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コメント
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うわ、第三章もめちゃくちゃ熱かったですね……! 鬼牙との戦い、もう息を呑むような迫力でした。そして蒼真さんが現れた時の空気感、すごく好きです。あの弓の技術もそうですが、何より「旅の邪魔はさせない」って台詞がかっこよすぎてノートに書き写しました📝 それに地下通路の天玄との試練も、仲間と知恵で突破する感じが良かった。ラストの弦雲さんの登場には鳥肌が立ちましたよ。次、どうなるんだろう……!
白嶺城を包んだ戦いから三日。 城内では傷ついた兵士たちの治療が続き、壊れた城壁の修復が急ピッチで進められていた。
狼王軍は退いた。
しかし誰一人として「勝った」とは思っていない。
玲は城の会議室で地図を広げた。
「狼牙は戦力を測りに来ただけです。」
「本命は別にある。」
玄斎が腕を組む。
「やはり天都か。」
玲はうなずいた。
「はい。各国の軍が天都へ集まり始めています。このままでは大戦になります。」
蒼牙は静かに尋ねた。
「俺たちは何をすればいい?」
玲は地図の中央を指した。
「天都へ向かいます。」
「そこで、この乱世の黒幕を探します。」
翌朝。
白嶺城の城門には多くの兵士と町人が集まっていた。
城主・**白嶺義宗(はくれい よしむね)**が蒼牙たちの前へ歩み出る。
「君たちのおかげで城は救われた。」
「この恩は決して忘れない。」
蒼牙は頭を下げた。
「俺たちはまだ何も成し遂げていません。」
義宗は一本の旗を渡した。
白地に青い龍が描かれた旗だった。
「困った時は、この旗を掲げなさい。」
「白嶺城は君たちの味方だ。」
旅は再び始まった。
蒼牙、玄斎、玲、影丸、紗雪。
五人は天都を目指し、街道を南へ進む。
しかし旅の三日目。
山道の途中で、一人の旅人が倒れているのを見つけた。
まだ二十歳ほどの青年だった。
全身に傷を負い、服は血で赤く染まっている。
紗雪が駆け寄る。
「まだ息があります!」
青年は薄く目を開け、震える声で言った。
「……逃げてください。」
「黒い……鬼が来る……。」
その言葉を最後に気を失った。
影丸は周囲を警戒する。
「嫌な気配がする。」
その瞬間。
ドンッ!!
近くの巨木が真っ二つに裂けた。
土煙の向こうから、一人の大男が姿を現す。
身長は二メートルを超え、巨大な戦斧を肩に担いでいる。
顔には無数の傷。
赤い鎧には黒い鬼の紋章が刻まれていた。
男は低い声で笑う。
「見つけた。」
蒼牙は蒼月を抜く。
「誰だ!」
男は戦斧を地面へ突き立てた。
「鬼牙(きが)。」
「狼王軍四天王の一人だ。」
その名を聞いた玄斎の表情が変わる。
「四天王だと……。」
鬼牙は不敵に笑った。
「狼牙様の命令だ。」
「蒼牙を生け捕りにしろ、とな。」
蒼牙は仲間たちを見回す。
玲はすでに地形を確認し、影丸は木の上へ飛び上がっていた。
紗雪も細剣を構える。
玄斎は静かに刀へ手を添える。
鬼牙は戦斧を持ち上げ、大地を揺らすような声で叫んだ。
「さあ来い、人間ども!」
こうして蒼牙たちは、狼王軍最強の四天王との初めての戦いに挑むことになる。
鬼牙が戦斧を肩から下ろした瞬間、大地が震えた。
ドォン――!!
その一歩だけで地面にひびが走り、近くの木々から鳥たちが一斉に飛び立つ。
蒼牙は蒼月を構えた。
「みんな、気をつけろ!」
鬼牙は不敵に笑う。
「お前たち全員まとめて相手をしてやる!」
巨大な戦斧が振り下ろされる。
轟音とともに地面が砕け、土煙が舞い上がった。
蒼牙は間一髞でかわすが、衝撃だけで数歩後ろへ押し戻される。
「なんて力だ……!」
影丸は木の上から手裏剣を放つ。
シュッ!
だが鬼牙は左腕で弾き返した。
「そんな玩具が効くか!」
玲は冷静に鬼牙を観察していた。
「右肩……。」
玄斎が尋ねる。
「気付いたか。」
玲は小さくうなずく。
「右肩に古傷があります。斧を振るたびに少しだけ動きが鈍る。」
玄斎は蒼牙へ叫んだ。
「そこを狙え!」
蒼牙は深く息を吸い、一気に飛び出した。
鬼牙が再び斧を振るう。
蒼牙は低く潜り込み、右肩へ一閃。
ガキィン!
