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一ノ瀬。です。今回ちょっと長いです。あと当たり前のように司くん可哀想です。今回は寧々ちゃんもちょっと可哀想です。それでもいい人はどうぞ。




<ワンダーランドのセカイ>


「……あまりゆっくりはしていけないね、早く探さないと。」


僕は走ってショーテントへと向かった。


向かっている途中にみえる遊園地のアトラクションにはいつもはみえない傷がついていた。

きっと今の司くんは痛がっていたり、不安になっていたり、えむくんを守れなかった罪悪感で溢れていたりしているのだろう。


……君のせいじゃないのに。ごめん。



そう思いながら走っていると、ショーテントに着いていた。僕は急いで中に入った。


「あれ、類くんじゃないか。どうしたんだい?」

よかった、すぐ見つかった。


KAITOさん達は次のショーの練習をしているようだった。

少しほっとしていると、そばにいたミクくんが不安そうに話しかけてきた。


「類くん達最近来ないから、どうしちゃったんだろ〜って心配してたんだよっ?今もどこか焦っている感じがするよ〜…何かあったの?最近セカイもちょっと暗くなっちゃったし……」


KAITOさんも話してきた。


「類くん、もしかして司くん達の身に何かあったのかい?セカイが今傷ついて暗いから、司くんに何かあったんじゃないかと思ってね。」


ショーへの脅迫状のことなどは不穏なためあまり言いたくなかったが、今後のえむくんや司くんのことを話すにはこの情報も必要だとして、今までのことを全てありのまま話すことにした。


一通り話せば、今まで見て見ぬふりをしてきた精神的疲れが溢れてきたのか、それとも今までの僕の無力さに悔しくなったのか、僕の目から涙が流れていた。


でも、KAITOさんとミクくんはそんな僕をみて、「頑張ったね」と声をかけてくれた。すると涙は止まらなかった。


「…っ誰も、悪くないのに……なんで、僕らがこんな目…に遭わなきゃ……いけないんだっ…もう、司くんもっえむくんも……助けれなかったんだ……っごめ……んなさいっ」


「大丈夫だよ、君は今頑張ってる、助けれなかった?いや、君は十分なくらいピンチを助けてるよ。謝らなきゃいけないのは僕達の方だ。異常な事態に気づくことができなくてごめんね。つらかったね。……全てはやった奴らが悪いんだから。みんなは何も悪くないよ。大丈夫大丈夫」


KAITOさんはそういって僕の頭を撫でてくれる。そんな優しさにずっと甘えていたかった。でも……


向こうでは、寧々たちが戦っている。いつ襲われるかという恐怖に。僕だけが苦しいわけじゃない。僕だけがこんなに甘えていてはいけない。僕も戦わなければ……


「……取り乱してしまったね。でも、今も向こうで戦っている仲間がいるので、ずっと僕だけが甘えていてはいけない。話を聞いて、アドバイスをもらえないだろうか。KAITOさん、ミクくん。」


「類くん、自分よりも苦しんでいる人がいるなんて、思ってはいけないよ。みんなも疲れているだろうけど、自分の限界にも気づいてあげてね。いつでも僕達に頼っておいで。僕達にできるアドバイスならしてあげるよ。」


「うんうん!ミクも類くん達の役に立ちたい!いっぱいいってね!」


「KAITOさん、ミクくん……ありがとう。それでは、司くんの話なんだけど……」










<病室>

類がいってしばらく経った。寧々は少し眠そうにしている。そりゃそうだ、さっきあんなことがあったもんな。落ち着いていられなかっただろう。


「寧々、疲れているだろう。少しは休んだらどうだ?ほら、オレがついてるから。」


「…そんなことしてられるわけないでしょ。この間に狙われたらどうすんの。司、体痺れて動けないんじゃないの?傷も痛いくせに。」


「痺れているといわれたら痺れているが、こんなのどうってことない!!痛みなんて我慢できるしなっ」


「はぁ…病人にいわれても説得力ないんだけど……?……さっき、ほんとに死んじゃうかと思ったんだから…類がいない今、私がみてなきゃ……私が…」


「寧々。」


「な、何急に。」


「オレはお前らに助けられた。今日だって、昨日だって。だから、その分の恩返しをさせてくれ。本当に今は体の痺れは感じないんだ。それに、そんなに責任を感じなくていい。寧々が悪いことをしてるわけじゃないんだ。助けれること自体がすごいことなんだぞ、本当なら死んでいる。お前らがいてくれたから、今オレは……」


