テラーノベル
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(kuが落ちた後のlor視点 )
『……ku』
落ちた。
目の前で。
手を伸ばした。でも、届かなかった。
何事もなかったように床が閉じる。
『……っ』
喉の奥が熱い。
違う。怒ってるんじゃない。
“また”だ。
また、目の前で失った。
その瞬間。
「わは、いい顔」
lorはゆっくり振り返る。
grgnが笑っていた。
「そんな顔できるんだね、君」
『……かえ、せ』
声が低くなる。
grgnは目を細めた。
「えー、やだ」
空気が歪む。
「だってさぁ」
grgnが一歩近づく。
「君、“こっち側”でしょ?」
その瞬間。
lorの瞳が揺れた。
ほんの一瞬だけ。
grgnはそれを見逃さなかった。
「あ、図星?」
『……ちが、う』
「でも人間じゃない」
沈黙。
grgnは笑みを深くした。
「ねぇlor」
名前を呼ばれた瞬間、lorの肩が僅かに震える。
「君さぁ――」
ギザ歯が覗く。
「なんでまだ“人間側”にいるの?」
その時だった。
――カチ。
背後で、小さな音がした。
grgnが振り返る。
「……あ」
嬉しそうな声。
廊下の奥から聞こえた。
grgnがそちらを見る。
誰かが、壁にもたれかかっていた。
片手をポケットに入れたまま、こちらを見ている。
その顔には感情がほとんど無い。
けれど、目だけが妙に静かだった。
「派手にやってるね」
落ち着いた声。
怒っているわけでも、呆れているわけでもない。
ただ事実を眺めているみたいな声だった。
「mrtn!」
grgnの声が少しだけ明るくなる。
mrtnはゆっくり視線を動かした。
最初にgrgn。
次に――lor。
そこで視線が止まる。
『……』
空気が重い。
mrtnは少しだけ首を傾けた。
「へぇ」
その一言だけだった。
でも、見透かされるみたいで。
lorは反射的に一歩下がる。
するとmrtnは、小さく笑った。
「そんなに警戒しなくていいよ」
「別に、今すぐ何かするつもりはないから」
優しい言い方だった。
だから余計に怖い。
grgnが楽しそうに口を開く。
「こいつさぁ、まだ人間側なんだって」
mrtnは少し黙ったあと、静かにlorを見る。
そして、
「……なるほど」
とだけ呟いた。
「君が、“成功例”か」
832クン/八ヶ丘ミツ🫧✨️
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