しかし、厚い鎧に阻まれる。
鬼牙は笑った。
「甘い!」
拳が蒼牙の腹へ突き刺さる。
「ぐっ……!」
蒼牙は吹き飛ばされ、岩へ激突した。
紗雪が駆け寄る。
「蒼牙!」
鬼牙は戦斧を持ち上げ、とどめを刺そうと近づく。
その瞬間――。
ヒュンッ!
一本の矢が鬼牙の足元へ突き刺さった。
鬼牙が動きを止める。
「誰だ?」
森の奥から、ゆっくりと一人の青年が姿を現した。
長い白髪を後ろで束ね、深緑の外套をまとっている。
背中には巨大な和弓。
その瞳は静かだが、底知れない鋭さを宿していた。
青年は鬼牙を見つめ、静かに口を開く。
「そこまでだ。」
鬼牙は顔をしかめる。
「お前は……。」
青年は弓を構える。
「旅の邪魔はさせない。」
次の瞬間、三本の矢がほぼ同時に放たれた。
一本目は戦斧を弾き、
二本目は鬼牙の兜をかすめ、
三本目は足元の地面へ突き刺さる。
鬼牙は初めて表情を変えた。
「……面白い。」
狼王軍の兵たちが森の奥から集まり始める。
鬼牙は蒼牙たちを一瞥し、戦斧を肩へ担いだ。
「今日はここまでだ。」
「次に会う時は、お前たち全員を踏み潰す。」
そう言い残し、鬼牙は兵を率いて森の奥へ消えていった。
静寂が戻る。
蒼牙は立ち上がり、弓の青年へ頭を下げた。
「助かった。ありがとう。」
青年は小さく笑う。
「礼はいらない。」
「私は蒼真(そうま)。」
「旅の弓使いだ。」
玄斎はその名を聞いて目を細めた。
「蒼真……あの『神弓』の一族か。」
蒼真は静かにうなずく。
「ええ。そして私は、天都へ向かっています。」
玲が一歩前へ出る。
「それなら、目的は同じだ。」
蒼真は蒼牙たちを見渡し、穏やかに言った。
「ならば、しばらく同行させてもらおう。」
こうして一行は六人となった。
しかし彼らはまだ知らない。
天都への道中で待ち受ける戦いは、鬼牙すら前哨戦に過ぎないことを。
鬼牙との激戦から二日。
蒼牙たちは新たに仲間となった蒼真を加え、天都へ続く街道を進んでいた。
道中、蒼真は寡黙だったが、周囲への警戒を一瞬たりとも怠らない。
玲はそんな蒼真を見て微笑む。
「弓だけじゃなく、観察力も一流ですね。」
蒼真は短く答えた。
「戦場では、先に敵を見つけた者が生き残る。」
玄斎は静かにうなずいた。
「良い教えだ。」
昼過ぎ、一行は巨大な石造りの門へたどり着く。
そこは龍門関(りゅうもんかん)。
天都へ入る唯一の関所だった。
しかし様子がおかしい。
城門は閉ざされ、門前には数百人もの旅人や商人が足止めされている。
兵士たちが一人ひとり厳しく調べていた。
蒼牙は眉をひそめる。
「何があったんだ?」
一人の老人が小声で答えた。
「三日前から新しい命令が出たんじゃ。」
「天都へ入る者は全員調べられる。」
「怪しい者はその場で捕らえられるそうじゃ。」
紗雪は顔色を変えた。
「私たちが見つかったら……。」
影丸は門の上を見上げる。
「正面突破は無理だな。」
その時、玲が静かに笑った。
「正面から入らなければいい。」
蒼牙が首をかしげる。
「何か考えがあるのか?」
玲は地図を広げる。
「この関所の地下には、昔使われていた排水路がある。」
影丸は驚いた。
「そんな情報まで知っているのか。」
「古い城の設計図を調べたことがある。」
玲は地図の一点を指差した。
「入口は崖の下。」
「誰も使っていないはずだ。」
その日の夜。
一行は崖を降り、草木に隠された古い石の入口を見つけた。
蒼牙が押してみる。
ギギギ……。
重い音を立て、石扉がゆっくり開いた。
中は真っ暗だった。
蒼真がたいまつに火をつける。
「気をつけろ。」
「長い間、人が来てない感じがする」
全員が慎重に地下通路を進む。
水滴の音だけが響く。
しかし、その静けさは突然破られた。
ガシャッ!