「わかった、わかったからそんな長ったらしく話さないでくれる?はぁ、ちょっとだけね。その間司が無理したら許さないから。私を頼ってよね。」


「あぁ、しっかり休め!」


やっと終わった会話にほっとため息をつくと、寧々は椅子に座った状態から倒れて司のベッドを枕代わりにし目を瞑った。







すーすーと静かな寝息が聞こえてくる。どうやら安心して眠っているようだ。素直じゃないやつめ。でも、今は最も警戒しなければならない。類もいないし、寧々も寝ている。そして、痺れのちょっとと、腹の痛みしか感じないが負傷したオレもいる。でも、さっきのことがあって呼吸器は外している。さっき強力な解毒薬を必死にお願いして使ってもらったからな。まぁそれでも緊張感は研ぎ澄ましておかないと。



オレは先程よりかは動ける体を動かし、寧々を抱えあげ、扉から遠い方のもう1人用のベッドに寝かせた。その動作だけでも息が上がってしまった。これはショーどころじゃないなと苦笑していると、トントンとノックの音が聞こえてきた。



───誰だ?



嫌な程に心臓がバクバクと音をたてている。怖い。あんなに寧々の前で強がっていたわりにこんなにも臆病な自分に腹がたった。看護師さんかもしれないだろ…?ただ、ドアを開けるだけ…それだけなのに、妙に嫌な予感がするのだ。寧々はノックの音では起きないくらいに熟睡している。起こしてしまうのは申し訳なかった。



『そういうときの嫌な予感ってよく当たるらしいよ。』



いつしか類が言っていたのを思い出した。

トントン、トントン

ノックの音は続いている。オレは怖くなって類にメールをした。いずれこの行動が自分達を救うとは考えず、ただ恐怖から逃れたくて、類をみて安心したくて、ただそれだけで呼んだ。きっと類はすぐメールをみてくれるだろう。


『るい、たすけて』


焦って打ったから全部平仮名になってしまった。でも、送れた安心感から、少し恐怖感は薄れていった。



トントン

さっきよりなんとなくノックの音が激しくなった気がした。


オレは寧々を布団の中に隠したあと、何事もなかったかのようにベッドに戻ると、心を落ち着かせて


「……どうぞ」


といった。


ガララとドアが開く。そこにいたのは…




「ヒュッ……っ!?」




オレにナイフを刺したであろうあの男だった。喉から嫌な音がなる。



そんなことお構い無しに男はオレにずかずか寄ってくる。



「せっかく俺が殺してあげようとしたのに、なぜお前は、今のうのうと生きてやがる。せめて、あの女のように植物状態にでもなればよかったんだよ。」


オレの体は恐怖で動かなくなっていた。目を見開いてカタカタと震えているのが自分でも分かる。


「ははっいいねその表情。俺、お前の顔だけは気に入ってんだ。」


そういって男はオレの顎を上げて顔を舐め回すように見ていた。オレは動けなかった。恐怖で身が竦むとはこういうことなのだろう。


「でもな、俺はお前の態度が気に入らなかったんだ。あの、偉そうな態度がなぁ!?」


「うぐっ…!?」


その瞬間オレの左頬に激痛が走った。殴られたのだ。左頬からは血が流れてくる。普通頬から血は殴られるだけで出てくることはないはずだと思っていたが、それ程強い力だったのだろう。オレはその勢いのまま、ベッドから落ちてしまった。腹の傷が少し開いてしまい、そこからも激痛が走った。


