夜の部屋。カーテンの隙間から街の灯りがぼんやりと差し込む。
琉生はベッドの端に座り、窓の外を見つめていた。
「……終わるんだな」
ぼそっと呟くと、後ろで布が擦れる音がした。
「何が?」
振り返ると、ベッドの上で直哉が腕をついてこちらを見ていた。少し寝ぼけたような目つき。けど、その奥ではちゃんと考えてる顔。
「俺たちの関係」
言葉にした途端、胸の奥がずきりと痛んだ。でも、決めたことだった。
直哉とは長い付き合いだった。最初は軽い遊びのつもりだったのに、気づけばズルズルと続いていた。けど、どこかで終わりが来るのは分かってた。そういう関係だった。
「……ふーん」
直哉は何か考えるように目を細め、それからゆっくりと手を伸ばした。琉生の腕を掴むと、ぐいっと引っ張る。
「…何すんの」
「まだ終わってない。今は俺のもんだろ」
そう言って、琉生をベッドに押し倒した。
直哉の顔が近づいてくる。熱を帯びた唇が触れ、すぐに舌を差し込まれた。逃げようとする隙を与えないキス。琉生の心臓が、ドクンと鳴る。
「……っ、なお、や……」
声にならない声が漏れる。
「考えんの、あとでいいだろ」
そう言って、直哉は琉生の足を開かせた。琉生は目をぎゅっと瞑る。
(これが最後だから)
そう思うのに、涙が滲みそうだった。
そして…深く、甘く、終わりを引き延ばすような夜が再び始まった。
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