背後で石扉が勢いよく閉まる。
「しまった!」
影丸が駆け寄るが、扉はびくともしない。
その瞬間、暗闇の奥から低い笑い声が響いた。
「フフフ……。」
蒼牙は蒼月を抜く。
「誰だ!」
たいまつの光の中へ、一人の老人がゆっくりと姿を現した。
白い長髪。
黒い法衣。
片手には一本の長い杖。
しかし、その目は若者のように鋭かった。
老人は蒼牙たちを見渡し、静かに言う。
「百年ぶりだ。」
「この試練の道へ足を踏み入れた者は。」
玲が警戒しながら尋ねる。
「あなたは何者ですか。」
老人は杖を軽く地面へ突いた。
ゴォォン……。
地下全体が震え始める。
「我が名は天玄(てんげん)。」
「天都へ進みたければ、私を越えてみせよ。」
その瞬間、老人の背後から巨大な石像がゆっくりと動き始めた。
蒼牙は息をのむ。
「これは……人じゃない!」
玄斎は刀を抜き、低くつぶやいた。
「気を抜くな。」
「ここから先は、本当の試練だ。」
石像がゆっくりと立ち上がる。
高さは三メートルを超え、全身は黒い岩でできていた。両腕には巨大な石剣が握られ、その一歩ごとに地下通路が揺れる。
ゴゴゴゴ……。
蒼牙は蒼月を構えた。
「来るぞ!」
石像は咆哮も上げず、一気に剣を振り下ろした。
ドォォン!!
床が砕け、石片が飛び散る。
蒼牙は横へ飛び、紗雪は素早く後方へ下がる。
蒼真は矢を放った。
ヒュン!
矢は石像の額に命中する。
しかし――。
パキッ。
矢の方が折れた。
「硬すぎる……!」
鬼牙以上の防御力だった。
玲は石像をじっと観察している。
「待って……。」
玄斎が石像の剣を受け止めながら叫ぶ。
「何か気付いたか!」
玲は石像の胸を指差した。
「胸の中央だけ色が違う!」
そこには拳ほどの大きさの青い宝玉が埋め込まれていた。
「そこが核だ!」
玄斎が笑う。
「さすがだ!」
蒼牙は石像へ向かって駆け出す。
石像が拳を振るう。
蒼牙は壁を蹴って跳び上がり、その腕を駆け抜けた。
「はあああっ!」
蒼月が宝玉へ振り下ろされる。
ガキィィン!!
宝玉にひびが入る。
石像の動きが一瞬止まった。
「もう一撃!」
蒼真の矢が飛ぶ。
紗雪の細剣が続く。
影丸の手裏剣も同時に命中した。
最後に蒼牙が渾身の一太刀を放つ。
バリン!!
宝玉が砕け散った。
石像はゆっくりと膝をつき、そのまま動かなくなる。
静寂が地下通路を包んだ。
老人・天玄は満足そうに微笑んだ。
「力だけではなく、仲間と知恵で勝ったか。」
蒼牙は刀を納める。
「あなたは敵じゃなかったのか?」
天玄は首を横に振る。
「私は門番。」
「天都へ進む資格がある者だけを見極める役目だ。」
そう言うと、天玄は懐から古びた巻物を取り出した。
「これは受け取れ。」
蒼牙が開くと、そこには古い地図と一つの印が描かれていた。
印は紗雪が持つ地図と同じ紋章だった。
玄斎の表情が変わる。
「やはり……繋がっていたか。」
天玄は静かに言う。
「天都の地下には、『天命の間』と呼ばれる場所がある。」
「そこには、この乱世の始まりと終わりを知る秘密が眠っている。」
玲が一歩前へ出る。
「その秘密とは?」
天玄は首を横に振った。
「その答えは、自らの目で確かめよ。」
そう言うと、老人は杖で床を軽く叩く。
ゴゴゴゴ……。
奥の石壁が左右へ開き、新たな通路が現れた。
その先には、かすかな光が差し込んでいる。
「行け。」
「お前たちの運命が待っている。」
蒼牙は仲間たちと顔を見合わせ、力強くうなずいた。
六人は新たな通路へと足を踏み入れる。
しかし、その頃――。
天都の宮殿では、玉座に座る一人の人物が静かに笑っていた。
「蒼牙……。」
「ようやく、ここまで来たか。」
その人物の顔は闇に隠れ、誰にも見えない。
だが、その声だけが宮殿に静かに響いて
その言葉に部屋の空気が張り詰めた。
蒼牙は蒼月を握り締める。
「どんな敵でも倒す。」
弦雲は静かに首を振った。
「その相手は力だけでは勝てない。」
「だから私は、お前たちに力を貸しに来た。」
玄斎は弦雲を見つめ、小さく笑う。
「頼もしい仲間が増えたな。」
蒼牙もうなずいた。
「一緒に乱世を終わらせよう。」
弦雲は短く答える。
「ああ。」
こうして七人となった一行は、三日後の決戦へ向けて動き始める。
しかしその頃、天都の王城では、一人の男が静かに玉座へ腰掛けていた。
その男は窓の外を見つめ、不敵に笑う。
「蒼牙……。」
「ようやく、ここまで来たか。」
その瞳には、すべてを見通すような冷たい光が宿っていた。
――第三章 完
第四章「黒幕の軍議」へ続く。