「はぁ゛ぅう……」


あまりの痛みに蹲った。


「大体お前の態度のせいで仲間が傷つけられてんだぜ!?ははっ最低だなぁ!仲間が傷つけられて苦しむ姿もっとみたかったぜ!だがな、もう我慢できねぇっ!!」


その腹にさらに激痛が走った。先程とは比べ物にならないくらいの痛みだ。そりゃそうだ、傷口に思い切り蹴られたのだ。


「ッ…!?う゛ぅぅああ゛……ッ」


叫ばずにはいられなかった。だが、この病室は防音効果がある。外には聞こえないだろう。ただ、寧々を起こすには十分すぎた。



「…!?司!?どうしたの!?」


隣のベッドから寧々の焦った声が聞こえる。

ベッドからこちらの様子をみたのだろう。


「司ッ!?大丈夫!?しっかりしてっ」

その言葉だけで寧々が近づいこうとしているのがわかる。


だめだ、来るな。来たら……寧々まで


「おっ?そこに仲間がいたのか…ちょうどいい、お前の前でやってやろうか?」


「!?誰よ、アンタ!!司に何してんの!?」


ニヤニヤしながら男が寧々の方をみる。寧々は怯えながらもオレの前に走ってきて、オレを庇うように手を広げた。



「……ね…ね……だめ…だ」


「……大丈夫、今回は、私が守らせて。」


あぁ、寧々は本当に強くなった。


「ほぉ?度胸あんじゃん」


ベチッ


「……っ!?」


「…っ寧々!!」


男が寧々を殴った。だが、音的に少しは手加減しているらしい、オレのときよりかは弱かった。でも、殴られたのには変わりない。寧々がフラッとよろける。オレは痛みを堪えて咄嗟に寧々を支えた。



「司…!無理しないで、ここは私がっ」


涙目にこちらをみてくる。やっぱり寧々も怖いんだ。左頬が痛々しく腫れている。


「そんなに目的を口に出されたらこっちを先にやりたくなっちゃうよ?嬢ちゃん。正直死ぬのはお前らの中の誰でもいいからなぁ!」


そういって、男は素早く後ろに回ると、オレに何かを当てた。そのとき、オレの体中に電気が走ったように激痛が走った。いや、本当に電気が走った。



「ッ!?があ゛あ゛ぁぁああああッッ」



───スタンガンだったのだ。


オレは力を失って倒れ込んだ。体は痺れて、もう動けそうにない。そんなオレを掴みあげると、男はオレを投げ飛ばした。


「ッぐ、ぁあ…」


傷も開き、体は痺れていたオレには、投げ飛ばされるだけで激痛が走ってもう1ミリも動くことができなかった。オレの周りには、傷の開いた腹からできた血溜まりが広がっていた。


「ッ司ぁっ!!」


寧々はオレの元に寄ろうとするが、男はそれを許さなかった。寧々の首を締め上げるとニヤリと笑った。



「素直に従っておけば、よかったものを…」



「く……るし……はぁっ」


寧々の目からは涙が流れていた。もう、ダメだな。二人ともが確信したときだった。



男が背中から血を流して倒れた。



「俺の仲間達に手を出すな、腐った人間が。いや、人間でもないな。…死ね。」



今までで一番低い、威圧感の半端ない声で不吉な言葉を放って、男を鉄の棒で殴ったのは……



「……る…い」

類だった。

類の目に、光はともっていなかった。






男から解放された寧々は首を抑えて咳き込んでいた。そんな寧々の背中を類は優しく摩っていた。


『大丈夫か!?寧々』


そういおうとしても、言葉は出てこずに、ただ呻くだけだった。その呻く声を聞いた瞬間、寧々と類は焦った顔でオレの方を向いた。そして、急いで駆けつけてきた。


「司くんッ!?しっかりしてくれ!!」

「司ッ……ごめん…守るっていったのに…」


寧々は泣いている。あぁ、泣かせるつもりはなかったのに。


でも、体は痛いし、痺れているしで、声をまともに発することすらできなかった。


「取り敢えずナースコールを押して!寧々」


「う、うん、わかった…!」


そういうと寧々はナースコールを押しに立ち上がった。


「司くん、もう大丈夫だよ。君が、助けを求めてくれたから。でも、ちょっと時間がかかってしまった。本当にごめんね。もっと早く来れてれば、君がこんな目に遭うことはなかったのに……っ」


