テラーノベル
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※本作は、前垢にて投稿していた《拝啓、本当の幸せを求める君へ_。》という作品を元に作成しています。(こちらはリメイク版です。)
↑リメイク前を観たい方は、こちらの方を検索してご覧ください。
(小説の中で、暴言等の要素を含みます。しかし、作者はこれらを肯定したり、助長したりなどの意図は一切ございません。)
今回のお話は暴力的な表現を含みます。ご注意ください。
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次の日。空は仲間が加わったことを祝福するように晴れており、どこまでも青く澄み渡っていた。
洞窟で一晩過ごしたランダ一行は、目的地のカルメシル街へと向かう。
「いやー、自分の街以外の場所に行くの久しぶりだな〜最近引きこもりっぱなしだったし……」
「それは健康に良くないな、ちゃんと適度に運動しとけ。…あ、カルメシル街のパン《カルメシルメロンパン》。あれは超美味いぞ?絶対飛ぶ美味さ」
「え〜!なにそれ!ある程度買い物済んだら後で買いに行こうよ!」
「それもそうだな」
ランダ達は期待を胸に、街に繋がる階段を上がった。やけに静かだが、早朝だからまだみんな寝ているのだろうか、ぐらいにしか思っていなかった。
しかし、階段を登りきって見ると、次に目に 映った光景は、黒焦げの木や、崩れ落ちた建物だった。
「……え?嘘…昨日まで街があったのに…俺、昨日、もしここに泊まってたら………」
「……死んでたな。これもあの連中の仕業だろうか。一晩でここまでの威力とは…武力行使しないと無理だな。甘く見てたけど、本当にヤバい連中かもしれないな…」
「ヒュッ………危なかった……… 」
辺りは鼻にツンとくる、焦げ臭いような、嫌な匂いで充満していた。現状確認のため、二人はしばらく進んでいくと、大通りに繋がる道に、「stop!」と書かれた黄色いテープが貼ってあった。
「……何だこれ…俺たち以外にも誰か居るのかな?」
「このテープ…自警兵団か。そうだランダ、いっその事向こうに行かないか?」
「え…?は、入っていいのそれ…」
「良い子のみんなは真似したらいけないぞ。まあ俺達は特権で良いだろ」
「えじゃ俺ら悪い子だろ……ってもう!?待てよー!」
羽衣はまるで当たり前のようにテープを超えて、大通りに繋がる道にズカズカ入っていく。慌ててランダも羽衣を追いかけた。
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音を立てないようにコソコソ進んで行くと、突然大通りの方から怒鳴り声が 聞こえた。まるで誰かを罵っている様な声。
「…様子を見よう」
声のする方へ来た二人は、物陰に隠れて様子を見る事に。
そこでは、二人の少年が、標識を背負った一人の少年を虐げていた。
「…お前!何でついて来るんだよ! 何の役にも立てないくせに!」
「あーあ…なんでこいつと同じ現場なんだよ俺ら…なんで隊長は同じにしたんだ?面倒だからだよなきっと……」
「…ごめん、そんな気は無いんだけど…」
「大体、お前部隊に向いてないんだよ!誰かを救いたいとでも思ったのか?ヒーロー気取ってんじゃねえよ!」
一人の少年が前に出ると、標識を背負った少年を押し倒し、そのまま少年の腹に一発蹴りを入れた。もがき苦しむ少年を見て、2人の少年は嘲笑する。
「……ハッ、無様だな笑 夢見てんじゃねぇよ?お前は一生孤独で暮らしてりゃ良いんだy……」
その時だった。罵声を浴びせられている、標識を背負った 少年に、一人の人影が立ち塞がった。 その人影の正体は……。
「……もう見てらんない、何なの君達」
そう。ランダだ。
いつも温厚でお人好しのランダ。他人に干渉することはほぼないと言っていい彼女だが、今は我慢の限界だった。
「……あのさぁ、言われるこの子の気持ち分かって言ってんの?殴って蹴って、何が楽しいの?申し訳ないけど俺には分からない。昔幼稚園で習ったよね?自分の嫌なことは他人にしちゃいけないって、それを理解してないお前らこそ部隊に向いてないよ
ねぇ、人を罵って何が楽しいの?人として終わってんね、哀れな人達」
「(…え…ランダ…あんな毒舌なの???)」
標識を背負った少年を罵っていた二人は、「なんだよこいつ…」と言い残すと、気まずそうに舌打ちをして去っていった。
実際ランダは毒舌すぎて、小学校時代何度も男子生徒とトラブルを起こし、もう二人も友達を失ってしまっている。
