間から差し込む中、二人は体育館を後にした。汗にまみれた制服と、疲れた表情を浮かべつつも、二人の目には明日への希望が宿っていた。
行く途中、日向がふと立ち止まり、影山を見つめて言った。
「飛雄、今日はありがとうな。おかげで楽しい練習ができた。」
影山はそれに対し、少し照れながらも誠実に言葉を返した。
「こちらこそ、ありがとう。一緒に練習できて、俺も楽しかった。」
それから二人は笑顔で別れを告げ、日が沈む中、それぞれの家へと帰路についた。その日の練習で得た経験と、相手への信頼感は、二人の成長の糧となり、これからの試合でのさらなる活躍を約束していた。未来へのスパイクは、二人が築き上げた信頼と友情の上に、確かに存在している。
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