類は悔しそうに体を震わせている。そんなとき、看護師さんがついたのかドアが開いた。


「大丈夫ですか!?」


そういわれると、類は低い声で淡々とこう言った。


「大丈夫にみえますか?どうしてコイツを入れたんですか?俺、言いましたよね。誰も通すなって。見知らぬ男がお見舞いに来ましたっていったらみんな通すんですか?ここの人達は。もう、信用できたもんじゃありませんよ。」


きっと仲間を傷つけられて、本当に怒っているのだろう。先程のような類の声にオレは少し驚いていた。それと同時に安心感を覚えてしまい、オレは少しずつ目を閉じようとしていた。



「…い!つか……が!」

「な…!?つ…くん……っかり!!」


もう声は聞こえなかった。








類side



KAITOさん達にこれからの相談をしていたときだった。ブブーとスマホのバイブレーションが鳴る。急ぎではありそうだが、まだメールを打つ余裕はあると判断したのと、話を区切ってしまうな、と思いその話は最後まで話すことにしようとしたが、KAITOさんが険しい顔で僕の方をみた。


「類くん、ここは司くんを助けにいったほうがいい。なんとなく、嫌な予感がするんだ。」



そう言ってKAITOさんはテントの外を指さした。


「!?…なんて強い風だ…さっきまで吹いてなかったのに。……っもしかして!!」



僕は嫌な予感がしたから、メールを確認した。そこにかかれてあったのは……



『るい、たすけて』


僕は焦ってスマホを落としてしまった。そのスマホを拾ったKAITOさんも目を見開いていた。平仮名表記により、その状況がよくわかる。きっとかなりピンチなのだろう。



「……ッKAITOさんっ僕は……どうやって、助ければ…!」


「大丈夫、落ち着いて。今の君なら相手を殴っても正当防衛だよ。仲間を傷つけられて悔しくない人なんていないさ。やりたいならやってしまえばいい。ほら、ここの棒を貸してあげるよ。いつでも、僕達は君達の味方さ。」


「うんうんっ!ミクたちは〜類くん達が怖い目に遭ってるほうが嫌だと思うんだ〜!だから、ミクたちや、司くん達のためにも……思い切りやっちゃってよ!……絶対ぜーーったい、司くん達を守ってね!」


「ミクくん、KAITOさん……ありがとう。いってくるよ。仲間を助けにね。」



KAITOさんからもらった鉄の棒を借りて僕は「セカイはまだ始まってすらいない」の再生を止めた。



o,+:。☆.*・+。



現実世界で起こっていたことは、あまりにも酷いものだった。



司くんは血溜まりに倒れ、寧々は首を締めあげられていた。



───許せない。



あんな汚い男に、僕の仲間を傷つけられていると思うと、腹が立ってしょうがなかった。本当は軽く気を失わさせるだけの予定だったけど、僕は思い切り棒を振り上げ、死なない程度に背中を思い切り殴った。



「俺の仲間達に手を出すな、腐った人間が。いや、人間でもないな。…死ね。」


つい心の声が出てしまったけれど、今はそんなこと気にしていられない。


寧々が過呼吸を起こして咳込んでいる。


「寧々っ」


僕は寧々の背中を優しく摩った。寧々は少し泣いて、


「類、類…っ」

と呟いていた。あぁ、ごめん、もっと早く来れたらよかったのに……。そのときだった。


「ぁあう゛ぅ…」


後ろから呻き声が聞こえた。後ろを向くと、血溜まりの中に倒れる司くんが苦しそうにしているのがみえた。寧々は少し落ち着いていたため、慌てて司くんの方へ向かった。



「司くんッ!?しっかりしてくれ!!」

「司ッ……ごめん…守るっていったのに…」


寧々は隣で泣いている。どうやら司くんは動けないらしい。口を動かしているらしいが何一つ発せれていなかった。ちょっとこれはまずいかな…何があったかは後で寧々に聞こう。