「……はぁ……君、大丈夫?」
「……すいません、ありがとう御座います…。僕が弱いばっかりに……」
「なぁに、悪いのは断然あいつらだろ、なあランダ」
二人が話していると、羽衣が物陰から出てきた。羽衣はいつも顔が引きつっていて、怖いと思われがちだが、実際は優しいやつである。偏見で人を判断しちゃ駄目を証明できる人物だ。
「そうそうその通り!君は悪くないよ。あ、そうだ!君、名前は」
「……ぼっ…僕の名前はナビル。周りからはナビるんって呼ばれてるんです。本名で呼ばれるのはそんなに好きじゃないので…あだ名で呼んでください……。」
「そっか、ナビるんだね!俺はランダ、で、こっちが羽衣」
「宜しく。……なぁ、ナビるん、お前なんでさっきの奴らに罵られてたんだよ?」
「えっと………実は…」
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一方その頃、ヴァルキューレ本拠地では
「ねぇ〜!!此処から出しなさいよ〜!!」
気を失っていたリヨは先程目を覚ました。
リヨは檻の中に閉じ込められており、手足は鎖で繋がれている。
その様子を横から見ていた、王座に座る一人の人物。
「……さっきから言っているであろう。出す気は無いぞ」
「…というか誰よ貴方!!顔見せなさい!!」
「………はぁ、注文が多いな貴様は…。仕方ない、どうせ一年後には見れなくなるだろうから、見せてやろう」
謎の人物はそう言うと、檻にかけてあった布を剥がす。
目の前が明るくなった瞬間、リヨの目には 見覚えのある顔が映った。
「………え…?あ、貴方……」
「…フッ、久しぶりだな、覚えているか?」
「嘘でしょ……?なんでこんな事…街はどうしたのよ……!?」
「…さぁ。退廃してるんじゃないのか?戦争が終わってる時点であの街は用済みだ。それ以上も、以下もない。」
「………!っ…いつの間にそんな子に…?」
リヨが焦ろうが絶句しようが関係ない。話に理解が追いつかないままトントン拍子に話してると、ある時王座の近くにある一つのモニターに、映像が表示された。
「〇〇様、街に例のものが現れました!」
「…そこに無情とM-96を送らせろ。後処理は任せる。」
「……はい、承知致しました!」
モニターがプツンと切れると、リヨの方にもう一度視線を移し、にんまりとした、それでいてどこか悪意のある笑顔でこう言った。
「……良かったなぁ、貴様。大事な大事なランダが助けに来たようだ。」
「…ハッ……ランダ…?」
次々と巻き起こる非現実に、リヨは思考を巡らす事が出来ない。ただ、檻を揺するのを止めて、モニターを見つめ続けた。
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ナビるんから話を聞いていたランダ一行。その話は過酷な労働環境と、昔から虐められてばかりだった彼の苦労から成り立っている、というものだった。
「………成程、そんな事があったのか……」
「……ナビるん、転職する気ない?流石にブラック過ぎるだろ!?毎回処理が適当でネットで炎上するだけあるわ…この労働環境拡散したら自警兵団解散するかな?」
「……いや…転職してもね……。転職先が無いんです。しかも親に半強制的に自警兵団に入れられたから、勝手に辞めたらただじゃ済む気がしなくて……。》
「転職先がない」「勝手に辞めたらただじゃ済まないかも」言葉一つ一つの重さが全然違う。羽衣は黙る一方だったが、ランダは真剣に悩んでおり、ふとハッとしたような表情でナビるんを見た。
「……!そうだナビるん!良かったら俺たちと旅しn…」
言いかけたその時だった。突然、爆発音と建物が崩れる轟音が遠方から響く。
座って話していた三人は何事かと思わず立ち上がった。
「え!?何々!?何の音!?」
「……港の近くから聞こえてきましたね…一体何が……?」
「……一応、行ってみよう。何があったか分からないし、自分の目で確かめてみた方が良い。行くぞ、二人共」
三人は、轟音が響いた方へと走り出したのだった。
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キャラクター紹介
❏ナビるん (14) ♂
自警兵団に所属している、天真爛漫な棒。
音速で動くことが出来る。
内に秘める正義感は誰よりも強い。
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→次回
《与えられた勇気》
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