テラーノベル
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※これは完全なる作者の幻覚です
※現実と妄想の区別がつかない方は閲覧なさらないでください
「や〜……降られたねぇ」
「もぉぉ最悪だよ……ビッショビショなんやけど」
「あは、どんまい」
すっかり水を吸って重くなったシャツを絞る。
ビシャビシャと音を立てて水が玄関を濡らした。
「はは、やば。ひば、服絞ってみ」
「え?……おわー!!なんだこれえぐい!!」
「え゙ぇーっ!!!ちょ、やばやばやば!!僕の靴がー!!!」
「っあはははは!!ごめん奏斗〜!」
笑いながら謝ってくる雲雀に、もー、と溜息をつく。
この靴お気に入りなのに……。
さいてー、なんて軽口を叩きながら靴を脱ぐ。
干さなきゃなぁ。乾かなくなっちゃう。
玄関を上がって、廊下を通る。
ぽたぽたと垂れる水が床を濡らした。
うわぁ。拭くのだる……。
深い溜息をついて、湿った服を脱ぐ。
空気によって冷やされた水を含んだ服が無くなったことによって、持っていかれていた体温が戻ってきた。
「雲雀ー。お前も服脱ぎな?風邪引くし。なんなら風呂も行ってきなよ」
雲雀の服を軽く引いて脱ぐよう促す。
「んぇ?いや、でも……奏斗は?」
「雲雀の方が体調崩しやすいし、僕は後でいいよ。……もしかして、一緒に入りたかった?」
にやにやと笑いながら雲雀を見つめる。
まさかYesと返ってくるなんて思ってもないけど、一応聞いてみる。
所謂意地悪ってやつ。
……なんだけど。
なんか黙っちゃったな。地雷踏んだかな?
「……雲雀サーン……?」
俯く雲雀の顔を覗き込む。
本当にどうしちゃったんだ?
嫌すぎたとか?傷付くんですけど。
「……ッ!?わ、わッ!!見んなッ!!」
「ぅぶっ!?なぁによ!!ひっどくない!?」
急に大きな声を出し、雲雀が濡れた服を僕に投げつけてきた。
不意打ちだったから、顔面クリーンヒット。
ありえないんですけど?
顔についた水を拭って、雲雀を見る。
………ん?
両手で顔を覆って俯く雲雀。
髪の間から覗く耳は真っ赤だ。
あ、分かった。
こーれ、照れてます。
「……想像しちゃったんだ?ひば」
「や、ちが………そういうんじゃ、っ!」
「はいはい、嘘ね。可愛いねぇ」
わしゃわしゃと頭を撫で回すと、雲雀は悔しそうに顔を歪めた。
「うるさ、まじで……ッもういい、俺風呂行くから」
「あはは!ごめんごめん、そんな怒んなって」
ぽん、と最後に一撫でしてから雲雀から離れる。
雲雀はバツが悪そうに僕から目を逸らした。
「ほらほら、行った行った。風邪引いちゃうよ」
「誰のせいだよ………行くけどさぁ」
「そうしなー。……あっ、雲雀S?M?」
雲雀は替えの服を持ってないだろうから、僕の服を貸さないといけない。
サイズをミスったらあれだから、一応聞いておくことにする。Lは持ってないから選択肢に入れなかった。
「……………は、っ?なに、急に………」
「何って、そんくらい知っといた方がいいじゃん?」
「………そーいうもん………?」
「そういうもんよ」
雲雀が言い淀むのを見て、首を傾げる。
なんか変なこと言ったかな?僕。
「…………えむ……なんじゃね………?知らんけど………」
絞り出したかのような声を聞きとって、やっぱりかと呟く。
まぁこのデカさでSはないわな。
「おけおけぇぃ。りょーかい。んじゃ入っておいで」
「………あー…うん………」
雲雀は落ちていた服を拾ってそそくさと風呂に向かっていった。
ガチャ、と扉が開く音が鳴り、そちらを見ると風呂上がりの雲雀が立っていた。
雲雀は、酷く驚いた顔をしながら僕の体を見つめた。
「おま、っ、半裸のままかよ………!?寒くないん!?」
「ん?あー、まぁ寒いけど……耐えれる耐えれる」
「耐えようとすんなこんなことで………」
呆れたような顔をする雲雀を見て笑う。
………あ、そういえば。
「雲雀、服大丈夫?主にパンツ。余ってたMとりあえず出したけど」
そう問いかけると、雲雀はぱちぱちと瞬きをした。
「え?なに…?Mって、服が?あ、通りで………ん?え、じゃあ、あの質問………」
「え、なになになに。どしたの?」
ブツブツと何かを言っている雲雀を見つめる。
まるで僕の声が聞こえてないかのように、壊れたように言葉を紡いでいる。
じわじわと雲雀の耳が赤くなっていくのが見える。
え?マジでなに。どういう?照れる要素どこ?
「っ………こんの、っばかなとッッッ!!!ざけんな!!」
「はぁ!?急になんなのさ………い゙ぃッてぇ゙!?」
脛に蹴りを入れられ、その場に蹲る。
え?やばい。痛すぎ痛すぎ。なになにどういうこと?
痛いと謎が同時に脳みそを支配してもう何が何だか分からない。
その様子を見ても、雲雀は悪びれもせず「ほんまにありえんお前」と僕の背中を踏みつけてきた。
何したって言うんだよ!この僕が!!
服のサイズ聞いて服用意してあげたのに!!
………ん?
あ?
S、M………あ、え?
もしかして、そういう?
赤くなってんのって、つまり。
「………なぁるほどねぇ………?」
未だ脛は痛むが、イジりの対象を見つけてしまったから今は我慢だ。
立ち上がって、雲雀の顔を見つめる。
そうすると、その顔は気まずそうに引き攣った。
「雲雀、Mなんだ?」
「ん゙、な…………ッ!?おま、っ」
「ふーん…へぇ〜……?Mかぁ………」
いいこと知っちゃったなぁ、と小さく呟く。
しかし、それは雲雀の耳にしっかり届いたようだった。
ニヤニヤと笑いながら雲雀を見つめると、その顔に赤みが差していくのが分かった。
「………ッッ、るせー!!!はよ風呂行けっ!!!」
声を荒らげて、早足で寝室に向かっていく雲雀。
背中を見つめながら、思わず笑ってしまった。
………いやいや。このタイミングでそれは馬鹿。
何されるか分かってやってるじゃん、それは。
「可愛がってやんなきゃなぁ」
僕は、この後の事に想像を膨らませながら、雲雀の背中を追った。
コメント
1件
うわ〜、この6話、めちゃくちゃ好きです!笑 最初の水浸しのやりとりから、もう雰囲気がよくて。雲雀くんが照れてるのを見抜く奏斗の余裕っぷりと、最後のドッキリみたいな「S?M?」のすれ違い、最高でした(笑) 雲雀くんが「M」って答えた後に服のサイズの話でパニックになるの、可愛すぎて何度も読み返しました。 「可愛がってやんなきゃなぁ」の締めもニヤニヤ不可避。続きが気になります…!