「取り敢えずナースコールを押して!寧々」


「う、うん、わかった…!」


取り敢えずナースコールを押してもらう。その間僕は司くんを安心させるために優しく声をかけていた。


「司くん、もう大丈夫だよ。君が、助けを求めてくれたから。でも、ちょっと時間がかかってしまった。本当にごめんね。もっと早く来れてれば、君がこんな目に遭うことはなかったのに……っ」


声をかけている途中に、僕は余計に悔しくなって体を震わせた。そのとき、看護師が来たのか、ドアが開いた。


「大丈夫ですか!?」


───この司くんが大丈夫にみえるか?


ふいにそんなこと思ってしまった。そう思うとイラついて仕方なかった。もしかすると、すぐに助けれなかった僕自身にも怒っていたのかもしれない。でも、やっぱりこの男を病室に通した看護師に、怒りを覚えないわけにはいかなかった。第一、通すなと事前にいっておいたのに。


「大丈夫にみえますか?どうしてコイツを入れたんですか?俺、言いましたよね。誰も通すなって。見知らぬ男がお見舞いに来ましたっていったらみんな通すんですか?ここの人達は。もう、信用できたもんじゃありませんよ。」


思ったより低い声が出た。もちろん、一番悪いのはこの男なのだが、病室に通して、司くんと寧々に怖い目に遭わせたこの看護師も許せなかった。


「本当に、申し訳ありませんでした。お見舞いかと思い、通してしまいました…謝って許されることではないと思いますが……」


看護師はバツの悪そうな顔で俯き、すこし小さい声で謝罪していた。


そのときだった。



「えっ!?類、司が!!」


「なんだって!?司くん!しっかりしてくれ!!」


そういわれて、司くんの方を見ると、今まさに目を閉じようとしていた。


「司くんッ司くんッ!」


「落ち着いてください!ここは私がやりますから……。今回は、私を信用してください」


さっきの看護師が声を掛けてきた。今回は任せるしかないだろう。



「……司くんを絶対に救ってくれ。頼む。」


そういうと、看護師は医者や他の看護師を呼んで、せっせと治療や、病室の後処理の準備を始めていた。あの男は警察に連れていかれた。



寧々の方を見ると、声をあげて泣いていた。それ程に悔しいことがあったのだろう。僕は寧々の背中を擦りながら何があったのかを聞くことにした。


「寧々、落ち着いてゆっくりでいい、何があったんだい?」


「…グスッ…私……司に休めっていわれたの…それで、寝て起きたときの記憶からしかないけど……っグスッ」


そういうと、寧々は先程のことを話し始めた。


全て話し終えると、寧々は悔しそうに声を上げて泣いた。僕は寧々の顔を胸の中に沈めてあげ、頭を撫でた。


「そうか、それは悔しかったね。でも、僕は司くんを守ろうとするだけで、十分だったと思うよ。大丈夫、寧々はよくやったよ。……もし、司くんが、あのときメールを打ってくれてなかったら……………僕は…っ」



「類…類も、泣いてるの?」


「えっ?」


言われて自分の頬に手を当てたが涙が流れていた。


「……ふふ。類もちゃんと泣くんだね。前まで泣いた姿なんて1度もみせなかったのに。」


「よかったね、類。本気で守り合えるような仲間ができて。」


いつの間にか寧々は僕の目をみつめて、微笑んでいた。


しばらく沈黙が続いた。



ふと、寧々が口を開いた。


「ねぇ類。」


「どうしたんだい?寧々。」


「私、本気でアイツらのことぶっ飛ばしたい。」


「おっと…寧々の口からそんな言葉が出てくるなんて。でも奇遇だね、僕もだよ。」


そして、2人で顔を見合わせて頷いた。


「「絶対…やってやろう」」



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