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もう消してしまったんですけど、前投稿した短編小説のアメニテイをモチーフに描いたやつ
予定まで、あと一時間あるので書きました。
政治意図関係なし
特定の政治家・国家への批判・侮辱なし
特定の宗教・思想への批判・侮辱なし
旧国あり
性的行為あり(接吻)
誤字脱字がある可能性あり
フィクションとしてお楽しみください
「ねえ、聞いてる? 日帝」
その声は、いつもと変わらず陽気で、どこか突き抜けるような青空を連想させた。
薄暗い部屋。
窓の外には、きらびやかな摩天楼の夜景が広がっている。
ここは世界の中心、アメリカの執務室の奥にある、特別な『客室』だった。
大日本帝国――かつて世界を相手に戦い、そして敗れ去ったその国は、高級なソファに深く腰掛けたまま、ピクリとも動かなかった。
軍服の襟元はきっちりと締められ、その隙間から見える肌は、陶器のように白い。
アメリカは手にしたグラスを机に置き、音もなく日帝の足元へと歩み寄った。
そして、床に膝をつき、日帝の膝の上に自分の頭を乗せる。
まるで、甘える大型犬のような仕草だった。
「冷たいなあ。せっかく君のために、最高のアメニティを用意したっていうのに。この部屋の温度も、君が好む湿度も、全部計算してあるんだよ? それなのに、一度も笑ってくれないんだね」
日帝はゆっくりと視線を落とした。
その瞳は、深い闇のように濁っている。
アメリカの金髪を視線だけで見下ろし、乾いた声で呟いた。
「……五月蝿いぞ、メリケン。お前の用意した『快適』など、私にとってはただの鳥籠だ。敗戦国に与えられる贅沢ほど、悪趣味なものはない」
「はは、鳥籠だって!いい表現だね」
アメリカは顔を上げ、満面の笑みを浮かべた。
その瞳の奥には、どろりとした暗い愉悦が渦巻いている。
「でもさ、外の世界を見てごらんよ。君の愛した『本土』は、今や僕の文化で溢れている。ハンバーガーを食べて、僕の国の音楽を聴いて、僕の顔色を窺って生きている。君が命を懸けて守ろうとしたプライドは、もうどこにも残っていないんだ」
「……っ」
日帝の眉が、わずかにピクリと動いた。完璧に統制されていた彼の表情に、一瞬だけ生じた『亀裂』。
それを見逃さず、アメリカの胸の奥にある「歯車」が、ガチリと音を立てて噛み合った。
アメリカにとって、日帝をいたぶることは、何よりも甘美な自白剤だった。
戦争の時、あれほど泥に塗れ、傷だらけになりながらも、決して自分に屈しなかった男。
あの燃えるような一瞥が、アメリカの心を狂わせたのだ。
声を聞かなくても、見ただけでも、俺の歯車を動かすための「油」が伝わってくる。
それが体内にタプタプと溜まっていくのが、アメリカ自身でもよく分かった。
「ねえ、もっと怒ってよ。あの時みたいに、僕を殺すような目で睨んでよ。君のその綺麗なプライドが、僕の手の中で少しずつ擦り切れていく音が、たまらなく好きなんだ」
アメリカは日帝の手首を掴み、ソファに押し付けた。
日帝は抵抗しようとしたが、かつての力は残っていない。細い手首が、アメリカの大きな掌の中にすっぽりと収まってしまう。
「離せ……! これ以上、私を侮辱するな!」
「侮辱?違うよ、これは『愛』さ。君が僕のものになったっていう、最高の証明だよ」
アメリカの唇が、日帝の白い首筋へと寄せられる。日帝は嫌悪感に身を震わせ、顔を背けた。
しかし、その拒絶さえも、アメリカの征服欲を煽るための極上のスパイスに過ぎなかった。
「傷だらけの君も可愛かったけど、こうして僕の用意した贅沢に溺れて、だんだん牙を抜かれていく君も、本当に可愛いよ……大日本帝国様?」
その呼びかけに、日帝の身体が大きく跳ねた。
「様」などという敬称には、敬意などひとかけらも籠っていない。
ただの皮肉であり、勝者が敗者を 嬲(なぶ)るための残酷な愛称だった。
「……私は、お前の人形にはならん」
日帝は息を荒くしながらも、鋭い眼光を崩さない。
「ああ、それでいい。そうやって、ずっと僕を拒絶していてよ。君が諦めない限り、僕のこの『油』は枯れることがないんだから」
アメリカは満足そうに微笑み、日帝の唇を強引に塞いだ。
それはキスというよりも、互いの領土を奪い合うような、激しい侵略の続きだった。
窓の外では、星条旗が夜風に揺れている。
どれだけ拒絶しようとも、この部屋に流れる時間はすべてアメリカの支配下にあった。
最高に快適で、最高に残酷な、二人だけの揺り籠の中で、大日本帝国は今夜も、星条旗の影に抱かれ続けるのだった。
終
コメント
1件
第1話、読み終えました。とても引き込まれる世界観でしたね…!「油」という比喩が、アメリカの歪んだ愉悦をぞっとするほど鮮やかに伝わってきて、心臓を掴まれるようでした。敗者の誇りを奪い尽くそうとする支配と、それでも抵抗をやめない日帝の矜持。その対比に、ただならぬ引力を感じます。何より、あの「様」という敬称の使い方が、読んでいるこちらまで息苦しくなるほど残酷で美しかった。続きが気になります…!