「お客さん,ごめんなさいね。つい。」
私はページをさらに,さらにめくった。
やっぱり,加害者どもは忘れる。自分が何を言って,何をしたのか。あの日から5年近く経っても私は今でも忘れられない。
「けどね,世の中にはもっとつらいことがあった人だっているんだよ。自分のあれは,まだ,辛いことじゃない。」
あれから数年,私にはかけがえのない友達ができた。私と同じような過去を持つ友達が。みんな同じだからこそ言えることがある。それを実感した。一人は幼稚園の時に体型を馬鹿にされた,素直で優しい友達。一人はまた同じく幼稚園の時や幼いころに巨人と言われた高身長でかっこいい,優しく,頭のいい友達。二人には,何でも話せる。また同じくして私が二人の話を聞くことだってあった。私たちは3人で1つのようなものだった。学校も一緒に行って。クラスが違えど一緒にいた。それなのに。
彼女は私たちを置いて,星になってしまった。
「…。…続き,聞きたい?」
お客さんは首を横に振った。
「そう。…けど,安心して。このお話の主人公は強く生きているから。特別なものは急に消えてしまうかもしれないけれど,それがあったからこそ特別なものがまたできるのよ。」
お客さんと私二人だけの書物庫はより一層広く,そして大きく見えた。画面の向こうにいるお客さん,あなたにとって特別な何かはある?…ふふ。
「次で最後のお話よ。」
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