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魔法使いになるまで

1 - 第1話 不思議な街 『ソーサレス』

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2025年03月04日

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「どこ…ここ!?」

オレは七瀬紗智那。

19歳。そう ぴっちぴちの大学生だ。

そんな浮かれきっていたオレは

見たことのない場所にいる。

なぜかって?

きっと原因は…。


30秒ほど前のこと。

気分が下がっていた深夜。

なんとなく酒を買いにコンビニまで来た。

入口付近でなにかキラリと輝いたのがみえたオレは 宝石かな~ なんて浮かれたことを思いながら拾った。

次の瞬間…。


オレはこの変な街にいた。

「え…何が起こった?」

完全に頭が混乱している。

こんな街見たことない。

それにこんな洋風な街が日本にあるのか?

オレは言葉を失っていた。

周りを見渡してみると街を歩く人はロングコートに近いものを羽織っている。なんだあの不思議な服…。どこかで見たことがある気がする…?

びゅ~~んと冷たい風がひと吹き。

ぶるぶると肩が震え、白い息を吐く。

てか夏にしては…

「寒すぎだろ…ッ!!」

意味もなく天気に文句を言っていると

「あの…」

後ろから声をかけられた。

くるりと振り返るとそこには白髪の背の小さな男の子がいた。オレは驚愕のあまり言葉がでなかった。

「大丈夫ですか…?」

オレは言葉を詰まらせた。

少しの沈黙の後、

「…ぅぇ、」

やっとの思いで声が出たかと思ったらなんとも情けなく細い声だった。

彼はどうしたのかといわんばかりの顔でこちらを見ている。

「どうかしましたか…?」と顔を覗き込み心配してくれたのできいてみた。

「ぇ~と、コスプレ…すか?」

彼の表情を伺ってみるもなんとも言えない顔をしている。

「…こす、ぷれ? 」

我慢できなくなった オレはソレを聞いた。

「その耳だよッ!」

びしッと彼の頭部に付いている猫耳を指さした。

彼は目線をオレの指先からその先へ送った。するとようやく ネコ耳のことか…!と表情を変えた。モフッと自分の猫耳を触ってみせ

「…これですか? 」 とオレにきいた。

「それだよ!すげぇリアルなんだなッ!」

うんうん と頷きながら改めて本物みたいだと思っていたら黙っていた彼が「付いてますよ…?」とこちらの様子を伺うようにみていた。

「だよな~」と食い気味に返事をした。

沈黙の時間が流れる。

「ぇ、はッ!?」 「ついてんの?!!!」

とオーバーすぎるほどのリアクションで驚いた。猫耳がついてる…?人に…?

「生まれつきというか…」と立て続けに驚愕な返事をされた俺の頭は ? で埋まっていた。

驚いていたオレを不思議に思ったのか

「貴方は街の方では無いのです か?」

と彼はきいた。

「全然?」と手を顔の前で違うとジェスチャーした。続けて

「オレ和歌山生まれだわ!」

「こんな街日本にあったんだな…」

びっくりだわ~と感動して見せる。

すると彼は困惑したように眉を下げた。

「何を言ってるのですか?」

は?何ってどれのことだ…?

彼は顔を傾げオレにきいた。

「ワカヤマとは街の名前ですか?」

「ニホンとはなんですか?」

オレは固まってしまった。

…は、?和歌山ならともかく 日本知らねぇの?

急にこれは現実なんだと不安が襲ってきた。

「…ここって、どこ?」

小さな声で呟いた。彼にだけ届くような声。

「『ソーサレス』という街です。」


彼はふわりと笑いオレに一歩近づいた。

聞いたことない…、 と呟いてみる。

「僕も貴方の住んでる街存じ上げてなかったです。」と頬を緩めていた。

オレが落ち着くまで彼は静かに待っていてくれた。その間はコートを羽織ってくれたりマフラーを巻いてくれたりとオレのために、と行動してくれていた。


しばらくすると彼は

「もしかして貴方は…」と呟いた。

なにかわかったか…? と期待の目を向けてみるが彼は言葉を詰まらせ首を振った。


オレは

「家に帰りたい」

「どうやって帰ろうかな」と続けて発する。

彼は少し考えた素振りをみせ

「僕達の家に泊まりますか?」

ときいてくれた。

「えいいの…!?」と目を輝かせ距離を詰める。

笑顔で きっと歓迎してくれますよ と歩き出した。

「ついてきてください」と一言。

オレは全力で感謝をつたえた。

「まじでありがとうッ…!!」

ちょっとした人助けですよ と軽く言ってみせた彼にオレはヒーローみたいだと思った。








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