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列車に乗り席に着くと、すぐに出発して走り出した。
景色はゆっくり動いている様に見えて、とても速く、阿形くんが開けた窓からは風が入り込んできた。
阿形「うわーすっごい!速い!景色がめっちゃ変わるよ!」
阿形くんは、帽子と包帯が飛ばされてないようにしっかり押さえながら、窓の外に身を乗り出した。
隈取「おい阿形、危ねぇから窓から出るなよ」
隈取くんはそう言って、ぐいっと襟を引っ張って窓から引き戻すと「ぐえっ」と言って阿形くんは席に戻される。
阿形「もー何すんのさ隈ちゃん!」
狐「阿形くん、この速さで何かにぶつかりでもしたら頭が吹っ飛びますよ」
阿形「ひぇ、それは確かに…」
阿形くんは「頭が吹っ飛ぶ」という狐くんの言葉に怖がり、頭を押さえながら怯えてしまった。
カゴメ「このおにぎり美味しいわね!塩加減も絶妙で、パリッとした海苔も最高よ!」
私はというと、隈取くんが買ってきてくれたお弁当の一つを食べながら、列車内から見える外の風景を堪能していた。
都会の街並みを眺めていると、進行方向に山が見えてきた。
般若「阿形、そろそろトンネルに入るから、窓閉めとけよ」
阿形「んえっ?なんで?風が気持ちいいのに」
兄さんの言葉に疑問を抱く阿形くん。
全く窓を閉める気配がなく、兄さんは諦めた様子。
般若「俺は言ったからな。どうなっても知らねーぞ」
そう言って兄さんとおかめさんは、私たちと同じ席を立ち、距離をとった。
結局阿形くんが窓を閉めないまま、列車はトンネルに入って行く。
その瞬間、ゴオォォォー!というと音と共に視界が真っ黒になった。
阿形「っ!?げほっ!げっほっ?!な、何これ?!?!」
カゴメ「いやぁ!何?!前が見えないわ!!」
狐「う…ごほごほ!は…くしゅんっ!」
般若「だから言ったろーが!」
大慌てで阿形くんは窓を閉めたが、遅かった。
阿形くんはもちろん、一緒の席に着いていた私と狐くんも、顔や服が煤で黒くなってしまった。
カゴメ「阿形くん…!」
阿形「う、うわぁ…ごめん、俺のせいで…」
頭にきた私は、立ち上がって汚れた袴を掴み、阿形くんに怒鳴った。
カゴメ「どうしてくれるのよこれっ!!せっかくきれいにした着物も!髪も!汚れちゃったじゃないの!!」
阿形「ひぇー!カゴメちゃんが怒った!ごめんなさーい!!」
般若「まぁ落ち着けよカゴメ、阿形だって知らなかったんだし」
カゴメ「っだいたい!兄さんだってもっとしっかり注意していれば!こんなことにならなかった筈よ!」
私を止めに入ってきた兄さんにも、指を刺してさっきのことを指摘する。
阿形「ごめんって!なんでもするからぁ!」
カゴメ「何でも?」
なんでもするという言葉に、私は振り返って阿形くんを見下ろす。
阿形「う…うん」
カゴメ「それじゃあ今向かってる牧場に着いて、泊められる場所を見つけたら、私の着物を洗濯しなさい」
阿形「えっえぇっ?!洗濯? 」
カゴメ「何よその言い方。まさか、洗濯ができないなんて、言わないわよねぇ?」
阿形「う…で、できます!やります!なので許して…!」
腰に手を当てて阿形くんに詰め寄ると、泣きそうな顔で洗濯をすると答えた。
おかめ「阿形わかった?先輩の言うことはきちんと聞くんだよ」
阿形「は、はいぃ…」
トンネルから出て外からの明かりが入ると、隈取くんも席を移動していることに気がついた。
狐「あ、あれ?隈取くん、さっきまでここに…?」
隈取「ん?ああ、弁当が汚れちまう前に移動したんだよ」
阿形「えっ?!ずっる!隈ちゃんと弁当だけ真っ黒じゃないのー!」
隈取「おめぇが危機感ねぇのが悪ぃ」
そう言って2個目のお弁当を開ける隈取くん。
カゴメ「なによそれ?!私だっておにぎりが…」
隈取「ああ、おめぇのも避難させといたから、ほらよ」
そう言って私の手元に、さっきまで食べていたおにぎりを竹皮に包んで渡してくれた。
カゴメ「…ふん、おにぎりが無事なら…いいわ」
阿形「えっ?なんで隈ちゃんには怒らないの!」
カゴメ「貴方が悪いからよ!」
阿形「はい!ごめんなさい!」